「だから、同衾したから、仮面の内の顔を知っているわけではないということだ。
あいつは、そういう方面ではいまどき珍しく天然記念物級でな。
健康な十代の男としては、いささか問題があるのではないかと思えるほど、手が遅く・・・・・」
「ちょ――」
「誰がそんなこと聞いてるっていうのよっ!」
>>120つづき 会話のみ
p219
「なんだ。安心するかと思ったのに。お前、前にもそれを心配していたんじゃなかったのか。私とあの男の関係について」
「あ、ん、た、ねえっ」
p220
「なんなら話してやってもいいぞ」「え―」
「中途半端は気持ち悪いだろう。それに、顔を知られてしまった以上、あの男のほうにもお前にはそう隠す意味を見出せまい」
「それって・・・」「聞け」
p221
「・・・・以上が、私が知る範囲でのあの男の経歴だ。」
「妹の―――ナナリーのために・・・・」「どうした?」
「さっきまでと違って、少しは同情してやる気にでもなったか?」
「・・・・・」「冗談じゃないわ」
p222
「言っとくけどね。その程度で同情しなきゃいけないなら、
この世は同情する相手だらけよ。母親を殺された?妹が、家族の体が不自由になった?
そんな人、いまの日本にはいくらでもいるわ。――いいえ。もっと悲惨な人だって大勢いる。
あのブリタニアとの戦争があってからは・・・・。
目の前で、自分の息子をブリタニア軍の火炎放射器で生きながら焼き殺された人だっている。
『射撃訓練』って笑うブリタニア兵に、恋人の両手両足を撃ち貫かれて、
最後は装甲車の車輪の下でミンチにされた人間だっている・・・・
私たちはそんな世界を変えたくて戦ってきた。
なのに、どうして、あいつ一人だけに同情してやらないといけないの?」
「正論だな」
「だが、それを踏まえた上で、あいつの手段と目的が、お前の願望にさほど不利に働くようには思えないが。
あいつが利用していたというなら、お前もあいつを利用してやればいいだけのことのような気もするがな。」
「・・・・割り切れと言いたいの?日本のために」
「さあ。割り切れるやつもいれば、割り切れないやつもいるんだろう。それは個人が選択することであって、
他者が強制するものではない。そこに銃があるからといって、銃を使って敵を撃つのも、素手で立ち向かっていく
のも、結局はそいつ自身が決めることだ」
嗯, KL不同情LL(結論)