遠い、遠い、時の彼方。
宇宙には黄金の種族が居た。
星々を作り、未来を知る力を持ち彼らは…まだ未熟な他の種族達へ呼びかけた。
それに応えた者達には、
銀の種族、青銅の種族、英雄の種族と名付けられた。
やがて、英雄の種族が争いを起こし、多くの種族が滅びに瀕した。
黄金の種族が争いを止めさせた時、英雄の種族は五人しか残らなかった。
黄金の種族は生き残った五人に罪を与えた。
自分たちよりも力のない種族に宿り、彼らのために生きるという罰を。
黄金の種族を宿した者は「ノドス」と呼ばれ、宇宙の命運を握る存在となった。
中でも巨大の力を持ち英雄の種族「ベルクロス」は、
最も新しく宇宙に出た、最も弱い種族の身に宿った、鉄の種族。
即ち人類の一人、エイジという名の少年の身に。
序でに キャラクターの紹介しましょうか 《《《《♪♪(*´▽`*)ノ゛うふふ~
エイジ(声:矢崎広)
『黄金の種族』に育てられ、『英雄の種族』の一人"ベルクロス"をその身に宿した人類の少年。5人目にして最後のノドス。
『黄金の種族』は『英雄の種族』をその身に宿らせた者は全て、それぞれ固有の数による契約を背負うというメッセージを残している。
5人のノドスは全員、何項かからなる契約を交わす事によって、宇宙世界の一員になる事が出来る。
また『黄金の種族』のメッセージでは契約の数だけが指示されていて、その内容はそれぞれの種族に委ねられている。
エイジは「鉄の種族」=人類との間で、12の契約を結ぶことを受け入れる。
その契約は後述述べる。
性格は純真無垢にして無知そのもの。数字の観念、性別の観念、生死の観念、金銭の観念などが、すっぽり欠けている事から人間たちとの間で、もろもろのトラブルを起こす。
あらゆる面で幼児的である反面、生命への愛情、食う食われる事の原始的な信仰、宇宙全体を見通す眼差しなど、古代の部族のような真理に満ちている。
ディアネイラ・イ・ライシャ・アルトリア・オル・ユーノス(声:石川由依)
ユーノス王家の若き王女。精神感応能力を持つ。
彼女の能力によって、アルゴノートは惑星オロンでエイジを発見する事となる。
男性が大の苦手で、多くの男性の視線を当てられると、精神疲労で意識喪失に陥ってしまう。
イオラオス・オズ・メヒリム(声:近藤隆)
ユーノス近衛騎士団の団長。ディアネイラに深い忠誠を誓っている。
テレポート能力を持ち、搭乗したオーガンごと空間移動する事が出来る。
アネーシャ・オル・メガーラ(声:清水香里)
ディアネイラに仕える侍女衆の長。高い治癒能力を持つ。
モビード・オズ・メヒリム(声:松山タカシ)
アルゴノートの艦長であり、イオラオス、テイル、メイルの父親でもある。
テイル・オル・メヒリム(声:田村ゆかり)/ メイル・アル・メヒリム(声:釘宮理恵)
ディアネイラに仕える双子の侍女で、イオラオスの妹にあたる。
二人とも強力なサイコキネシスの持ち主。
性格は基本的に無邪気で能天気。
ピー・ノ・ピー(声:新井里美)
アルゴノートの全システムを管理するAI。モビードの愚痴につきあう事もある。
次は用語の解説
■ 惑星オロン
エイジを乗せた移民船が漂着した惑星。
もともと地球とはかなり異なる環境だったが、黄金の種族が調整を行い、特別な装置無しで一般の地球人が居住できるようにされた。これはエイジがあくまで普通の人間として健全に成長する為の配慮。
しかし銀の種族が来襲した時、エイジはノドス・ベルクロスの力を使い、敵を撃退したものの自分の星を破壊してしまう。
本来は死の星と化すはずのオロンだったが、星を救いたいというエイジの望みがベルクロスのイデアチャンネルを開き、辛うじて生命絶滅を免れる。しかしそれはエイジの願望を支えとしたかりそめの状況で、エイジが去れば今度こそ本当に滅びてしまう。
黄金の種族は惑星オロンのスターウェーを断ち封印し、銀の種族が入り込めないように施した。その封印は鉄の種族のみが破ることができ、封印が解かれる事イコール再び銀や青銅の種族(アリ塚)を呼び寄せる事となる。
■ オーガン
青銅の種族”タウロン”との遭遇、そして過酷な戦闘経験を通じて生み出された人類初の本格的機動兵器。最大の特徴は人型であること。
このため、従来機のような感覚変換的手法(非人型マニューバを神経結合によるダイレクトオペレーションで操作する際の感覚的齟齬を解消するためのプログラム処理)が要らないため、自己の肉体と同じような自然で自由な操作感覚で、これまでにない高度な動きが実現され、またそのため、銃などの外部兵装の利用が現実的なものとなり、広い作戦対応力を持つに至った。
とはいえノーマルなオーガンタイプはやはり操縦者=人間の能力的限界(反射速度等)のため、相当程度のセミオートマチックオペレーションとなっている。一方、ヒロイン直属部隊の機体は精神場制御装置が搭載され、知覚・思考の著しい高速化によりフルマニュアルオペレーションも可能となってい る。操縦者に武術的スキルがあれば、これは大きなアドバンテージとなるし、そうでなくとも状況への即応性は大幅に向上する。
この機体の機動力は人体の耐えうるレベルではないので、コックピットはグラビティ・インシュレータによって外部の重力から隔離されている。この保護されたコックピットはそのまま脱出カプセルにもなっている。
この機体の画期的高性能は超伝導流体金属を用いた人工筋肉の発明で実現された。これは捕獲したタウロンの肉体を研究した結果生み出された技術である。実際の内部構造も人体に近い。フレームは骨格、コックピットや動力炉などの重要器官は胸部内に収められ、その周りを金属製の人工筋肉が覆い、一番外側を装甲に覆われて いる。
オーガンの登場以前は、肉体即兵器であるタウロンを相手にして人類は近接戦闘に於いてまるで勝ち目がなかった。しかしこの機体によって、屋内など狭い場所に侵入してきた敵や、格闘戦になっても有効な対抗手段を初めて得たのである。
その機体コンセプトから内蔵式の固定武装は持たないが、格闘能力の強化のため、5本ある手指の先端に分子破砕機を備えている。また高出力の陽電子砲などに機体からエネルギーを供給する事もある。
機体の動力源は熱核反応炉。2次動力源として超伝導セルを用いた大容量バッテリーも搭載している。これは操縦者の生命維持など、低レベルなエネルギー供給の必要なデバイスに給電するバッファとして普段は機能しているが、主動力にトラブルが発生した緊急時には50%の能力で短時間の運用が可能。
主な兵装は陽電子銃、陽電子砲、ミサイルランチャー、プラズマソードなど。陽電子銃は標準ともいえる武装で、片手撃ちも可能な小型の反粒子 ビーム砲。高出力の単発・バースト射撃と低出力の連射機能を持つ。陽電子砲はオーガンの全高を超える長銃身の反粒子ビーム砲。一発の射撃に長いエネルギー 充填時間がかかり、連射はできない。前者は中・小型の標的に、後者は本格的な対艦兵器である。バックパック式のミサイルランチャーには反陽子弾、重力子弾、などの強力な弾頭が用意されている。プラズマソードは刃先のスリットから高温プラズマを噴出して対象を切断する近接格闘戦用武器。
これら多彩な武装と高性能な機体の組み合わせは強力なものではあるが、それは主にタウロンに対してであって、ノドスに対しては決定的に力不足である。だが、ヒロインなどESP能力を持つパイロット専用の次世代オーガンではノドスのイデアチャンネル(意志の力に基づいた攻撃エネルギー)に対抗する方策が採られている。ただしそれも十分な性能とは言い難く、やはりノドスに対抗できるのはノドスだけという状況は変わらない。
■ エイジのマザーシップ
惑星オロン上にあるエイジの居船。
もとは人類の大型移民船であったが、難破してオロン星域へ漂着したところを黄金の種族によって保護される。宇宙船は損傷しており、救命カプセルに入った乳児だけが唯一の生存者だった。黄金の種族は、比較的損害が軽微で、メインコンピュータもサスペンド状態で生きていた中枢ブロック(カプセルもここで発見された)を切り離し、オロン地上へと彼らの”力”で降ろした。
船のコンピュータ、エイジの肉体、そして犠牲者たちの遺体や残留思念等を含む全ての痕跡から人類に関する充分な情報を得た彼らは、エイジを育成するべく着々ととりはからい、宇宙船を修復し、居所として利用できるようにした。が、その後、銀の種族との戦闘により大破している。
■ AI
船のコンピュータがエイジの母親代わり。
100年以上昔のシステムで、とうぜん量子演算コアを持たない。よってエトス(擬似人格を形成するニューラルマトリクスネットワーク)の実装ができず、旧態依然としたノイマン電脳による思考・対話プログラムのはずだった。しかし、それでは保護・教育者として不十分と考えた黄金の種族によりセントラルコアに細工がほどこされ、最新の人工知能に引けをとらない能力となった。システムを調べようとアルゴーノート・メンバーが内部を空けると、幾層にもなったPCB(プリント基板)が覗いて仰け反る。メイン基盤の中央にAIコア(六角形のCPU。内部で3つのプロセッサが重層し、並列処理を行う、当時としてはかなり高性能なチップ。三重層構造CPUはステッパーを用いた最終世代。性能的限界から立体化を求められていた論理回路は、これ以降、排熱等の問題から、結晶光子回路など、全く異なった方向へ進む)を発見するが、型番やシリアルが刻印されているはずの表面に、何か文字あるいは記号のようなものが印されている。それは黄金の種族による印で、これによってエトスを代替している。
しかし、エイジが少年になった頃にその機能は失われるようにされていた。
■ 砂ダコ(フートォ)
オロンに生息する大型生物。
形状は地球のタコに似るが、体長は数十メートルにも達する。惑星全土がアリゾナの荒野のごとくなってしまったオロン、その砂海の生態系を支える中核の役割を果たしている。荒廃したオロンでは、大深度の地下水しか水源がない。砂ダコは定期的に砂海を千メートル以上潜り、給水して浮上するという生活を繰り返している。その時に大量の濡れた砂が地表に現れる。これが他の小さな生き物たちを潤している。
砂ダコの食物は砂中に存在する藻類であり、これを大量の砂ごと巨大な口からとりこみ、体内で分離して消化する。そして残った砂は莫大な排泄物として砂海に撒き散らされる。これには様々な有機物が含まれており、それを餌にする微生物や小動物も存在する。
砂海の生態系は砂ダコ中心に循環しており、彼らが絶滅すれば消滅してしまう。だが地下水の量は徐々に減っており、それにともない砂ダコの個体数はかなり減っている。
■ 青銅の種族
有機・無機の組み合わさったハイブリッドな生命体。
極少数の固体のみが自我を持ち、圧倒的多数の自我無き個体を統御している。自我を持つ固体の中でも最高位にあるのが女王。女王の自我は主自我と呼ばれる。そして、主自我に対して基本的には従属的であるものの、あくまで独立した立場である従自我を持つ個体、それを騎士と呼ぶ。それ以下の自我を持たぬ固体は実行体とよばれる。
女王も騎士も必要に応じて様々な実行体を生み出す事が出来る(その命令を発する事ができるという事で、自信が母胎となる事を意味しているわけではない)が、新たなる自我を創生できるのは女王だけである。女王や騎士から見た実行体は自分の一部という意識。個体としての実体はもちろん持っているが、自分の制御下にある実行体全てを1まとまりで自身と感じる側面もある。一方、特定の実行体に意識を集中すると、その身体に乗り移ったかのような感覚で行動する事も出来る。彼らはこれらを実体・全体・仮体と呼び、使い分ける。
彼らの科学文明が生み出した最大の功績は意識の信号化である。これにより思考の機械的伝送が可能となり、銀の種族のようなテレパシーを用いずとも、言語を遥かに超える高度なコミュニケーションが可能となった(このような技術は、高いテレパシー能力を持つ銀の種族の文明では生まれなかった)。
彼らのテクノロジーは自らの肉体に直接反映され、時と共にその体組織を拡張させてきた。つまり彼らにとって文明の進歩は彼ら自身の進化に等しい。人類が初めて相まみえたとき、大変に生物的な外観を持つ宇宙船や機動兵器と思ったそれは、青銅の種族自身の姿だったのである。
■ アリ塚
戦闘で主力となる小型の個体は、エネルギーレベルが低い為に単独でのワープはできず、より大型の母艦型個体に寄生するか、あるいは特殊な群れを形成する事によって母艦機能を代替する。これが人類に”アリ塚”と呼ばれている物。
無数の個体が球状に凝集し、その中心にエネルギーの核を抱えている。超高温プラズマの核は太陽のように核融合を起こし、周囲のタウロン個体にエネルギーを供給している。核の周囲では無数のタウロン個体が縦横の円軌道を高速で周回しており、それが幾層にも重なっている。この中では個体同士の電気的、光学的な通信が膨大に行われ、それが群れとしての意思を形成している。よって運用者(指揮官)は個別の個体を意識することなく群れに対して命令を下すことができる。
アリ塚は目的によって形状が変化する。球形は臨戦態勢であり、多数の個体を外側から猛烈な勢いで射出する。長距離を移動するときは円筒形に変化し、その一端を開放してロケット推進する。また同様の形状で強力な粒子ビーム砲台となる事も出来る。その他にも、核をワームホール化してワープを行ったり、大気圏への進入や離脱も可能で、その運用の自在性、簡便さから小規模な部隊としてよく用いられる。
■ ヘドロン
銀の種族が自在に作り出す、目に見えない立方体。
「ヘドロンの盾」「ヘドロンの壁」などと呼称される。
■ フレーム
銀の種族が自在に作り出す、ヘドロンから派生する高エネルギー体。
伸縮自在のロープ型(触手型)や、直線放出されるレーザー型、多方向に浮遊するバブル型、何重もの輪が囲むリング型など、多彩に形状が変化する。
■ フルヘドロン
銀の種族が自在に作り出す、移動/仮の住居のための船のこと。
多数のヘドロンで構成されている。
■ アリ
人類側が呼ぶ青銅の種族の呼称。その役割に応じて様々なタイプが存在する。
戦闘に特化したものは口から火炎を吐き、大気圏突破能力を有する。中にはテレポート能力を有するものもいる。
緑色の火炎は、腐食性ガスをまとった高温プラズマで、バリアによる保護を受けていない通常装甲なら大抵は破壊できる。
多孔質の外殻は優れた耐熱、断熱性を持ち、大気圏突入時はダンゴムシのように丸まって摩擦熱から身を守る。
■ 人工樹
殖民惑星用の開墾ツール。
本物の植物ではなくナノマシン群体。地質から有用物質を抽出・合成する。
主としてテラフォーミング完了後の初期段階で用いられる。地味がある程度豊かであれば食用に供する事も可能だが、オロンは荒廃が酷過ぎるため砂ダコのエサくらいにしかならなかった。
■ アストラクション(星間誘引力)
恒星や惑星の間に働く引力。
重力とは違い、相対論やニュートン力学の枠外で働いている。重力に比べてその作用は複雑で、宇宙航行に利用するには特別な技法・技術が必要。
重力と異なり、質量を直接の由来とはしていない。この引力は宇宙の生命エネルギーとでもいうべきもので、宇宙の物質的運行と関連しながら巡り、凝集し、星を生み、やがては生命体の発生をうながす。
アストラクションにはカレント(スターカレント)毎に異なった波形パターンがある。この波形パターンを手がかりにカレントを辿る事で特定の目的地に達する事ができる。
アストラクションの作用には知的生命体の活動が深く関わっている。物質の”意思的な移動”がカレントの生成や成長を強く促す。それは意思の関わらないカレントの自然流動より、質量比で桁違いに効率が高い。つまり単なる物質の流れより人の行き来の方がカレントの成長にとって重要。
■ 同調(アストラル・リンク)
特定のカレント(アストラル・カレント)をセイル(アストラル・セイル)で捉える事。
太古の帆船が相手にした風と違い、宇宙の気流(カレント)は基本的に常風なので、一旦とらえれば安定した推力を得られる。
「リンク確立」特定のアストラル・カレントに乗る事。
「リンク解除」特定のアストラル・カレントから利用者の意思で離れる事。
「リンク消失」何らかの要因でアストラル・カレントから外れてしまう事。
■ アストラル・カレント(星流)
アストラクションは天体の間に働く力だが、重力と異なりその基本的性質は”流動”。
そしてこの流れは液体や気体と大きく異なり、双方向性という特徴を持っている。この双方向性はカレントのループ構造に起因するという仮説が有力。セイルがどちらの向きに推力を得るかは、セイルの極性によって決定される。
特定の系内で完結する小規模なアストラル・カレントは、その系に随伴することが多い。例えば惑星の公転軌道はそのままその惑星のオリジナル・カレントとなるが、これはその恒星系自体の空間的移動による影響を受けず、閉じた流輪を形成する。
■ アストラル・サイン(星標)
各アストラル・カレントが持つ固有の波形パターン。
■ ホロスコープ
特定のスターウェーがとる実際の道程や運動などの状態。
スターウェーは特定のカレントに対応した波形パターンのみで示されるが、ホロスコープは各ルートの具体的な状態まで含んだ情報。スターウェーでのワープにはホロスコープの確定が必須。
■ アストラル・セイル(天帆)
アストラル・カレントが物質に直接及ぼす作用は通常弱く、宇宙船の推力として利用するには特別な手段を要する。それがカレントを風のようにはらむ”宇宙の帆”、アストラル・セイル。
”帆”の実体はセルと呼ばれる分子レベルの細片が平面状に無数連なったもので、厚さ1メートルにも満たない薄いチャンバー内に電磁的に固定されている。このチャンバー1つ1つをエレメントと呼び、このエレメントを多数重ねて1つの空間に収めている。これを便宜的にマストと呼んでいる。マストは船体内部にシンメトリーに配置されている。
チャンバー内の磁場を変化させるとセルの角度が変化し、カレントから得られる推力の方向や大きさが変わる。
■ アトラス波形
惑星の公転軌道など、天体の運動が描く軌跡は、その天体固有の特別なアストラル・カレントとなる。
オリジナル・カレントと呼ばれるこのカレントの波形(アストラル・サイン)は、その源である天体の実体、つまり形状や内部構造、組成によって決定される。逆にこの波形を分析する事によって当該天体の様子を知る事が出来る。アトラス波形はその中でも惑星の形状を示す成分で、最も分析しやすい。
■ スターウェー航法
船体を通常時空から隔離し、スターウェー上をアストラクションによる加速で進む超光速航法。
アストラクションを媒介する粒子はタキオン(超光速粒子)の一種ではないかと考えられている。その伝達速度は無限大とも言われている。この粒子は通常時空に広範だが穏やかな影響を及ぼしながら、その実体は相対論的時空の外をうねる激流。
ワープフィールドで船体を通常時空から隔離すると、空間という抵抗が消失する為、アストラクションによる加速は光速という束縛から離れ、アストラル・カレントの流速に近づいてゆく。この時、船体質量は加速に影響しない。質量は相対論的事象であって、このアストラクションの属する系では意味を持たない。速度に影響するのはアストラル・セイルの抵抗値。抵抗が無限大の時、セイルの得る速度とカレントの流速は一致する(無限大)。ただし、維持に必要なエネルギーが極大化するため、実際にそのようなセイルは存在し得ない。
ワープフィールド発生装置は強力な重力と反重力を拮抗させ、量子的時空の狭間をこじ開け、その中に船体を包み込む。
その原理上、スターウェー以外でのワープは難しい。アストラル・タービンエンジンはアストラクションと同じ推力を人工的に生み出すが、その運転には途方も無いエネルギーを要し、にもかかわらずその推力はスターウェーのカレントに比べてあまりに小さく、精度も低い。緊急離脱用の装備として一部の軍艦に採用されるのみにとどまっている。原理的には帆をプロペラとして使うようなイメージ。核となる技術はアストラル・セイルと同じだが、構造は遥かに複雑で本体が巨大な為、かなりの大型艦でないと搭載は難しい。
■ 惑星ティターロスとダイダロス人
銀の勢力圏にあるターミナル・プラネット。域内スターウェーの主要ルートが交錯する基幹ターミナルの1つ。
静止軌道上に銀河でも有数の宇宙港を持ち、アルゴノートのような巨大船にもドックを提供できる。惑星表面には高度な都市文明が発達しており、その繁栄ぶりをうかがわせる。
居住するダイダロス人は文明の成長期に銀の種族によって見出され、その直接の薫陶によって外宇宙進出を果たす。基本的に理知的・平和的な彼らは知的生命体としての偉大な先達として銀の種族による指導を素直に受け入れ、彼らと良好な関係を保ってきた。
一方、銀の種族の影響下にありつつもダイダロス人は自主独立の意識が強く、それゆえ”永世中立”を宣言している。これに干渉されなかった事をもって銀の種族の許しを得たというのがティターロス行政府の見解だが、下位文明に一切の権利を認めていない銀の種族にすれば、そもそもダイダロス人に独自の立場などあろうはずもなく”中立宣言”も意味を成さないから相手にしなかっただけのこと。このように宇宙の主催者たろうとする銀の種族とは、お互いの立場に対する認識が大きく隔たっており、鉄と銀の紛争が激化する中でその事が表面化してきている。
■ 軌道衛星兵器イカロス
惑星ティターロスの両極上空に静止する大型攻撃衛星。
それぞれイカロス1、イカロス2と呼ばれる。ティターロス防衛網の要となる存在。基本的には2基で半天ずつの防御を担うが、必要とあらば自航する能力もある。完全な無人衛星で、ティターロスの官制室から遠隔操作される。