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[分享]XENOSAGA EPISODE I 全剧本

楼层直达
级别: 圣骑士
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2003-03-28
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1640
凑热闹~



Xenosaga EPISODE1 Der Wille zur Macht
ゼノサーガ エピソード1 力への意思

“【ゼノサーガ】バックストーリー”
“プロローグ・ゾハル”
“KOS-MOS覚醒”
“百式観測レアリエン・モモ”
“Jr.”
“アンドリューの最期”
“向き合えない過去”
“ネピリムの歌声”
“天の車”

“【ゼノサーガ】バックストーリー”
 数千年後の未来世界、人類はある原因によって地球を放棄し、枢機院の統治の下に空間歪曲航行法を利用して各星々を「U.M.N」の技術および最新のテラフォーム技術(注釈:行星開発技術)を礎とし、50万もの惑星で構成される国家「星団連邦」を組織した。

 この時代の中、人類発祥の地「地球」は人類に完全に忘れ去られてしまう。星団連邦と宇宙船と戦闘端末を操るグノーシス(注釈:靈魅)は人類の居住区で激戦を繰り広げていた。グノーシスは結局の所、人類以外の生命体なのか、エイリアン(注釈:外星人)なのか・・・それは誰にもわからないであろう。 ただ一つ言える事、それはグノーシスが人類に対して激しい敵対行動を示し、人類の存在を抹消しようとしていると言う事であろう。
 一方、ヴェクタ―という巨大企業が登場した。この星団連邦内最大の企業であるヴェクターは「U.M.N」系統を構築し、軍事と通信ネットワーク、とてつもなく広大な資源を掌握し、星団連邦に対し絶大な影響力を抱くようになった。ヴィルヘルム(注釈:維魯海姆)を総帥とするヴェクター(注釈:向量)は人類に仕えるレアリエン(注釈:人造人)を作り出し、その上、グノーシスに対抗するために人型端末兵器を中心とする兵器体系「A.G.W.S.」と女性型戦闘ロボット「KOS-MOS」を開発した。

 物語の始まりは20××年代、アフリカのケニア・トゥルカナ湖のある遺跡にて後に「ゾハル(注釈:佐哈爾)」と呼ばれる謎の物体を掘り出した事から始まる。この物体は検査の結果、宇宙創生時よりすでに存在する神秘的な物体だったという。
 女性型戦闘ロボット「KOS-MOS」の開発主任シオン・ウヅキ(注釈:蓆欧・卯月)は兵器の実験、及び調査任務を行うヴェクターの最新式宇宙船「ヴォークリンデ(注釈:沃克琳徳)」がある特定の地点を過ぎた時、ゾハルの争奪戦に巻き込まれてしまう!グノーシスが宇宙船の前に突如出現し、強烈な攻撃を繰り広げた。船員は皆、侵入したグノーシスを排除する為、各種武器とA.G.W.S.を以って抵抗するが、向かい合うのは実体を持たない存在であり、船員達はみな殺害されてしまう!ここに劣勢な状況の中、シオン・ウヅキはこの運命にどう臨むのか・・・?

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“プロローグ・ゾハル”
 時間:20××年 場所:ケニア・トゥルカナ湖
 考古学者マスダは人々を従えてこの古き聖地で古代遺跡を掘っていた。

マスダ「明日から始めればいいだろう。ここの土地は固いからな。掘り出す時は気をつけてくれ。
黒人の人「OK。
帽子の男「ミスターマスダ!
マスダ「どうした?何か見つけたのか?
帽子の男「その通りさ。ここの湖に沿って下ると文献と一致した所に、やはり尋常じゃない物があったんだ!
マスダ「きっとアレだ!OK。今すぐ行こう!
帽子の男「今回発見した物は他の物と違う。
マスダ「私が予想したのと同じだ!
帽子の男「ここにある。
マスダ「うぅむ・・・。

 マスダはこのデザインの物体を見た後、以前入手した金属プレートを思い出した。

マスダ「きっとこれに違いない。

 マスダが金属プレートをはめると、この装置は意外な事にも光を放ち、引き続き、地震が発生した。そして、もともと波の無いトゥルカナ湖から突如、謎の建築物が出現した。

黒人の人「おお、みんなあそこを見ろ!
マスダ「わぁぁおぉ。

 建築物から奇妙な光が射し、金色の金属板がはっきりと現れた。その上、それは天に向かい、一つの光を発射した・・・。すなわちこれが、現人類と“ゾハル”の初めての接触だった。

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“KOS-MOS覚醒”
 4000年後・・・・・・ゲートジャンプ(注釈:傅送跳躍)技術を掌握した人類はすでに宇宙を自らの裏庭としていた。だが、人類はその宇宙征服の過程で、恐るべき天敵グノーシスと邂逅してしまう。人類は全ての可能性をもってしてグノーシスと対峙した。そうした中でハイテクノロジーを掌握するヴェクターは長年来、レアリエンとサイボーグ(注釈:合成人)の研究を進めてきた。目下の所、対グノーシス専用のヒト型戦闘用ロボットを研究開発しており、その最新の成果こそが「KOS-MOS」である。シオン・ウヅキは現在、KOS-MOSの研究チームを指揮していた。

Index
1.KOS-MOS起動実験 2.私は対グノーシス専用ヒト型掃討兵器・・・ 3.ブリッジ出頭要請
4.ゾハル 5.レアリエン 6.寝るだけの兵器に存在意義は無い!
7.失態 8.超古代の風習を復活させないでくれる? 9.KOS-MOS警戒態勢レベル4!
10.グノーシス襲来 11.KOS-MOS完全起動 12.さよなら、お気をつけて!
13.ヴォークリンデの末路 14.私の証明を為【な】せ 15.存在意義
16.やっぱ・・・・・・私は死ぬんだ・・・・・・ 17.私は人間ではありません、ただの兵器です

1.KOS-MOS起動実験
 ゾハル消失から数時間が経った後、星団連邦はその行方を見つけ出した。ゾハル回収の為、星団連邦は特遺艦隊を派遣、最新の装備が艦隊に与えられただけでなく、シオン・ウヅキの研究チームもKOS-MOSを引き連れ艦隊と共に行動をしていた。

 艦隊が次第にゾハルへ接近をした頃、シオンの研究チームはKOS-MOSの起動実験を始めていた。

 (VX-2000のシートに着くシオン)
シオン
「ただいまより起動実験を行います。インターコネクション(注釈:接続作業)を始めてください。
アレン
「了解。インターコネクション開始、ダミープロトコル(注釈:擬真通信協定)、起動します。
ジョンベル
「A-LAINプロトコル(注釈:A線路通信協定)確立
トガシ(注釈:托加西)
「ケージパーテイション(注釈:擬真空間開放)、開放まで57,56,55・・・・・・

 同時刻、特遺艦隊の兵がゾハルの回収を進めていた。しかし、ある兵士が幻想に惑わされ、ゾハルへ接触した瞬間、同僚が見ている前で姿を消した・・・。

ベッセル
「各モニタリング状況、良好
トガシ
「3、2、1・・・・・・ケージパーテイション。KOS-MOS成形作業開始。
シオン
「成形作業完成、ペンフィールドマッピング(注釈:脳部連線作業)を開始します。
ジョンベル
「エンセフェロン構築始めます。
カロルハジィ
「接続率,76,77・・・・・・
ジョンベル
「エンセフェロン構築完了。
アレン
「側頭葉にノイズ出現。
シオン
「状況は?
アレン
「左側頭葉、第818領域のシナプス郡に軽い興奮状態があります。許容範囲でありますが・・・中止しますか?
シオン
「いいえ,続けて。マニュアル通りに私と彼女のダイレクトアプローチ(注釈:直接意識傅送)を行います。調整作業をお願いね。
アレン
「了解,接続システムNATARAJA起動。

 同時刻,特遺艦隊はゾハル回収に成功した・・・

メインシステム
「パスワード確認、システムNATARAJA起動。

 システムNATARAJA起動後,シオンの脳はヴァーチャル空間との連結に成功する。

シオン
「アレン君、視覚部の接続状態が良くないみたいだわ。
アレン
「うん・・・お、視覚部分のK12回路の接触が良くないですね。あと、V4区域の相互連結に少し遅延がありますね。少し,お待ちください。すぐに調整しますよ。どうです主任?
シオン
「OK.良いわよ,続けて
アレン
「了解。では、ただいまよりKOS-MOSの主客分離作業を始めます。

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2.私は対グノーシス専用ヒト型掃討兵器・・・
シオン
「おはよう、KOS-MOS。調子はいかが?
KOS-MOS
「おはようございます、シオン。全てが非常に良好です。
シオン
「じゃぁ、自己紹介をしてくれる?
KOS-MOS
「私は対グノーシス専用ヒト型掃討兵器、シリアルNo.000000001、開発名称KP-X、略称KOS-MOS。現在は模擬戦用筐体の為、出力の限界を22%としており、予定兵装は・・・
シオン
「いいわ、良くできました。ここまででいいわ。
KOS-MOS
「はい。
シオン
「あなたを起こすことは滅多にないことだけど、今回も起動実験なの。検査が終わったらまたあなたに眠ってもらわないといけないの。
KOS-MOS
「そうですか。
シオン
「悲しいって感じる?
KOS-MOS
「私の感情プログラムは造物主の利便を考えて使用されます。目下の場合、あなたはヴェクター第一開発局、KOS-MOSの責任開発の主幹技師であるあなたとの良好な関係を保つ必要があります。私のプログラムが悲しいと表現する必要を感じた時こそ、私はこうした情緒を表します。
シオン
「あらあら・・・そうだよね。それは私が一番知っている筈なことだよね。
KOS-MOS
「あなたが理解していることは本当にいいことです。
シオン
「けど、KOS-MOS、今の私は複雑な気持ちなの。あなたを呼び起こすことは嬉しいことなのに、あなたはまた眠らなくてはならないから、寂しさを感じるの。けれど、あなたが次に目を覚ます時は・・・もしかしたら沢山の血が河と化す場面かもしれないの。だから、心の底からはそんな日が来ることを希望していないの。
KOS-MOS
「・・・・・・
シオン
「わかる?
KOS-MOS
「難解な人間の思考、特に論理の無い推論は私には理解できません。
シオン
「うん・・・あなたにわかる日が来ることを望むわ。
KOS-MOS
「努力します。
シオン
「じゃぁ、始めましょうかKOS-MOS。アレン君,前回の続き、手順277番から始めて。
アレン
「了解,エンセフェロンの中に遠隔操作のターゲットを設置しました。彼らの行動は乱数で決定、そのうえ、待ち伏せモデルに設定。主任,任務を始める前に身体を温めましょうよ。
シオン
「うん、いいわ。KOS-MOS、あなたも聞いたわね?
KOS-MOS
「了解。

 バトルチュートリアルが始まり,終了する。

ジョンベル
「手順300まですでにクリア。
アレン
「主任,データの送達は全て正常です。A-LAINのコントロール状態もいいです。
シオン
「そうね。反応値がいい感じなはずだわ。
アレン
「この通りに続ければこの数日間で良い結果が得られますよ。
シオン
「そうね・・・。
アレン
「主任?
シオン
「ねぇ、アレン君、399番以前の手順を省略,400番のプログラムから始めてみましょう。
アレン
「よ、400から始めるって・・・主任、これは・・・・・・
シオン
「今回はきっと成功すると思うのよ。
アレン
「これは・・・しかし・・・先月のことは忘れていませんよね?あの時,あと10秒遅れていたらあなたは帰れなかった。少なくとも客体モデルから始めましょうよ。
シオン
「けど、これじゃ正確なデータはとれないわ。大丈夫、何かの時は私が逃げ出す方法を考えるわ。それに、あなたはA-LAINの最適化、あなたも検査したいんでしょ?
アレン
「その通りですが・・・
シオン
「じゃぁ、そういうことで始めましょうか。
アレン
「何かあっても知りませんよ。もしもアクシデントがあったらプログラムの強制中止をします。ひねくれ過ぎないでくださいよ。
シオン
「了解,了解。
アレン
「あと、マニュアルにないことはしない。
シオン
「わかってるわよ。
アレン
「まったく。少しも気にかけないで。いつも僕を驚かせ、何年も寿命を縮めさせてくれる。あなたにもこの味を味わって欲しいですよ。
エヴァレット
「ウヅキ主任のことだけなら、副主任は特に関心を持つ。もう何年も余命は残っていないでしょ?
アレン
「うるさい!余計な話は控えて400番台プログラムの準備はいいだろうな?
ジョンベル
「準備完了。いつでも始められます。
アレン
「なら、プログラム起動。各々は細かく見て、何か異常なことがあったら,すぐに報告してくれ。何か異常事態が発生したらすぐに強制中止するからな。

 エンセフェロンでの行動後,トレームSPX撃破。

アレン
「状況はどうだ?
ジョンベル
「何の以上もありません。とても安定しています。これなら先月の恥辱をそそげますよ。
アレン
「本当にこんな順調ならいいものだな。
ベッセル
「KOS-MOS、任務ポイントに到着,431番プログラムを実行します。
トガシ
「遠隔操作のターゲット、G型に転換を始めます。

 トレームGX戦前

アレン
「やっと始まった・・・。

 トレームGX登場後,KOS-MOSに異常な反応が。メインコントールシステムも警報を発動。

アレン
「どうした?
ジョンベル
「KOS-MOSが新しいネットワークの構成を始めました。以前にもこんな反応はなかったですよ。これは本当に凄い。これまではこんなに早く成長するネットワークは見たことがない。副主任、見てください。エンセフェロンの一部に変化が始まっています。
アレン
「これは・・・
シオン
「アレン君,これからターゲットとの交戦を始めます。記録,お願いね。
アレン
「それはやり過ぎですよ!主任、あなたは主体<注釈:KOS-MOSの主体>知覚を以ってして応戦しているのですよ,こんな不安定な状況での戦闘は危なすぎる!
シオン
「大丈夫。まだやれるわ。
アレン
「何が大丈夫なんです?主任!」

 トレームGX撃破後

シオン
「これなら問題無いわね。これからターゲットをリアルモードへ。ヒルベルト(注釈:虚数目標)を試します。
アレン
「主任!マニュアルにないプログラムを始めないでくださいよ!
シオン
「KOS-MOS、ヒルベルトエフェクト(注釈:虚数干擾模式)発動
KOS-MOS
「了解,ヒルベルトエフェクト起動します。

 KOS-MOSのヒルベルトエフェクト起動後,メインコントロールシステムに大きな警報が。

アレン
「これじゃ、酷いぞ!状況は?
ベッセル
「エンセフェロンは異常な状態に位置し,これでは壊れてしまう。いつでも崩壊可能です。
アレン
「本当か!?主任、どうします?主任!そこは危険すぎる、早く戻ってください!
シオン
「待って,もう少し待って!
アレン
「主任!
ベッセル
「辺緑系に神経インパルス発生、キンドリング(注釈:燃薪現象)です!
アレン
「すでに限界に達している!プログラムを強制終了しろ!主任を引き戻せ!
ベッセル
「了解!プログラム強制終了・・・命令が拒絶されました!ウヅキ主任が優先的な制御権を擁し,制御できません!
アレン
「何!
ジョンベル
「エンセフェロン崩壊まであと10秒、副主任!
アレン
「糞!

 エンセフェロンが次第に崩壊すると同時に、シオンは強い光の中で以外にも一人のブロンドの髪をした子供の出現を見た・・・。不思議なのはシオンがまるでかつて御互いに知っていた感覚を感じたこと,奇妙さを感じなかったことである。この仮想世界が瓦解する刹那,アレンが生命の危険を顧みず、仮想世界に進入,シオンを引っ張り出す。

アレン
「主任・・・大丈夫・・・ですか?
シオン
「うん。ありがとう。ちょっとひねくれ過ぎちゃったかな?
アレン
「ええ・・・。
シオン
「アレン君・・・?
アレン
「こんなことは繰り返さないでくださいよ・・・本当に人を驚かすんだから・・・。
シオン
「ごめん、ごめん。けど、私達は良い記録を得られたはずでしょ?その上・・・

 シオンはあのブロンドの髪をした少女を思い出した。しかし、この現象を理解しきれないシオンはこのことを自分の心の中にしまうことを決めた。

アレン
「何かあったのですか?
シオン
「いいえ、何でもないの。さて、データ解析を始めましょう。今日はここまでね。今日はそろそろ上から催促が私達に来る気がするわ。
ヴォークリンデ艦内放送
「全艦に通達,本艦はまもなく3分後にゲートアウト(注釈:傅送通道)します。万が一に備え,あらゆる人々は所定の位置に戻ってください。繰り返します,本艦は・・・



3.ブリッジ出頭要請
 特遺艦隊がゲートアウトする頃、・・・ヴォークリンデのブリッジでは・・・

オペレーター3
「全艦隊ゲートアウト。
オペレーター1
「メインエンジン、サイレントモードへ。現宙域を離脱します。
オペレーター6
「現宙域離脱時間を計算、基準時間を22日1300とし、残り7時間16分30秒後になります。
オペレーター2
「U.M.N.まで残り7時間36分、これ以前の自宙域のゲートジャンプはできなくなります。
モリヤマ(注釈:森山)
「次で最後になるな
アンドリュー
「ええ。次のコラム(注釈:方陣)で最後のゲートジャンプとなります。あともう少しです。
オペレーター6
「ここまで来れば大丈夫ですよ。コラム区間での接触率はとても低いですし、ここには丁度沢山の小惑星があります。艦隊の隠れ場所にはもってこいですし、“奴等”には簡単には見付からないですよ。
アンドリュー
「ハン、単純だなぁ、小惑星に入り込んでもいささかの気休めにしかならぬぞ。
オペレーター6
「す、すいません
モリヤマ
「そんな激しくするな、アンドリュー中佐。何かあったのか?
アンドリュー
「いいえ、何でもございません・・・
オペレーター2
「あの物体を回収してからすでに10日が経過、皆あの頃から緊張していましたからね。その上、この期間は外界との通信ができません。中佐の御気持ち理解できます。
モリヤマ
「うむ。
オペレーター3
「艦長、もしも話せないのでしたら、それも構いませんが、今回の任務の本当の目的をご説明いただけませんか。星団連邦政府の指揮の下、惑星の消滅事件を調査及び調査隊の護衛。しかし、あの物体を回収してからはまるで空気が変わったと感じます。一体、あの物体はなんなのですか?
モリヤマ
「あれか・・・、私も調査隊の報告を受け取っていないのだ。ただ・・・、数日前に得た情報によると“奴等”はあの物体を狙っているらしい。当然、根拠はないがね。
オペレーター6
「聞く所によると、回収時に何人かが犠牲になったとか・・・。
モリヤマ
「それが本当であろうと、私達に知る権利はないのだよ。元々調査隊は他の指揮下あるのだよ。私達が受けた命令は目標宙域にもしも『回収物』が確かにある場合、全てに優先して考慮する様にとなっている。
オペレーター3
「最優先にする・・・それが指しているものは・・・
アンドリュー
「つまり、あの物体は私達の小さい命よりも重要だということだ。
モリヤマ
「彼女達を驚かせないでくれたまえ。話は戻るが今回の作戦は星団連邦にとって非常に重要なことだから、皆全てに於いて注意をしてくれ。
オペレーター2
「そうですね。丁度、この艦隊はその為の装備を全て刷新し、更には非常事態の為の切り札がありますからね。
モリヤマ
「お、そうだ、あの切り札はあれからどういう状況だ?
オペレーター2
「本日、A-7のデータを提出予定です。
モリヤマ
「A-7、あと一つで実働か、悪くないな。中尉、ウヅキ主任にデータの調整後、ブリッジに私を訪ねる様、伝えてくれ。それと、ついでに今回までのあらゆる報告結果も持ってこさせよう。
中尉
「了解しました。
オペレーター4
「彼らが言う切り札って、まさかあの戦闘用アンドロイドじゃないだろうなぁ。
オペレーター5
「その通りだぜ、知らなかったのか?
オペレーター4
「まさか。
オペレーター6
「聞く所によると、彼等の進捗【しんちょく】状態は予定より結構遅れているって。
オペレーター5
「仕方ないさ。2年前の起動実験では人命が失われたんだろ?だから、彼等も自然と比較的慎重になるのさ。
オペレーター4
「しかし、あのアンドロイドは本物の人間みたいだ。あれは自分でさえ歴史小説で読んだだけだぜ。
オペレーター5
「切り札って言うけど、あけすけに言うとまだ実験中のだしな。たとえ本当に事故が起きても、使い道を決められるのか決められないのかも分からないしな。実際の所、これはヴェクターがこの任務に関わらせるだけであり、これはあくまでも彼等の道楽に過ぎないだけだぜ。
オペレーター6
「たとえコマーシャルモデルであろうと、実際に配備されているかどうかで、その落差が大きいですからね。
アンドリュー
「いわゆる無知はすなわち幸せということか。
オペレーター6
「中佐!
アンドリュー
「お前らがやはり羨ましいってことさ。

 アンドリューが何を言っているのかは読み手には分からない、ただ、アンドリュー自身がはっきりとこの艦隊がどんな惨劇を発生させるかをはっきりと分かっている。<注釈:この文は、ORを中国語に翻訳した人独自の注釈>

シオン
「了解しました。30分後に報告に参ります。
アレン
「こんなに早くあなたが報告に行かねばならないなんて。
シオン
「でしょ?私の予感は一向に正確でしょう?
ベッセル
「ウヅキ主任、これらは報告するデータです。他に何かいりますか?
シオン
「ありがとう。これだけでいいわ。あとは私に任せて。
新人
「主任、少しよろしいですか?
シオン
「どうしたの?
新人
「文はいつもKOS-MOSの実際の起動データを要求していますが、私達はいつも彼等に模擬実験データだけを渡しています。こんなのでいいのですか?
シオン
「う~ん、これは私の痛い所ね。けどね、私はKOS-MOSには継続的に同じ素敵な夢を見て欲しいのよ。
新人
「主任、主任は模擬実験のデータの為にあんなに懸命に頑張っておられますが、実際の起動となるとなぜ、こんなに慎重となるのでしょうか。私は早い所、KOS-MOSが実際に起動する様子を見たいと思います。少なくとも、フェーズ3まで起動して見ては?現状を見る限り、既に問題はないはずです。
アレン
「フェーズ3に行く以前に模擬戦筐体で実験を進めているのに、姫をわざと起こす必要はないよ。持って行って下さい。二局にKOS-MOSの装備要点。彼等を納得させるのに僅かばかりの助力となるでしょう。
シオン
「サンキュー<注釈:ORでは3Q>。心遣いに感謝するわ。
「じゃ、いってきまーす。
アレン
「いってらっしゃい。・・・さぁて、仕事、仕事!

 シオンが出発した後、

トガシ
「副主任、見た感じ、とっても出来の良い賢夫人っぽかったですよ。
アレン
「お、お前、何でたらめ言っている?トガシ、賢夫人だぁ、どういう意味だ?さっさとデータを整理しろ!
トガシ
「やっています、やっています。いつもこんなに言ってるのに、自分の心意を表さないんだから。<注釈:心意を表すとは、恐らくはシオンに対してであると思われる>
アレン
「トガシ、さっきなんか言ったか?
トガシ
「何も言っていませーん、あなたの幻聴でーす。
アレン
「まったく・・・、ん?どうした?さっきのこと、まだ納得が行かないのか?
新人
「い、いいえ、し、しかし・・・。
アレン
「君の心情は良く分かる。だが、さっきの状況は君も見たろう?主任も慎重なんだ。その上・・・そうか、君は先月ここへ入ったばかりだったな。あのことを知らなくても君を責められないな・・・。
新人
「それは2年前の事件ですか?自分も聞いたことありますが、細かい点ははっきりとは・・・

 アレン、シオンが忘れ物したことに気付く。

アレン
「これは・・・またか・・・。彼女はいつも・・・
トガシ
「良かったですね。彼女と二人っきりになる良い機会ですよ。ちゃんと順調に食事に誘うんですよ。
アレン
「渡しに行かなきゃ・・・
カロルハジィ
「ちゃんと彼女を誘わなきゃ。
アレン
「そんなんじゃないって言っているだろう!まったく・・・じゃ、ちょっと渡しに行って来る。
全員
「頑張って!
アレン
「まったく・・・皆適当に喋ってくちゃっれて・・・ぼ、僕だって・・・もしチャンスがあるのなら当然そう思うさ・・・。

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4.ゾハル
 シオンが格納庫に入った時、兵士の悲鳴と少佐に鬼の如き叫びがすぐさま聞こえた。

少佐
「この阿呆がぁ!貴様もだ!お前もだ!聞け!あの事件の後から貴様等の心がここにあらずだと言うことは分かっている。しかし、今は何かを考えている時ではない!!考え事は俺にさせれば充分だ!いいか、良く聞け!後悔する暇があるのなら、己の力を捧げろ!<注釈:仕事に捧げろという意味と思われる>思考する時間があるのなら、手を動かせ!己の感覚から脳の存在を出すな!己をマシーンと化せ!不眠不休で働け!
シオン
「私達の所と比べたら、まるで天国と地獄だわ・・・。

 シオンは2年前のことを思い出さずにはいられない。自身がまだ普通の社員であった頃のこと・・・

ケビン
「まだいたのかい?あまり無理をし過ぎると、自分の身体を壊すどころか、引き合わないぞ。
シオン
「あ、お疲れさまです。ちょっとこのデータを明日の朝までに完成させたいんです。ケビン先輩は何故、こんな遅くまでまだ寝ていないのですか?明日朝は早く起きないと。もし休まないと・・・。
ケビン
「はい、あげる。
シオン
「あ、ありがとうございます。
ケビン
「実は、あることが僕を悩ませるんだ。だから、寝付けないんだ。
シオン
「どんな悩みですか?
ケビン
「明日彼女にやっと目覚めて貰う。自分の目で彼女を見ることは当然、嬉しいことだけど、彼女が起きた後、僕はどう彼女に挨拶すればいいのかな?いつもこのことで悩んでいるんだ。おかしいだろ?
シオン
「彼女に『おはよう』っていうのはどうですか?
ケビン
「『おはよう』?
シオン
「朝なんですから、『おはよう』って言うべきですよ。
ケビン
「そうか・・・。その通りだよ。ありがとう。これで安心して眠れるよ。
シオン
「それは良かった。
ケビン
「君も早めに寝るんだよ。
シオン
「はい。
ケビン
「おやすみ。
シオン
「おやすみなさい。

シオン
「そうね・・・。皆だって早く彼女を見たいのよね。

 ゾハルの前に立ったシオンは突然ある奇妙な感覚を抱いた。鈴の音を聞いた直後、時間がまるで凍結したかの様になった。そして、あの金髪の少女がゾハルの前に現れた。シオンはまるで知らず知らずの内に引っ張り込まれる様にして奇異な空間に入った。金髪の少女はシオンに何かを言っており、少女は身をひるがえしてゾハルの中へと入った。シオンの手がゾハルに触れた瞬間、ゾハルはまるでシオンの為に道を開く・・・。シオンがどうすればいいのか分からないそのとき、一つの大きな声がシオンを現実世界に引っ張り戻した。

兵士
「危ない!!
少佐
「貴様、何をやっている!まさか、責任者にあらず者が近付いてはいけない事を分からない訳ではあるまいな!この物体は既に三人を消失させたんだぞ!早く出て行け!お前の様な人間がいては、俺の兵士が精神を統一出来ぬわ!!
シオン
「す、すみません!!
少佐
「この阿呆がぁ!この戦艦はあろう事か、一般人を船に載せやがって・・・。貴様、何をボーっとしている!馬鹿野郎!発奮せい!

 シオンが少々歩いた所で、シオンは第一通路でさっきの奇異な体験を経た為にぼーっとしていた。アレンが何度彼女を読んでも、彼女には聞こえない。

アレン
「・・・主任!
シオン
「アレン君?
アレン
「主任、また忘れ物ですよ!こうやって、歩きながらボーっとしているなんで危険ですよ!
シオン
「あ、ごめん・・・。ちょっと考え事としていてね・・・。
アレン
「どうしました?
シオン
「ん・・・これは私の幻覚に違いないわ・・・。
「アレン君、さっきは本当にありがとうね。
アレン
「あ、いえいえ。こちらこそすみませんでした。新人には、言ってはならないことがあると言っておきました。しかし、主任には彼の気持ちを分かってやって欲しいと思います。確かにKOS-MOSは不安をもたらしており、それはまだ完全に払拭した訳ではありません。しかし、私達は既に全力を尽くしており、出来るだけ完璧の域に達しています。皆だって自分達の努力の成果をこの眼で見たいんです。それは自分も同じです。
シオン
「わかっているわ。けれど、私はやっぱり・・・
アレン
「主任、やっぱりあの一件を忘れ去れないのでしょうか・・・
シオン
「うん・・・あの事件の事か・・・。
シオン
「ごめん、貴方が思っている様な事じゃないの。何でもないわ、さっきの事は忘れて。さて、KOS-MOSを早く完成させなくっちゃ!

 シオンのコネクションギアへ着信<注釈:原書にはこの記載はなく、翻訳者の訳し忘れっぽいが、便宜上ORの脚本を参考とし、挿入>

シオン
「あ、誰か呼んでいる!
アレン
「またレアリエンの調整ですか?彼等には構わない方がいいと思いますが・・・。他の部門の人を巻き添えにした関係なんて服務規程違反なんですからね。その上、今はブリッジへさっさと出頭する時じゃないんですか?
シオン
「大丈夫よ、大丈夫。まだ時間があるわ。それに、通り道よ。そんなに冷たくしない。じゃね!
アレン
「あ!しまった、本当は彼女に仕事終わったら食事行こうって言おうと思っていたのに・・・。

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5.レアリエン
シオン
「こんにちは、ヴェクターです。
カスパーゼ
「あ、ウヅキさん、いつも迷惑をおかけしてすみませんね。
シオン
「大丈夫ですよ。大尉、私はレアリエンには永遠に健康でいて欲しいと思っているんですよ。どうしたのですか?
カスパーゼ
「ええ、部隊の組み合わせ刷新に伴い、彼等に新しい戦術アルゴリズムを学習させなくてはならないのです。しかし、データのインプットが一向に巧く行かないのです。
シオン
「本当ね。まさか拒絶信号が出ているなんて。見て見るわ。

 レアリエンの状況を見終わると、招かれざる客が現れる事となる。

シオン
「調整はもう終わったけど、戻った後は私達の本社の三局へ連絡を下さい。やはり、彼等に正式に看護して貰う方がいいと私は思います。
カスパーゼ
「分かりました。それにしても、やはりすごいものですね。KOS-MOSの開発責任者だけでなく、レアリエンさえも治療出来るとは。聞く所によるとレアリエンの看護技術は相当に学習が難しいとか・・・。
シオン
「いえいえ。全部上司が渡しに教えてくれたことです。私一人じゃ出来ないことです。それに、私は元々三局へ入りたかったんです。実際の所、今の仕事が終わったら、私は転任申請を提出しようと思っているんです。
カスパーゼ
「ヴェクター第一開発局はエリート中のエリートであり入るのは難しいと伺っていますが、貴女はそれでも転任したいと?
シオン
「ええ。家族も『お前みたいな人間が意外なことに一局へ入れるなんて。きっと手続き上のミスか何かがあったんだ』ってよく言うんです。私も同感なんです。それに、彼等のこともっと理解したいですし。
バージル
「あんな物を理解して何になるんだ?
カスパーゼ
「バージル中尉!

 バージルは傍若無人にレアリエンの一人に近付くと蔑みの表情を表した。

バージル
「臭ぇ・・・。
シオン
「え?
バージル
「臭いって言ってるんだよ・・・まるで俺の嗅覚神経上に直接来る様なこの種の匂いだ。おい、お前は少しも嗅げないのか?こういうのは吐き気がする匂いだぜ・・・。
シオン
「あ、あなた何を言っているのですか?
カスパーゼ
「好い加減にしろ!少佐から事前に指示はあっただろう?今回の作戦はA.G.W.Sとレアリエンの相互支援を目的としているものだと。なのに、お前は滅茶苦茶なことを言う。
バージル
「相互支援?誰が、こんな物が戦場であいつらに対抗できる物だって保証した?戦闘用レアリエンとの相互支援?勘弁してくれよ。
シオン
「あの・・・・・・、しかしですね、戦闘用レアリエンは優秀な兵士でもあるのですよ。
バージル
「彼等?人間の装備に過ぎないんだぜ。
シオン
「あ、それ言い過ぎですよ!彼等だって私達同様に、知性と感情を持っているんですよ。レアリエンにも基本的人権があって、それは4763年に制定されたミルチア憲章の中にもはっきりと規定されているんですよ。
バージル
「ただのごまかしだろう。聞いただけで反吐が出るぜ。表面上は人道主義を装いやがってよ・・・実際の所、お前等からすりゃ、あいつ等は装備品に過ぎないぜ。否、商品か。
シオン
「私達は彼等を装備や商品としては見ておりません!
バージル
「なら、俺に教えてやってくれ。何故、彼等は戦闘用レアリエンに分類されているんだ?これこそが、お前等がレアリエンを商品と見なしていることの証拠じゃねぇか!何を言おうと、彼等はただの戦闘の道具でしかないんだよ!その上、俺は知っているぞ・・・お前等には商品管理用の緊急コントロールがあるってことをな。
カスパーゼ
「バージル!まだいうか!

 この時、一人のレアリエンがやってきた。

バージル
「な、何だよ・・・?
レアリエン
「注意の言う通り、私達は確かに商品として製造され、教育を受けました。しかし、私は現在の仕事を光栄と思っています。その上、それは私達が人に脅迫されたものではなく、自分の意思によるものです。

 バージルはこのレアリエンを見て、少しもいいかえさなかった。そして、突然、苦しみ出して床に膝をつける。

バージル
「自由意志ってか・・・。好きにしな。せいぜい、今はこの状況を享受しておくことだな。いつの日か、お前は俺みたいになる。その時、意味を理解するだろう・・・。
シオン
「あの人・・・まさかDME中毒?

 バージルが部屋を去る。

カスパーゼ
「ウヅキさん、本当にすみませんでした・・・。あいつも以前はこんなんじゃなかったのに、全てあの事件を経てから・・・
シオン
「彼を知っているのですか?
カスパーゼ
「軍事学校にいた時、私と彼は同期でして、確固とした絆<注釈:ORは腐れ縁>もまた結ばれたのです・・・。私達はミルチアです。
シオン
「やっぱり・・・だから彼は・・・
カスパーゼ
「貴女もご存知でしょう?三局を目標とする人からすれば、これは理の当然でしょうね。
シオン
「私・・・私も故郷はミルチアです。今でこそ、人類が近付けない場所となりましたけど、戦後、主星が第二ミルチアに移った際に私達も共に引っ越してきたのです。今は兄一人だけがそこに住んでいます。
カスパーゼ
「やはり。過ぎ去った不愉快な出来事を思い出させてしまってすみません。
シオン
「いえ、大丈夫です。私にとっても忘れることの出来ないことですから。彼等の為にも

 シオンのコネクションギアに着信<注釈:原書にはこの記載はなく、翻訳者の訳し忘れっぽいが、便宜上ORの脚本を参考とし、挿入>

「・・・しまった!ブリッジの出来事を忘れていた!すみません、後で貴方達を診てあげるからね。またあとでね!

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6.寝るだけの兵器に存在意義は無い!
アンドリュー
「なるほど。武装は大体分かりました。で、一番重要な実働データは?
シオン
「この方面のデータはまだありません・・・今日はA7まで行きました。
アンドリュー
「つまり、無いと?
シオン
「はい。近い内に模擬体を通じて実戦実験に入る予定ですが、システムがまだ不安定で・・・。
アンドリュー
「それは言い訳でしょう、ウヅキ主任。一体、この船に何の為に乗ってきたのです?その辺のことをよく考えて貰いたい。
「装備こそ更新されたものの、結局はあたふたと編成した艦隊だ。A.G.W.S.は配備されているが対となる百式観測機はおそおそと未配備のままだ。この様な状況の中で万が一、“奴等”が来たら、一体どうするべきか?教えてくれないか?KOS-MOSはこの様な状況の処理の為にある、違いますか?
シオン
「は、はい・・・
アンドリュー
「分かっているのですか?一旦、軍艦に上がったら、そこは貴女の研究室内ではない、戦場の上だ!KOS-MOSはこの戦場の尖兵だが、まだ実働していない、これはどういうことなのですか?寝ているだけの兵器に一点の意義も無い!兵器は動いてこそ意義があるのです、だが、貴女は・・・
モリヤマ
「中佐、もういいだろう。私達があたふたと編成された艦隊である様に、彼等も同じだ。この突然の状況下で開発を進行させなくてはならないのだ。その上、実際の起動まで後一つなだけだ。
「どの道、私達はこの時間を過ごせば良いだけなのだ、今回の作戦が平穏無事に終われば、それで良し、違うかね?
アンドリュー
「艦長、貴女の言うことに間違いはありません、しかし、私は・・・

 アンドリューがまだ争論をしようとした時、ある大物がこの時に彼を呼んだ。<注釈:ORを中国語に翻訳した人独自の注釈と思われる>

アンドリュー
「一体誰だ、こんな時に・・・
モリヤマ
「どうした?
アンドリュー
「い、いえ・・・緊急の連絡が・・・失礼します。
モリヤマ
「一体どういうことだね?
シオン
「私も分かりませんが・・・
モリヤマ
「まぁ、良いだろう、ウヅキ主任、今日はこんな物だろう。もしまだ何か進展があったら、私に報告してくれ。
シオン
「ご期待を満足させられなく、本当に申し訳ありません。
モリヤマ
「あやまることはないよ。使う我々からして一番大事なのは彼女が信頼できるシステムであるかだ。こうしたことは急ぐことは出来ないものだ。急がなくたっていいよ。大丈夫だ。どうせ、金は政府が出すのだからな。ご苦労だったね。今日はもう休んでていいよ。

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7.失態
 シオンが部屋で休んでいる頃、アンドリューはマーグリス指令と話をしていた。

マーグリス(注釈:馬格利斯)
「アンドリュー、貴様にしくじられたな<注釈:失態だな、アンドリュー>。貴様にはねんごろに言いつけた筈だ。今回の回収工作には充分に注意しなくてはならない。ゾハルの危険性も警告しておいた筈だ。
アンドリュー
「はい。何人かの機関員に犠牲が出たことには申し開き様もありません。しかし、我々も・・・
マーグリス
「誰がこんな小事を問題視するのだ?あんなことはゾハルに人が接触し、『消失』したことであり、事件の発生後、お前が何の処理もせずにあれを通常空間にさらした状態で移送していること、それこそが問題だ。お陰で今回は計画を二つの手法を以ってして、この計画を進行せねばならない。<注釈:原書の意味については中国語を母語とする方に確認を取っている最中であるが、現時点での結論として『2フェイズ繰り上げなければいけない』というORの台詞が『二つの手法でこの計画を進行せねばならない』と訳されているのは間違い>政府の手中にゾハルは収めさせん。
アンドリュー
「二つの方法で?何故です?
マーグリス
「こちらのEPRレーダーが既にU.M.N.空間内での転移現象を捉えた。相手はコラムを跳躍する形で貴様の艦隊に接近している。接触予測時刻は5時間22分後だ。
アンドリュー
「まさか奴等(グノーシス)が?<注釈:ORでは奴等=グノーシスとはこの時点では言っていない>
マーグリス
「だから、貴様がしくじったと言っている!一時間前に、増援の艦隊を既に派遣した。造園が到着するまで、どんな方法を使ってでも保たせろ。
アンドリュー
「ま、間に合うのですか?
マーグリス
「保たせろと言っているだろ!もしもの時はあれをハイパースペース(注釈:超空間)に捨てても構わん。幸い、貴様の艦にはあの兵器が配備されている。現在は彼等の目的は分からないのだが、その時はせいぜい利用しておけ。
アンドリュー
「しかし、あの兵器は実働の起動実験すらまだ進行していないのですよ!危険過ぎます!
マーグリス
「あれの力は貴様が一番知っている筈だ!少し不安定だろうが構わん。早くやれ!
アンドリュー
「し、しかし・・・
マーグリス
「以上だ。
アンドリュー
「待って下さい、司令!マーグリス司令!

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8.超古代の風習を復活させないでくれる?
シオン
「けど、今は仕事が一段落するまでは無理だって前から言っているでしょ?
ジン(注釈:吉恩・卯月)
「お前はいつもそんな言い訳をして、私はもう2年も貴女と会っていないのですよ。せめて、両親の法事の時位は来るのが、人としての義務ですよ。
シオン
「法事?兄さん、超古代の風習を復活させないでくれる?あ、また変な本を読んだのね。書痴もほどほどにしないと、嫁さんを貰えないから、気をつけて。
ジン
「うるさい。人の信念には干渉しない。お前は何度私に言わせるのです?
シオン
「何が信念よ、そんなのは兄さんの趣味でしょ?まったく、今後は私、世代間のギャップを持った兄を持つのね。
ジン
「何を好き放題言っているのです?本当に失礼ですね。そんなことよりも、今年こそ帰って来る私に言っておくれ。でないと・・・
シオン
「はいはい、休暇があったらね。じゃ、切るね。
ジン
「おい、お前何をするのです、もしもし、もしもし・・・

 シオンは兄のうるさい一言を聞きたくなく、通信機を直接切る。

シオン
「まったく・・・。少しでも私の気持ちを理解してよ・・・。

 シオンが眠りについた時、場面は再びあの場所となり、少女が再び出現する。

 シオンが丁度良く夢を診ていたとき、ある人物がこっそりとKOS-MOSの起動指令を発動し、驚天動地の変局がここに展開されることとなる。

 KOS-MOS調整室では・・・

アレン
「おい、お前等まだいたのか。
ベッセル
「あ、お疲れさまです。今日の以上を特定するために、まだ仕事をしているのです。副主任だってまだ休憩していないじゃないですか。
アレン
「さっき、アンドリュー中佐に捕まったよ。
トガシ
「あいつは本当にうるさい方ですからね。手強いですよ。
アレン
「僕達は学生みたいに悠長にやっている場合ではないとか、僕達はガールズスカウトに指揮されているのかといっていたり・・・。まったく、たまらないね。(注釈:ORと意味がかなりずれている個所)
ジョンベル
「悔しいですね。
アレン
「だろ?とはいっても、主任一人に全て任せる訳にはいかないからなぁ。それはともかく・・・彼がやけに焦っていたのが、どうも気になるなぁ・・・。

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9.KOS-MOS警戒態勢レベル4!
 特遣艦隊がすでに次のコラムへ近付いていた頃・・・

オペレーター6
「暗礁宙域を離脱しました。<注釈:ORではまだ暗礁宙域を離脱していない筈なので、誤訳と思われる>
モリヤマ
「うむ。ゲートジャンプの準備をしろ。
オペレーター3
「了解。全艦隊ゲートジャンプに入ります。
オペレーター6
「コラム有効範囲まで後19分30秒
オペレーター3
「U.M.N.パルス受信
オペレーター2
「目下の座標を固定し、転移ベクトルを修正103、目標アセンズ(注釈:亞森斯)コラム。

 残り十数分でこの特遣艦隊は平穏無事に帰還できる。だが、この時警報が鳴り始めた・・・

オペレーター2
「艦長、この警報は・・・
モリヤマ
「まさか、“奴等”?
オペレーター2
「いえ、サーチシステムは平静を保っています。おい、そっちはどうだ?
オペレーター6
「私の所も同じです。誤作動ということでは?
オペレーター2
「そんなことはありえない・・・これは・・・
モリヤマ
「いったいどういうことだね?
オペレーター2
「この警報は本艦以外の対象に向けたものではない筈です。
モリヤマ
「じゃ、これはどこからのだね?
オペレーター2
「今よりサーチを試します・・・異常状況の出所はを発見しました!本艦第三区!?

 KOS-MOS起動命令下達【かたつ】後、KOS-MOSはヴォークリンデのシステムに侵入並びに、掌握を始めた・・・<注釈:ORでの場面をどう解釈するかにもよるかもしれないが、この訳は微妙と思われる>

オペレーター2
「これはKOS-MOSです!

 同一時刻、調整室の人々もKOS-MOSの起動に驚き飛び跳ねんばかりであった。

アレン
「なぜ可能なんだ!?おい、なぜ、こんなことに!?
ベッセル
「わかりません!実際、突然過ぎます!現在、確認作業中です!
トガシ
「KOS-MOS警戒態勢レベル4!拘束プログラム解除、くそっ!勝手に起動したぞ!
ジョンベル
「私の所もすでにカウントダウン信号が出現しました!
アレン
「いったい、どういうことなんだ!?何でこんな突然・・・

 悪夢から目覚めたシオン、ウィンドウのデータを見た途端、現在、好ましくない状態にあることを理解する。

シオン
「カウントダウン!?ありえないでしょ!

 シオンはせっせと着替え、調整室へ連絡するが、出るのはジンの留守伝言。<注釈:この個所は明らかな間違い。ORでのこの場面はシオンは自室の通信端末からアレンにコールしているが、繋がらず、艦内の警戒発令及び信号を聞いている>

ジン
「ブツブツ・・・
シオン
「もう、何でこんな時に・・・まさかKOS-MOSが勝手に起動を?・・・ありえないわ。当初の設定ではKOS-MOSは私の端末機からパスワードをインプットしなければならず、そうしてようやく起動し、自分で目覚めるなんてありえない・・・こんなこと再び発生するはず無いのに・・・

 部屋から走り出るシオンだったが、通路が閉じてしまう。

シオン
「やはり・・・あの時発生した事件と同じだわ・・・

 シオンは2年前の惨劇を思い起こしていたが、別の警戒信号で現実に引き戻される。<注釈:ORでは警戒信号が二種類あったが、中国語訳では一種類に混同されているので、この個所も訳し間違いが少々あるといえる>

シオン
「今度は何なの?

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10.グノーシス襲来
モリヤマ
「今度は何だ?
オペレーター2
「前方を調べた所、大規模な空間歪曲現象が出現し、大質量物体がまもなく出現します!
モリヤマ
「そんな!?コラム有効範囲にはまだ到達していないのだぞ。・・・こんなことはありえない筈では・・・
オペレーター2
「U.M.N.の幾らかの構造体が置き換えされています!
オペレーター3
「対象は何らかの方法でU.M.N.に干渉している様です!
モリヤマ
「システムをハッキングされた!?何故そんなことが!?
オペレーター3
「重力偏向値甚大!時間と空間<注釈:ORでは時空間>に不連続面が出現!
モリヤマ
「何故こんなことに!
オペレーター1
「ロジック推論上じゃあ、不可解だ!
オペレーター6
「質量計算中・・・質量不一致!明確な数値が算出できません!質量、甚大!
オペレーター4
「波高は?
オペレーター2
「こ、これはまるで津波並みの重力波だ!
オペレーター4
「質量が増大!通常空間に実体化します、艦長!
オペレーター2
「し、正面から来ます!
モリヤマ
「やはり巡礼船団【グノーシス】(注釈:巡邏船団)か!

 大量のグノーシス艦隊が障害物となり、特遣艦隊の帰郷の道を遮る。有効な反撃の武器に欠く特遣艦隊は侵略されるがままに任せるしかなかった・・・・・・

 艦内では戦闘警報がすでに公布されており、あらゆる武装兵達がすでに戦闘準備をしていた。

バージル
「お前ら<注釈:レアリエンのこと>は手足が切れ落ち様と何も感じないだろうが、自分の肉体だけで応戦するなんざ、やはり、勇気があるもんだぜ。それも良いかぁ。お前等は大人しく後ろ盾を演じてくれや。

 グノーシスの侵入後、兵士達は勇敢に抵抗するが、反撃し様がなく、戦況は悪化する一方だった・・・・・・

 一方の道が塞がれたことにより、シオンは止むを得ず、眼前のグノーシスと戦うが、対抗手段がまったく無いことを知る。シオンは巧みにグノーシス等をかいくぐり、通信室までたどり着く。

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11.KOS-MOS完全起動
 シオンが通信室に辿り着いた同時刻

アレン
「止まらないのか!
ジョンベル
「方法がありません!コントロールを受け付けません!
トガシ
「KOS-MOS、自立モードで起動!
アレン
「はぁ、ありえない!あの事件の後、自立モードはすでに凍結されている筈、主任の端末から命令が出ない限りは凍結解除は出来ないはずだ!くそっ、何でいつもこんな時ばかりに・・・まさか、グノーシスに対して反応したか・・・あ、主任はどこに!?
新人
「ここへ向けて出発している筈ですが・・・UNPの通常帯が電波妨害に遭い、連絡できません。
アレン
「じゃ、非常帯は?
ベッセル
「今、試しています・・・・・・

 ほどなく、シオンの携帯の着メロが鳴り出した・・・シオンは自分の携帯を席に置いているだけであった・・・・・・

アレン
「○○××・・・・・・

 KOS-MOSの完全起動と同時に、電源が突然切れる。

アレン
「どうした!
トガシ
「わかりません、電源が突然・・・・・・

 完全にコントロールの出来ないKOS-MOSはこうして自己覚醒した。あらゆる研究員が2年前の事件を聞いていた為・・・・・・自分等に有り得る末路を想像し、驚きの余り、各々は慌てふためた。そして、KOS-MOSは周囲の状況を確認すると、艦内のシステムに切り込み、シオンの行方を探し始めた。

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12.さよなら、お気をつけて!
 シオンがようやくレアリエン調整室への道に着いた頃、バージル達はそこに敵が襲来したと思われていた。

バージル
「けっ、なんとまぁ一匹で来るとはなぁ<注釈:ORではのこのこやって来やがったぜ>・・・逃走パターンは一匹だけだが、まぁ俺の頭を下げさせてくれるぜ<注釈:ORは嘗められたものだぜ>

 シオンがバージル達の視線に入ったばかりの所で、彼女は集中砲火に遭うが・・・・・・幸運だったのは、彼等の射撃術が悪く、シオンは全くの無傷でいられた。

バージル
「馬鹿野郎!何しに来た!?
シオン
「危ないでしょう!?当たったらどうするんですか!?
バージル
「当たったら、ざまぁねぇだろう!何を至る所で走り回っていんだ?グノーシスだと思ったじゃないか!
シオン
「私だって、大変なんです、途中でグノーシスに襲われるし・・・私だって道に迷ったんです。神様じゃないんだから、私じゃ始末できません。
バージル
「騒ぐなっ!この戦艦はお前等の会社が作っただろ!
シオン
「私は艦船部じゃないんです、私だって戦艦は分かりません。
バージル
「今は緊急事態だろ!民間人が至る所で走りやがって。
シオン
「私だってどうしようもなかったんです。KOS-MOSが心配だわ・・・
バージル
「KOS-MOSだぁ~・・・後で言え、後で!早く避難しろ!
シオン
「出来るんなら、私だって逃げたいです。
バージル
「じゃ、何で逃げない!
シオン
「それはKOS-MOSが・・・
バージル
「はっきり言え!
兵士1
「お、おい!
レアリエン
「来るぞ、位置に戻れ!
兵士1
「おい、中尉!
バージル
「何だ!?そんな大声で言わなくたって、聞こえるぞ!・・・な、何だ!?これは・・・おい!お前等早く壁から逃げろ!

 グノーシスが壁を通り抜け、バージル達に攻撃を始める・・・・・・戦争の場面を見たことの無いシオンは驚きの余り、足がすくみ出し、危機一髪の所を一人のレアリエンに命を救われる。

レアリエン
「大丈夫ですか?
シオン
「あ、ありがとう。
レアリエン
「どういたしまして。そうだ、このE区の方向を行った後、格納庫へと着きます。そこにはライフポッド(注釈:救生艇)がありますので、ライフポッドに乗って逃げて下さい。
シオン
「じゃ、あなた達は?
レアリエン
「私達はここで応戦しなければなりません、今の内に早く逃げて!
シオン
「だめ!あなた達を捨てて逃げられない!皆で行かなくちゃ!

 次々にやられる前線のレアリエン達。

レアリエン
「思い出して下さい。私達が創造された目的が何かを。
シオン
「でも・・・
レアリエン
「心配しないで、私達はその為にここに生まれたのです。
シオン
「あなた・・・
バージル
「おい、お前、そこで何をやっている!?早く隊伍に戻って応戦しろ!
レアリエン
「さよなら、お気をつけて!

 バージルとグノーシスがもつれきれない状態と同時に、ヴォークリンデの末路も次第に近付き始めた。

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13.ヴォークリンデの末路
オペレーター3
「ベルタ区間反応無し、防空網の効率20%に低下!
モリヤマ
「射撃管制官、何をやっている!早く敵の母艦を沈めんか!
射撃管制官
「無理です!こんな近くでは艦砲射撃が出来ません!
オペレーター6
「敵部隊、リアクタールーム(注釈:反応機器区域)に侵入!
機関担当
「炉心緊急閉鎖!バイパスを違う方に処理させろ!
オペレーター6
「A.G.W.S.損耗率70%を超えました!

 特遣艦隊が主砲を敵母艦に向けて射撃するが、完全に遮られる。そしてグノーシスの反撃は早く、特遣艦隊は即座に総崩れとなってしまう。

オペレーター2
「オオゲツ(注釈:大月)沈黙!
オペレーター6
「ヒースン(注釈:比森)隊損耗!
モリヤマ
「増援の要請はどうした!?
オペレーター2
「増援要請を出しております!こちら117海軍師団所属の巡洋艦ヴォークリンデ、現在、敵巡邏船団と交戦中。宙域座標はKK417Y009 2735!出来るだけ早い増援を!繰り返す・・・
オペレーター3
「艦長、やはり・・・
モリヤマ
「間違い無い!奴等の目的はあの物体だ!
オペレーター6
「左舷ロジカルドライブ損傷、F区火災発生!
モリヤマ
「くそ!副船長はどうした?アンドリューはどこに死にに行った!?

 この末路を早めに予測していたアンドリューはすでに宇宙服を装備し終えており、格納庫へ向かって自らの使命実行準備をしていた。

オペレーター3
「LPSが干渉を受けています。目前の位置を確認できません!
オペレーター2
「防衛ライン突破!敵主力艦、こちらへ向かっております!
モリヤマ
「しまった!

 ブリッジが攻撃を受けた時と同じ頃、アンドリューは既に格納庫へ到着していた。

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14.私の証明を為【な】せ
アンドリュー
「状況はどうだ?
技師1
「本区メインエンジンとサブリアクター(注釈:補助反応器)を既に連結済みです。3分以内に要求される動力を生み出せます。
技師2
「ロジカルドライブの作業は終了、この端末からコントロールできます。
アンドリュー
「それでいい。良くやった。
ヴァンダーカム
「中佐、無茶です!この区域を直接ハイパースペースにジャンプするなんて自殺そのものだ!防護フィールド壁(注釈:防護壁)無しにハイパースペースに入ったら、肉体が耐え切れない事は中佐も良く分かっている筈!
アンドリュー
「これを指令の下へ送ればそれで良い。あと数分後すればコラムの影響範囲に入る。時間が無い、お前等はライフポッド(注釈:逃生艇)へ行け。
ヴァンダーカム
「中佐、外にはグノーシスの大群が待っており、逃げても生きるチャンスはありません!我々も中佐と共に最期まで・・・・・・
アンドリュー
「良く聞け、グノーシスなんぞ数が大いに過ぎぬだけだ。何が何でもやはりあれを目覚めさせるよりは良い。ライフポッドが射出されたら、即座に8mmのDIGをうて。それで暫し仮死状態となり、奴等の注意を引かずに済む。数時間したら、指令の増援が到着する。お前等は生き続け、並びに私の証明を為【な】せ。
ヴァンダーカム並びに技師一同
「中佐!
アンドリュー
「早くしろよ!

 バージル達が必死に抵抗をしていたにも関わらず、グノーシスには傷を付けられない。グノーシスの気化弾頭の攻撃の下、バージルを除く全ての兵士達は殆どが死んで消え去っていた。シオンも又、地面の揺れによって、端末を地面に落としていた。

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15.存在意義
バージル
「どうする・・・・・・どうしたら、あいつらを止められる・・・・・・一体、どんな方法があるんだ・・・・・・

 バージルはレアリエンがまだ震えていることに気付き、振り返るとシオンの端末機を見かけた後、バージルの霊感が閃き、シオンの端末機を拾いあげる。

シオン
「何をするの!返して!
バージル
「慌てるな、すぐに返してやるよ。お、彼等は506型だったよなぁ」
シオン
「じゃ、何?
バージル
「14年位前だったかな、俺がミルチアから帰還した頃の話だ。かつて、おれはある目的の為に戦場の上で彼等を何人もばらしていたんだ。思い出すだけで苦労するぜ。彼等にはソフトとハードに一定のプロテクトが掛かってたんだ。
シオン
「プロテクト?中尉、あなたやはり彼等の中枢組織を食したのね。
バージル
「お前さん、ほんとに鋭いなぁ。あれは美味だったぜ。
シオン
「酷い・・・・・・
バージル
「あの時から俺は制御コードの存在を知ったんだ。これはほんとに便利だぜぇ。そう、俺はこれらのレアリエンでグノーシスを遮るのさ、これでな!!
シオン
「やめて!貴方は彼等を何だと思ってるの!?これは人権に対する・・・
バージル
「人権侵害だって言いたいのかい?それは平時に言うものだぜ。ミルチア憲章なら、非常にはっきりと分かっているぜ。ミルチア憲章第四条十三項、戦闘用レアリエンは有事及び暴走時の、危機発生を防ぐ為に遠隔端末設備によってその行動、並びにその自爆機能の起動等をコントロールできる。その指令の下達【かたつ】を現場の指揮官が判断及び執行する。って所か。
シオン
「・・・・・・
バージル
「だから、今がその時なんだよ。彼等を有効利用する為のな・・・・・・
シオン
「やめて!貴方に彼等の生理機能を停止させる権利なんてないわ!彼等を自爆させるなんて、私はあなたを絶対に許さないわ!
バージル
「じゃ、どうする?言ってくれよ。こうなった以上、お前等は何故、この機能を削除しない?この種のコントロールの制御コード、お前等に削除できる方法がある筈だぜ。お前等意気地無しが僅かな骨折りをするだけで、彼等は本当の自由を得られるんだぜ。だが、お前等はそれをしない。何故だ?
シオン
「それは・・・会社の規定。
バージル
「その通り。規定だよ。つまり、お前等がこの規定で彼等を縛っているのさ。俺と比べて何が違う?彼等の生存意義はお前等の立場からすれば、授けるもの。違うか?
シオン
「それは・・・・・・
バージル
「少し説明すると、これは造物主と被造物主の関係だ。違うか?なら、俺が今、彼等の存在意義<注釈:ORでは存在意義【いきたあかし】と読む>ってのを授けてやろうじゃないか。

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16.やっぱ・・・・・・私は死ぬんだ・・・・・・
 バージルの自爆指令下達【かたつ】後、グノーシスを遮る事は依然としてできない。バージル自らが倒されただけでなく、シオンもグノーシスに捕まる。

シオン
「やっぱ・・・・・・私は死ぬんだ・・・・・・

 シオンの意識が次第に遠のいた時、あのブロンドの少女が又出現した・・・・・・

シオン
「こんな所に・・・・・・女の子・・・・・・どこかで見たかな・・・・・・ここは危ないよ・・・・・・早く逃げて・・・・・・だめ・・・・・・言葉が出ない・・・・・・ここまでね・・・・・・どうせ死ぬんだし・・・・・・

 グノーシスの動作が突然止まった。KOS-MOSも丁度良く、この時に登場。

アレン
「主任!大丈夫ですか?
シオン
「アレン君、何でここに?
アレン
「他の人は皆既に我々の練習艇にいます。KOS-MOSが彼等を離脱させたんです。主任も早く!
シオン
「KOS-MOSが?

 KOS-MOSがヒルベルトエフェクトを起動させ、付近の全てのグノーシスが即座に実体化し、KOS-MOSが即座に反撃を始めた。

バージル
「こ、これは何の化物なんだ!?
シオン
「KOS-MOS!
アレン
「つ、強い・・・・・・(注釈:ORは『す、凄い』)

 KOS-MOSが追撃を振り払う。

KOS-MOS
「シオン。
シオン
「な、何?
KOS-MOS
「第一格納庫へ行きます。グノーシスの目標は99.998パーセントの確率で格納庫に保存されている物体です。私に与えられた任務は物体の確認並びにその保護、そしてあなた達ヴェクター関係者の保護です。
シオン
「けど、私は・・・・・・
KOS-MOS
「格納庫の第二層にライフポッドがあります。それを利用して逃げて下さい。
シオン
「KOS-MOS・・・・・・
アレン
「しゅ、主任!

 A.G.W.Sと融合したグノーシスと戦い、それを倒す。

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17.私は人間ではありません、ただの兵器です
 一行はその後、やっとのことで格納庫に到着した頃、アンドリューは依然としてゾハルを送ろうと試しており、システムはその時を待っていた。

アンドリュー
「くそ、こんな時に壊れるとは!これでは生きた証を示す機会が無いではないか!
シオン
「アンドリュー中佐・・・・・・
アンドリュー
「お前等は!?どうしてここへ!?グノーシス・・・む、目覚めたのか・・・・・・
バージル
「来い、来い、来い!来いよ!死ね!糞野郎!はははは・・・・・・

 シオンも武器を取り、力を振り絞って抵抗するが、後方にグノーシスが突如現れ、シオンを脅かす。この危機にバージルが身を翻してシオンの近くにいるグノーシスを射撃する。だが、バージルはKOS-MOSを遮った為、バージルはKOS-MOSに容赦せずに蜂の巣にされてしまう・・・・・・この惨劇を目の当たりにしたシオンはKOS-MOSの残酷無情さにがっかりしていた。

KOS-MOS
「この船は間もなく瓦解します<注釈:ORは沈む>。急いで下さい。
シオン
「待ちなさい、KOS-MOS。KOS-MOS、あなたさっき、何をしたのか分かっているの?
KOS-MOS
「私に与えられた任務はあなた達ヴェクター関係者の保護であって、軍人を必ず保護しなくてはならない指令は受けておりません。
シオン
「でたらめを言わないで!たとえ、こう言う状態でも人を殺していい訳じゃないのよ!何でバージル中尉までを殺さなくちゃいけないの?彼が死んでいなければ、あなたの僅かばかりの助力になれたのよ!<注釈:ORでは『彼を犠牲にしなくてもあなたの力なら』となっており、訳した本人の意訳又は勘違いでの誤訳と思われる>
KOS-MOS
「あの時、バージル中尉は私の射撃軸戦場に丁度おりました。もし、私が射撃線を変えたら、あなたの保護をする為に私の12時方向の火力が30%以下に低下していました。比べて見れば、中尉が死ぬのは戦力がたったの0.2%しか減りません。私はあなたの生還の為に、一つの正確な選択をしただけです。その上、ライフポッドは2人しか乗れません。優先順位は決まっています。
シオン
「こんなことしていいの!酷いわ!良心ってものがあなたにはないの!?
KOS-MOS
「シオン、私は人間ではありません、ただの兵器です。これはあなたが一番理解していること。どうします?船に乗るのですか?もし彼の為に悲しむのなら生き延びるのが良いでしょう。でないと、彼はいたずらに犠牲になったに過ぎません。
アレン
「主任・・・・・・行きましょう。

 KOS-MOSがゾハルをさっと見渡すと、グノーシスの頭目級が現れた。ミノタウロスの撃破後、シオンとアレンはライフポッドに乗り、KOS-MOSは最初に決められた計画に沿って、グノーシスにゾハルを奪わせた・・・・・・<注釈:この解説はは誤りなのか、正しい解説なのかの判断が難しい個所>

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“百式観測レアリエン・モモ”
Index
1.不定期貨物船エルザ 2.私は本気なのよ! 3.困った時はお互い様じゃないかな 4.グノーシスを消す者
5.秩序の羅針盤 6.たかが15億 7.接触小委員会 8.この名前、嫌いです
9.モモ救出 10.ジギーって呼んでもいいですか? 11.脱出 12.いただきます
13.アンドリュー中佐 14.Y資料 15.エルザ、ハイパースペース内へ 16.追撃戦
17.一緒だから 18.白兵戦 19.合流

1.不定期貨物船エルザ
 ゾハルが強奪されるのを見ながら、KOS-MOSは側に立って観察をしつつ、同時にヴェクターの上層部に状況を報告していた。

KOS-MOS
「ええ。物体はオリジナルではありませんでした。・・・・・・ええ。エミュレータ―(注釈:模擬品)です・・・・・・ええ、マーキング後、直ちに本宙域を離脱し、当初の計画通りに第2ミルチアへ向かいます。

 グノーシスの母艦が離れる前に、KOS-MOSは追跡器を発射。続いて、付近にいた一掃の宇宙船を発見。

マシューズ(注釈:馬修斯)
「全滅か・・・・・・この戦いは激しかったな。何も残っちゃいねぇ。おい、トニー、連邦船はあとどれ位で到着する?
トニー(注釈:東尼)
「うんと・・・・・・最後の救難信号が約30分前に出たし、どんなに早くても3時間は必要でしょう。付近には何の船影もないしな・・・そうだろ、ハマー?
ハマー(注釈:哈馬)
「そうっすね。半径5000光年内では自分等の船しか残ってないっすよ。
マシューズ
「良いぞ。時間はこれだけあれば充分だ!あらゆる売れる物は一つも残すなよ!
ハマー
「ねぇ、船長、たとえガイナン(注釈:凱南)のかしらへの借金返済日が近付いているからって、こんな事すんのはあまり良くないんじゃ?連邦警察に捕まったら、少なくとも十年は閉じ込められるっすよ。
マシューズ
「見つかった時だろ。何を言おうと、こんな鳥が卵を産まない様な場所でどうやって連邦警察がここへ巡邏するって言うんだ。
ハマー
「そうですね。けど、死人の物を取るなんで必要はないっすよ。どうみても俺等はまるで宇宙のクマネコ<注釈;クマネコは熊猫(中国語で言うパンダ)と訳されていたが、敢えてクマネコとした>かジャッカル・・・・・・いや、ハゲタカ<注釈:ORではハイエナ>って言うべきですよ。
マシューズ
「馬鹿野郎!何だ、そのでたらめな喩えは!それらの動物はとうに絶滅したぞ!何を不吉な・・・・・・俺等は宇宙の環境を保養するリサイクル屋だ、リサイクル屋!
トニー
「ガイナンの旦那にこういうことの禁止命令を喰らったばかりっしょ?これはファウンデーションの名誉を妨げるって。こんなんでいいのかなぁ。・・・・・・お!三時の方向に重傷の戦艦があるぜ。ガニメデ級だ。
マシューズ
「おお、良いぞトニー!U.M.N.の非常帯を傍受出来て、これで儲かるぜ。早く行け、早く!
ハマー
「やっぱ、ハゲタカかな・・・・・・
マシューズ
「何言ってんだ!?
トニー
「スペクトル(注釈:頻譜)分析器正常、ジオクリスタル(注釈:大水晶)の光っすよ。
マシューズ
「良いぞ!これは良い事の始まりだ。まずは先にそいつを取ってからだ。

 舵取りのトニーが船を目標に向けて前進をした所、まるで死体の様なものを見かけた。

トニー
「あ、あ、あれは死体!何がジオクリスタルだ、くそ!
マシューズ
「こ、これは当然なことだろ!ここは戦場だぞ、何をつまらないことで驚くこたぁねぇ。俺達のエンジンの推進剤を浪費したじゃねぇか。構うな。放り捨てろ。
トニー
「冗談じゃないっすよ。俺は死んだ婆ちゃんに往生者を尊敬しろって躾【しつけ】られたんすよ。悪霊に取り付かれたくないっすよ!船長であるあんたが自分でやってくださいよ!
マシューズ
「馬鹿野郎!まさか、あの物体がおめぇの爺さんか誰かだってのか?冗談じゃねぇ。適当なこと言わずに、早く進め!
トニー
「またかよ!船長はいつもこうだ。嫌いな仕事は全部他人に押し付けるんだから。

 エルザを発見したKOS-MOSは、既にその進行方向に目標を捉え、その上、左舷の窓に漂い着いたのであった。

マシューズ
「馬鹿!そいつをあそこに挟みやがって!早くそいつを捨てろ!
トニー
「俺にどなってどうするんだよ、そいつが自分から漂ってきたんだってば!俺は関係ないよ!
マシューズ
「分かったよ!早くそいつを捨てろ!
ハマー
「あぁ、この死体は綺麗だなぁ、なんだか女の子みたいだなぁ。もしかしたら、美女かもよ、へへへへ・・・・・・。
マシューズ
「なにをまだへへへへと言ってんだ、変態!死人がどうして美女なんだ。
トニー
「これか。ハマーとお似合いかもな。彼女と対面できるチャンスなくて本当に惜しいな。

 もともとまだ死んだ振りをしていたKOS-MOSは、突然目を開き、窓の上に張り付き、その場を見ていた人の驚きは皆死にそうなものだった。

KOS-MOS
「通信機を開いて下さい。あなた達に話しがあります。周波数は2020です。
ハマー
「わ、死体が話した!
マシューズ
「馬鹿野郎!はっきり見ろ!こいつは死体じゃねぇ!
トニー
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・・・・(注釈:ORでは『なんまんだぶなんまんだぶー』)
マシューズ
「レアリエンじゃないってことはサイボーグか・・・・・・。
ハマー
「け、けどレアリエンが真空を活動できるなんて聞いたことがないっすよ。
マシューズ
「なら、軍のロボットだろ。気にするな。通信機を開け・・・・・・。
「俺は不定期貨物船エルザの船長・マシューズだ。
「先程、貴殿等の救難信号を受け取り、おりよく本船が付近を通っており、できるだけ早く救援に向かったのだが・・・・・・
ハマー
「きゅ、救援・・・・・・
マシューズ
「おほん・・・・・・な、何か手伝える事はありますかな?
ハマー
「何が救援すか・・・・・・“バイト”っしょ。
マシューズ
「阿呆(注釈:猪頭)・・・・・・まず、騙してだな、俺等は隙を見てずらかっちまうんだよ!<注釈:ORでは『頂いちまうんだよ』>こんな惨状じゃぁ、誰も生き残っちゃいねぇって。
KOS-MOS
「単刀直入に言います。今から貴方達には第2ミルチアへ進み、並びにゲートジャンプをして下さい。
マシューズ
「何?お嬢さん、寝言(注釈:夢話)はベッドに戻ってから言ってくれ。俺等はバイトしなきゃいけねえんだ。お前さんに構う時間は多くないんだ。その上、第2ミルチアだぁ?あんな遠くに行って幾らかかるのか分かってんのか?
KOS-MOS
「ご心配無く。私はU.M.N.ゲートジャンプの費用を持っています。<注釈:ORでは『U.M.N.ゲートの使用料金ならば“我々”が持ちます』となっている>
マシューズ
「空論に過ぎないし、お前さんを信じられるかよ。たとえ、お前さんの言うことが本当であろうと俺等は仕事をしなきゃいけねえし、時間が無くて融通が聞かねえんだ。
KOS-MOS
「私も時間がありませんし、私の指示を聞かないのならばこの窓ガラスを割りますよ。
マシューズ
「へっ、破れるもんならやってみろよ。この船の窓ガラスはな、口径6ミリの武器による直接射撃を遮れんだよ。お嬢さんの粉の様な拳じゃぁ、ちょっとした裂け目すらありえん・・・・・・

 彼等との時間の浪費がおっくうなKOS-MOSは、一撃で窓ガラスをもう少しで裂ける状態に持って行った。

KOS-MOS
「もう一撃でこの窓ガラスは破れますが、私の見る所、貴方達は宇宙服を着ていませんね。これは善意の提案なのですよ。もしも貴方達を宇宙に放り出せばこの船を占領出来るのですよ。
マシューズ
「わ、分かった!行くさ、行けば良いさ!興奮すんなよ!
KOS-MOS
「もし、始めの時に正直に話を受け入れていれば、この1分45秒を浪費しませんでしたね。今から船に上がりますので、カーゴベイ(注釈:貨艙門)を開いて下さい。
マシューズ
「りょ、了解。
KOS-MOS
「それと・・・・・・
マシューズ
「何だ?
KOS-MOS
「もしも貴方達が急加速して私を落とすのなら、やめておくことです。エンジンと共に船を破壊しますよ。
ハマー
「完全に見破られたっすね。
マシューズ
「うっせぇ。

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2.私は本気なのよ!
 KOS-MOSが自分の調整槽を持ちながらエルザに入った後、エルザは救難信号を傍受した。

ハマー
「船長、汎用帯から通信があるっすよ。
マシューズ
「通信か?救難信号か?
ハマー
「俺っちも分からないっすが、スピーカーに接続するっす。
アレン
「・・・・・・いませんか・・・・・・誰かいませんか・・・・・・

 シオンとアレンがライフポットに乗った後、こうした経験を持たないアレンは怖さの余り、助けを呼んでいた。

アレン
「誰でも良いですから、聞こえたら助けて下さい!あ、主任も助けを呼んで下さいよ!
シオン
「焦らないで。呼ばなくたって、どっちみち救援は来るわ。そうだ、KOS-MOSは・・・・・・彼女は一体どこへ行ったのかしら・・・・・・
アレン
「誰が知っているんですか・・・・・・どの道、現状況はまずいですよ。このままだと、もしかしたら外にはグノーシスがまだいるかもしれないですし。
シオン
「今はそんなことの心配をする時じゃないのよ。KOS-MOSを早く回収しないと・・・・・・
アレン
「KOS-MOSには構わなくたって良いですよ。今一番大事なのは救援です!こうなると分かっていたなら、皆を先に行かせなかったのにな。もしかしたらまだ近くにいるかも・・・・・・
シオン
「信じらんない!アレン君、あんな事が発生したのに、あなたまだそんな元気があるの?
アレン
「僕だって大ショックでしたよ。ああ、思いもしなかった主任がそんなことを言うなんて・・・・・・あ~、ショックだ。ショックなのに主任の心中では僕を冷酷なアンドロイドと同一視するなんて。
シオン
「私はそんなこと言っていないよ!
アレン
「言いました。主任は僕をアンドロイドと見なしているんだ。
ハマー
「これは何と何すか?

 側にいたKOS-MOSは聞いていられなくなり、通信回線を繋げた。

KOS-MOS
「シオン。
シオン
「KOS-MOS、あなたなのね?どこにいるの?
KOS-MOS
「近くを通りかかった民間船の中です。暫くは現状を確保して下さい。連邦の救援がじき着きます。
シオン
「暫く・・・・・・?KOS-MOS、あなたは何を考えているの?
KOS-MOS
「私はこの船を使って第2ミルチアへ行かねばなりませんし、これは本社からの指示です。
アレン
「ミルチアへ行く・・・・・・って、待ってくれ、僕達は?
KOS-MOS
「遺憾なことですが、貴方達についての指示は承っておりませんので、目下の指令が最優先です。
アレン
「何だって?僕達をここに救援が来るまで待たせるって?
KOS-MOS
「その通りです。
アレン
「ちょっと待ってくれ、こんな辺境の暗礁宙域で、誰が連邦の救援艇が来るって保証できるんだ?もしも来なかったら、僕等はこのポッドで餓死しなきゃいけないんだ!そんなのは嫌だ!
KOS-MOS
「餓死する前に、酸素不足で窒息死する方が有り得ますね。約46時間後のことですが。
アレン
「そっちの方がましだ・・・・・・ち、窒息?
KOS-MOS
「その通り。もっとも、救援艇が15時間以内に来る確率は96%ですので、窒息死する前に助かるでしょうが、私には百%と断言出来ようがありませんがね。
アレン
「どうしてこんなことに・・・・・・
シオン
「駄目よ、私はあなたに単独行動させられないわ。私達をそっちに入れなさい。
KOS-MOS
「時間がありません。通信を切ります。お大事にシオン、アレン。
シオン
「待ちなさい!KOS-MOS!私達を入れないのなら、私は今からこのポッドのハッチを開けるわ!いいの?
アレン
「な、何をやっているんですか!主任!馬鹿な真似はやめて下さい!
シオン
「アレン君は黙ってて!聞きなさい、KOS-MOS、分かっているわよね。私がこの手でレバーを引けば、何が起きるのかを。これはあなたがとても困ることなんじゃないのかしら?これだと私達を生還させられない、違う?
KOS-MOS
「御一緒出来ませんが、悪しからず。御自由に。<注釈:ORでは『付き合っていられません。やって下さい。』;微妙に意味が違うと思われる>
シオン
「KOS-MOS!私の言う事が本当かどうか信じないの!私は本気なのよ!
アレン
「あーーー、ほんとに引っ張った!
ケイオス
「じゃ、彼等を載せるのはどうかな?彼女は本気みたいだよ。
マシューズ
「お、ケイオス、起きたのか。
ケイオス
「こんな騒ぎを経たら、誰だって騒いで起こされるよ。

 この一瞬、KOS-MOSはケイオスが周りと違う事を既に知っていたが、ケイオスはまるでドアを開けずに直接部屋を通り抜けていた・・・・・・

ケイオス
「どうかな、大丈夫でしょ?彼女には意見が無いみたいだし。後は船長の判断だけど、どうかな?僕からも頼むよ。
マシューズ
「うん、お前がそういうのなら俺は構わねぇが。
ケイオス
「トニー。

 ライフポッドが到着し、ライフポッドにしがみついていたアンドリューも共にエルザに乗る。

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3.困った時はお互い様じゃないかな
シオン
「お邪魔します。あ、あの・・・・・・
マシューズ
「俺はこの船長のマシューズだ。
シオン
「私はヴェクターインダストリー第一開発局のシオン・ウヅキと言います。彼は同局のアレン・リッジリー。本当にすみません。少しも世渡りの経験を知らないこのKOS-MOSが迷惑をかけてしまいました。ねぇ、アレン君、君も言いなさいよ。
アレン
「はいはい。いやー、本当に助かりましたよ。この世間知らずな上司と一緒に危うく宇宙の中で消失し、宇宙のもくずとなる所でしたよ・・・・・・痛っ!<注釈:シオンに足を踏まれた>
マシューズ
「感謝するなら、あちらのケイオスに感謝しな。俺等は本来ならあんたらを放っていたんだ。
シオン
「そうでしたか。ケイオス君、ありがとう。
ケイオス
「どういたしまして。困った時はお互い様じゃないかな。
マシューズ
「こいつのおかげで、俺等はかなり助かっているんでな、あいつの言う事は拒否で出来ねぇんだ。
シオン
「そうなんですか。それはそうと・・・・・・ねぇ、KOS-MOS、あなた何をしたいの?私達を捨てておいて、あなた一人で第2ミルチアへ行く。搭載されているOS、問題でもあるの?
KOS-MOS
「そうかもしれません。
シオン
「ねぇ、本社の指令って何?
KOS-MOS
「マシューズ船長、飛行機格納庫のメンテナンスルームを借りたいのですが。<注釈:ORでは飛行機格納庫は『格納庫協』、メンテナンスルームは『フィッティングルーム』となっており、誤訳?>
シオン
「ねぇ、KOS-MOS!
マシューズ
「良いぜ。使いな。
シオン
「KOS-MOS!
KOS-MOS
「実験用のコンデンサーなので、もしも再び戦いを続けたら、エネルギーが尽きます。充電の為、コ・ジェネレーターを使います。
シオン
「まったく、私の質問に答えなさいよ!KOS-MOS!
マシューズ
「金は請求して良いのか?
KOS-MOS
「はい。
シオン
「KOS・・・・・・
KOS-MOS
「シオン。
シオン
「ん?はい。
KOS-MOS
「センサーが正常ではありません。目的地に着く前に私の為に調整して下さい。
シオン
「な、何で私が・・・・・・
KOS-MOS
「これはあなたの仕事でしょう。お願いします、シオン。
シオン
「あ・・・・・・本当にすみません。この子、人情が全く通じなくて、迷惑をかけてしまいました。
ケイオス
「いいえ。僕達は嬉しいんだよ。クルーが増えてこの船も賑やかになったよ。
トニー
「そうそう。エルザには女の子がいなかったからな。どうだい?目的地に着いたら、僕達でホテルをとって、一杯飲むのは?
アレン
「あ、あ~!
シオン
「うん・・・・・・これは・・・・・・
マシューズ
「ったく、トニーも好い加減にしろ!女とは言ったって、このお嬢さんは別としてあれは人間じゃなく、戦闘機器だろう。
ケイオス
「そうかな。僕から見たら彼女は人と違わないな。

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4.グノーシスを消す者
アンドリュー
「船長、この船のもともとの目的地はセニル(注釈:聖尼爾)でしょう。<注釈:ORは『この船、セニルへは?』なので、この訳はおかしい>
マシューズ
「ん、丁度コラムの途中にあるな。アタリア(注釈:亞坦利亞)から三日間の道程だな。そこでお前さんを下ろさせても良いだろう?<注釈:ORは『そこで降りるってんなら降ろしてやってもいいぜ』なので、誤訳であろうか>
アンドリュー
「ええ、では費用は・・・・・・
マシューズ
「今日はケチなことはしたくねぇ。俺は金に目が眩む人間じゃねぇ。つけにしとこうか。
アンドリュー
「ありがとう。
マシューズ
「遠慮しなくたっていいぜ。どうやら、お前さんも海軍、縁があるのさ・・・・・・。

 窓の外からグノーシスが一匹突如現れ、船の中に人がいる事に気付き、船の中に侵入しようと準備を開始する。

ハマー
「グ、グノ、グノー・・・・・・(注釈:グノーシスは中国語で『靈魅』となっており、中国語の方では『靈、靈、靈・・・・・・』となっていた)
シオン
「グノーシス!
アレン
「まだ、生き残りがいたか!
トニー
「は、入って来る!
アンドリュー
「くっ!

 アンドリューが即座に発砲するが、その結果は流れ弾を作っただけだった。そして、グノーシスは始めにアンドリューを見つけ、とどめを刺そうとする。

マシューズ
「ケイオス!
ケイオス
「分かっている。
シオン
「ケイオス君!
ケイオス
「大丈夫。

 グノーシスがケイオスを攻撃しようとするが、ケイオスが手を振るうだけで、グノーシスの動作は完全に止まった。ケイオスがグノーシスと触れた後、グノーシスが徐々に消失するし、アンドリューは命拾いをした。

シオン
「さ、さっきのは一体どういう事?
マシューズ
「俺等もこれで助かっているんだ。<注釈:ORでは『ま、今のが、俺らが助かっている理由の一つって訳だ』>
シオン
「理由?一体彼はさっき、どういう方法でやったの?グノーシスを消す事の出来る人間がいるなんて・・・・・・。
ケイオス
「ある人は絵を描く事に長けていて、ある人は走る事に長けている。ハマーのナビ技術は超一流だし、ネットに関する知識も豊富。トニーの操船技術は宇宙で一番、彼がそう言っているんだけどね。船長は・・・・・・船長の借金は比べ様がない。
マシューズ
「ん、その通り・・・・・・おい!それは何だ?
ケイオス
「一人一人には自分に対する定義がある。シオン、君はどう定義されているのかな?
シオン
「え?私・・・・・・私は・・・・・・
ケイオス
「僕だって同じさ。事実はこの通り。
トニー
「そう、その通り。
シオン
「ん、そうなのね・・・・・そう言うと、私は理解出来るわ・・・・・・
ハマー
「その通り。
アレン
「何がその通り?何が?主任!まさか、そんな軽い言葉を真に受けるんですか?グノーシスですよ、グノーシス!
ケイオス
「船長、僕たちが宇宙に放り出されれうまで、目的地に行こうよ。彼女、執着が激しいみたいだから。
マシューズ
「あ~~この仕事が終わったら、借金を完済し、ケルティア(注釈:凱迪亞)まで行くんだけどな。妖艶なるスパイスシスターズ(注釈:火辣姉妹)をみて、目の保養をする。この目で彼女等の舞台を見なきゃいけない偉大な計画が!
トニー
「おいおい、ガイナンの旦那の借金を完済したいっても、不可能っしょ。多過ぎるんだもん。それに、またスパイスシスターズだって、船長もまだ彼女等のファンなんだなー。
ハマー
「言いますけど、わざわざケルティアくんだりまで行く必要は無いでしょう?U.N.N.放送だって同じじゃないっすか?
マシューズ
「馬鹿!そんなのは視覚域に信号を送るのに過ぎん!現実に見るのには叶わん!臨場感が大切なんだ!
トニー
「どれも一緒っしょ?どうせ大脳だって見分けが着かないんだから。
マシューズ
「うっさい!早く行くぞ!
トニー
「はい~、了解了解。
ケイオス
「じゃぁ、僕は君等の船室まで連れてってあげるよ。
シオン
「どうもすいません。
マシューズ
「そうしといてくれや。あああ・・・・・・今日はほんと、ついてねぇ・・・・・・

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5.秩序の羅針盤
 その一方、あるミステリアスな人物がヴェクター総裁ヴィルヘルムに対し、状況を報告が入っていた。

紅いマントの男
「ミスターヴィルヘルム、KOS-MOSからの報告を受けました。シオン・ウヅキ、アレン・リッジリーの両名がKOS-MOSと同行。
ヴィルヘルム
「うん。
紅いマントの男
「交戦区域近くには、身分不明な船籍が通ってしまったことを考えれば、これは正に幸運です。
ヴィルヘルム
「彼女が脅威をうけるだけで、KOS-MOSは彼女を守るんだね?
紅いマントの男
「はい。それは最優先の指令です。
ヴィルヘルム
「結局、KOS-MOSを引き揚げさせたのは上策さ。軍にも彼にも、奉仕する必要は無い。どの道、僕等はラインの少女に関する資料も手に入れた。一切の進展は、全てこの秩序の羅針盤の指示が照らすさ。そして・・・・・・時期が成熟するのを待ち、もう一つの覚醒を待たなければならない・・・・・・

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6.たかが15億
 シーンは小惑星「プレロマ(注釈:普雷羅馬)」に移り変わる。この目立たない小惑星、実際にはミステリアスな組織U-TIC機関の基地がある。この組織は実験を丁度進行させており、多くの星を神隠しの状態にさせた。この日、連邦軍指揮官<注釈:アンドリューの事>を援護したマーグリスはもう一つの実験始動令を下し、生気にみなぎっていた惑星を宇宙のもくずと化していた・・・・・・

マーグリス
「15億・・・・・・これは数字に過ぎん。
ペレグリー(注釈:?蕾葛莉)
「皆、無辜【むこ】の民よ。尊重すべきでしょう!
マーグリス
「尊重?それは何だ?博愛主義を持ち出すな。今回の実験は失敗した。エミュレータ―の回収でさえしくじった。必要ならエミュレータ―でさえ決して惜しまぬ。重要なのは結果を得る前にこうした段取りを何度も重ねる事だ。見た所、良心がままならない様子だな。ならば、自首して罪の言い渡しを待つのだな。
ペレグリー
「それは貴方でしょう!
マーグリス
「この俺を卑賤な輩と同一視するなよ。その時に審判を下す人間は我等だ。それとも、ペレグリー、貴様、この14年で我々の目的を忘れたのか?
兵士
「マーグリス司令。
マーグリス
「何事だ?
兵士
「先遣隊の生存者、ヴァンダーカムより報告です。部隊は全滅、ゾハルエミュレータ―の確保に失敗しました。
マーグリス
「ゾハルの行方は?
兵士
「はっきりしませんが、グノーシスに強奪された模様です。
マーグリス
「そうか・・・・・・474特務艦隊に通達。第31計画の状況が発生する可能性がある。新しい命令を下達【かたつ】するまで、当該宙域にて命を待て。
兵士
「はっ!

7.接触小委員会
 連邦主星5th・エルサレム(注釈:第五耶路撒冷)軌道タワー:現在、U-TIC機関に対抗する為に連邦の委員会が開かれていた。

委員4
「所で、あの男はどんな来歴があるかね?
委員1
「元々は連邦の特殊部隊隊員で、カウンターテロ専門家(注釈:反恐怖専家)です。これは既に100年余前の事ですが・・・・・・目下の所、彼はサイボーグの献体であり、並びに様々な任務に従事しております。
委員4
「サイボーグ・・・・・・何とも古い名詞だな。
委員3
「死人を復活させ、再利用する、これは前代から残っている気風だな。あの頃は現在とは異なり、使い終われば捨てるレアリエンがある。
委員5
「ふん、こいつの経歴は真に素晴らしいな。
委員1
「聞く所によると、こいつは低成功率の任務を希望しているそうです。
委員6
「こいつは怪人・・・・・・それとも戦闘狂かね?
委員1
「精神鑑定結果は正常、殺人の嗜好も無いみたいです。
委員2
「ふん、現在の科学はこんなにも発達した。当初はこの数百年前に医療機構には色んな物がまだ並んでいたものだよ。しかし、現在の精神医学には進歩が無いな。いつも、何とか生き延びようとする原動力としか言えない。誰かを騙そうとしているのかね。<注釈:ORでは『ふん。科学の発展に伴い、多くの医療機関がドラッグストアの棚に並んで数世紀。だが、未だに幅を利かせているのが精神科医だ。生き残りの屁理屈ばかりで信用出来んな』となっており、ここの意味はちゃんと中国語に訳されていないと言える。>
委員4
「任務成功率はとても高く、推薦も受けているな。<注釈:ORでは『任務遂行率は非常に高いな。推薦もうなずける』となっており、意味がずれている>
レアリエン
「お連れいたしました。
委員4
「入らせたまえ・・・・・・君は下がって良い。
レアリエン
「はい。
委員5
「Ziggrat8(注釈:塔廟8號)だね。T.C.4667年死亡後、本人の意思により献体となった。ジグラット・インダストリー(注釈:塔廟工業)製。
Ziggrat8
「その通りです。
委員4
「今回の任務は聞いているだろうね。
Ziggrat8
「いいえ。
委員6
「先程、我々が得た情報によると、ある武装組織が復活の兆しがある。すなわち、14年前のあの事件を引き起こした組織だ。
Ziggrat8
「U-TIC機関・・・・・・
委員2
「うむ。この情報は我々の情報網から来た上に、隠れ場所も知る事が出来た。
委員5
「見た所、旧世紀の古代宗教が使用した礼拝堂があり、それは早い内から放棄されて、既に何世紀の間人煙が無いのだ。
Ziggrat8
「私にそこへ侵入し、並びに情報を入手させたいと?
委員6
「それだけの任務なら、諜報局に授ければ良い。
委員4
「実は・・・・・・<注釈:ORではこの後に『簡単に言うとだ、ある者を救出し速やかに然るべき場所へと送致してもらいたい。正確に言えばモノだが--』となっており、この個所は省略されているが、次のZiggrat8の後にこの個所のセリフが置かれている>
Ziggrat8
「手短にお願いします。
委員4
「ある者を救出し、出来るだけ早い内にある地点へ送って貰いたい。実際は“物”だが。
Ziggrat8
「もっと簡単にお願いします。
ユリ(注釈:百合・水羅日)
「ふふふ・・・・・・
Ziggrat8
「子供・・・・・・一般人ですか?
委員5
「レアリエンだよ、百式レアリエン。知っているだろう。
Ziggrat8
「百式・・・・・・対グノーシスの為に特別に製造された観測用レアリエン。聞いた事はありますが、子供の様な感じ<注釈:ORでは『幼体擬装』>だとは知りませんでした。
委員2
「実態を見るのは初めてであろう。
Ziggrat8
「ええ。しかし、これはヴェクターが量産しているはずです。
委員2
「これは原型だよ。あらゆる百式レアリエンの原型だよ。
Ziggrat8
「つまり、彼女が救出の最優先であり、何としてでもこの少女を確保するのでしょうか。
委員2
「物分りが良くて、宜しい。
委員4
「では、受けてくれるかね?
Ziggrat8
「サイボーグ献体のみである私に人権はありませんし、拒否する権利もありません。状況分析に基づき、必要な武器と物資は分析が必要ですし、同時に・・・・・・私を満足させる報酬を一つ、よろしいでしょうか?
委員4
「言って見なさい。
Ziggrat8
「帰還後、私の生体脳がまだあれば、私の生前の記憶の破片【かけら】を完全消去して頂きたい。
委員3
「問題ないが、君は旧型だから、完全消去は難しいぞ。
Ziggrat8
「人工パーツに置き換えすればよろしいです。
委員4
「おかしい要求だな。レアリエンが人権を主張する今日、まさか完全なロボットになろうとは。分かった。手配しよう。
Ziggrat8
「ありがとうございます。
委員3
「状況の詳細はこの方、ユリ・ミズラヒ博士が説明してくれる。

 Ziggrat8がいなくなる。

ユリ
「成程ね・・・・・・彼は殉職じゃないわ。自殺が死因みたいよ。彼がピストルで自分の頭上に発射してのね。
委員2
「自殺!?こんな者に百式の一件を与えておいて、万が一彼の自殺傾向が出たら、どうする!?
ユリ
「ご心配無く、セーフティーが施されており、彼の自殺を防ぎ、させない様になっています。当初、彼の復活は彼の意思に反しての物。唯一残った生体脳を人工製品に置き換えて、彼は完全なロボットになる。この時、彼は合法的な“死亡”を得るのね。

8.この名前、嫌いです
 一方、マーグリスがモモ(注釈:小桃)を捕らえた後、彼の計画着手が既に準備されていた。

マーグリス
「気分はいかがかね?・・・・・・ここの料理は不満かね?たとえ、レアリエンとはいえ、やはり補給は必要だろう。何も言わないのなら、手荒に扱っても責めないでおくれよ。連邦の・・・・・・百式レアリエン。
モモ
「この名前、嫌いです。
マーグリス
「なるほど、それは無礼だった。では、何と呼べば良いのかね?百式レアリエン嬢。
モモ
「貴方の様な知らない人に、名前を名乗りたくありません。私を連れてどこへ行くの?
マーグリス
「この点については、はっきりと分かっているんじゃないのかね?
モモ
「私はどうなるの?
マーグリス
「我々の助けになって貰う。機械は使うものだろう。以後の事は神だけが予測出来る。もっとも、君等にも神がいればの話だがね・・・・・・。
モモ
「私はグノーシスを見つける以外は何も出来ません。だから、私は貴方を手伝えません!
マーグリス
「そうであろうな。だが、お前の“ここ(脳)”は違う。私はお前の脳の中にある“彼”に用があるのだ。どのみち、今は現在をよくよく享受する事だな。時期に“奴”が来る。
モモ
「・・・・・・ママ・・・・・・研究所に帰りたい・・・・・・。

 46時間後、ステルススーツ(注釈:光学迷彩衣)をまとったZiggrat8がU-TICの船に潜入し、プレロマへ紛れ込んだ。
 港から礼拝堂への入り口の所で、Ziggrat8は爆弾二つを先に設置した。だが、礼拝堂に潜入した所で、ステルススーツが故障してしまう。そして、Ziggrat8は出発前、ユリが語った事を思い起こしていた。

Ziggrat8
「・・・・・・なるほど、あの百式レアリエンはU-TICの創設者が遺したものであり、膨大な研究データが残されているという訳か。
ユリ
「ええ。その上、とても重要であり、既に人類の存亡に影響しているわ。<注釈:ORでは『人類の存亡に関わるほどのね』となっており、意味がずれている>
Ziggrat8
「創設者との関係は・・・・・・
ユリ
「U-TIC機関の創設者は百式観測機の提唱者、ヨアキム・ミズラヒ(注釈:尤亞奇姆・水羅日)。彼は科学に耽溺し、人の道から外れた狂人よ。何か言いたそうね?その通り、彼は私の“元”夫よ。その殺人狂<注釈:ORでは『虐殺者』>とかつて結婚していた女性の事をもっと知りたい?
Ziggrat8
「いえ・・・・・・
ユリ
「どの道、連中もきっと全力であの資料を取ろうとするわ。既に時間が無いわね。
Ziggrat8
「了解しました。明日0600時にここを出ます。
ユリ
「お願いしたわ。
Ziggrat8
「確認したい事がまだ一つあります。
ユリ
「何かしら?
Ziggrat8
「確保後の処置ですが、あのレアリエンは戸籍上では貴方のご息女となっています。何故、ここへ送らずに、ミルチア太陽系圏へ?
ユリ
「現在、ある計画がミルチアからミクタムの領域で進められています。この計画は人類にとって大変重要なの。全てが皆、その計画の為にある。私はそこまでしか言えないわね。その上・・・・・・こうすれば、私も彼女と会わずに済むしね。
Ziggrat8
「ユリ・ミズラヒ・・・・・・おかしな女だ・・・・・・。

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9.モモ救出
兵士1
「おかしい。B地区からの定時連絡が無い・・・・・・ちょっと見てくる。お前等はここを離れるなよ。
兵士2
「はい!
モモ
「何か起きたんですか?
兵士2
「うるさい、座ってろ。
Ziggrat8
「見た所、ここの様だが・・・・・・。

 2人の兵士を片付ける事に。

モモ
「貴方は誰?
Ziggrat8
「接触小委員会からの委託で、君を助けに来た。
モモ
「接触小委員会?ママなの?
Ziggrat8
「先に下がっていろ、今こじ開ける。
モモ
「あ、駄目です!聞く所によると、ここをこじ開けると警報機器が鳴ります。
Ziggrat8
「そうは見えないのだがな。
モモ
「この区域にマスターキーがどこかにあるはずです。マスターキーなら・・・・・・
Ziggrat8
「分かった。少し、待っていろ。

 監視房にてガードロボを撃破後、マスターキーを入手し、モモの下へ戻り、鍵を開ける。

Ziggrat8
「先に確認する・・・・・・百式観測機の雛型で間違い無いな。
モモ
「この名前、嫌いです。
Ziggrat8
「何か、他に名前があるのか?

 Ziggrat8に倒された兵士が、こっそりと警報機を鳴らす。

Ziggrat8
「話しがあるのなら、後で言え。まずは逃げるぞ。
モモ
「モモ。パパはモモって呼んでいます・・・・・・前はそう言っていました。
Ziggrat8
「ああ・・・・・・行くぞ、モモ!
モモ
「はい!

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10.ジギーって呼んでもいいですか?
 来た道を戻ろうとするが、礼拝堂には大兵力が既に結集済みとなっていた。監獄の方へ戻った後、追っ手が既に付近に殺到していた。

兵士
「ここにはいないぞ・・・・・・一体、どこへ行ったんだ・・・・・・。
モモ
「あの・・・・・・貴方は軍用の強化レアリエン?
Ziggrat8
「元は人間だ。
モモ
「元は人間?
Ziggrat8
「サイボーグ。前世紀の遺物だ。当初は余り考えずにドナー登録(注釈:捐贈協定)をしたら、死んだ後に再生された。
モモ
「あの悪名が極めて明白であるライフリサイクル法(注釈:生命循環法)ですね。
Ziggrat8
「ああ。現在の原種保護法は、事後処理の問題の両方に配慮を加えられた。
モモ
「あのぉ、お名前は・・・・・・まだ知らないんですけど。
Ziggrat8
「Ziggrat8だ。
モモ
「Ziggrat8<注釈:中国語の文章では『塔・・・廟・・・8』となっていた>・・・・・・元は人間なのに、機械みたいな番号ですね。そうだ、ジギー(注釈:吉奇)って呼んでもいいですか?つまり、元の名前の略称、ジ・ギ・ー!

 ジギーがここまで聞いた所で、脳裏には思い出が突然出現した。それは、彼が息子に一匹のロボットの犬を贈ったあの一日・・・・・・

息子
「ありがとう、パパ!
ジギー
「いや・・・・・・本当は本物にしたかったが、だが・・・・・・あれは手に入れようが無くてな・・・・・・
息子
「だいじょうぶだよ、これは本当に可愛いし!あ、何て名前?もうつけた?
ジギー
「ネクサス6(注釈:聶克薩斯6)。
息子
「それはこの犬の型番でしょ?これじゃ、本物のと機器と違いも無いよ。
ジギー
「うん・・・・・・そうだな。
息子
「う~ん・・・・・・そうだ、ネクス(注釈:聶克斯)と呼ぼうよ!ネクサスの略称、どう、パパ?
ジギー
「ああ・・・・・・悪くない名前だな。
息子
「ほんと?ようし、ネクス!一緒に行くよ!

 モモの声で、ジギーは現実に戻された。

モモ
「子犬みたいに聞こえて、好きじゃないですか?
ジギー
「あ・・・・・ああ、そうじゃない。お前が良いなら、それで良い。
モモ
「ジギー、じゃぁ、それで決まりね!これなら、人間っぽいわ。

 兵士がいなくなる。

ジギー
「もう行ったみたいだな。

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11.脱出
 下水道からやっとの事で出ると、A.G.W.S.に道を遮られていた。

ジギー
「A.G.W.S.・・・・・・成程、武装組織の単純な復活ではないみたいだな。
モモ
「どうします?
ジギー
「さぁな・・・・・・ここにずっといても方法は無いしな。
モモ
「大勢の兵士がこっちに向かって来ています。このままだと、8分後にはここに100人以上の兵士が来ます。
ジギー
「流石、索敵用レアリエンであるだけの事はあるな・・・・・・正面突破・・・・・・は不可能だ。
モモ
「ジギーでさえもできない?
ジギー
「たとえ、サイボーグでもA.G.W.S.三機には対抗出来ない。即座に蜂の巣にされるさ。
モモ
「A.G.W.S.のセンサーがもしも無効化したら?
ジギー
「それなら、何とかなる。だが、どうやって?
モモ
「ある程度なら、無力化させられます。
ジギー
「何?
モモ
「ヒルベルトエフェクトです。ヒルベルトを放出し、相互干渉を起こし、A.G.W.S.の索敵装置の効果を低下させるんです。外部センサーの殆どもそれで無力化するはずです。
ジギー
「ヒルベルトエフェクト?
モモ
「グノーシスを実体化させるシステムです。本来は戦艦に搭載され、強大な火力で広大な区域に使いますが、こんなに小さな空間なら私1人でも展開できます。
ジギー
「成程。試して見るか。
モモ
「はい、じゃあ開始します。
ジギー
「ヒルベルトエフェクト・・・・・・これが対グノーシスの切り札・・・・・・。

 モモがヒルベルトエフェクトを展開すると、A.G.W.S.がダウンを始める。だが、相互干渉の作用はモモにも傷を負わせていた。

兵士1
「どうした?何事だ?
兵士2
「ヒルベルトエフェクトだ!誰かが、ヒルベルトエフェクトを展開したぞ!
兵士3
「索敵センサーがダウンした!
兵士1
「百式だ!百式による相互干渉だ!近くにいるはずだ!探せ!
ジギー
「これが相互干渉か。お前も影響を受けたか。
モモ
「私は・・・・・・大丈夫・・・・・私のキャパシティは彼等よりも高いわ。
ジギー
「休んでおけ。俺が彼等を片付ける。
モモ
「私は・・・・大丈夫・・・・・・手伝わせて・・・・・・今の私でもナノ補修はできます。

 A.G.W.S.を片付けた後、司令室から入り口付近に戻ると、そこにははからずも、マーグリスが満面に殺気を浮かべてそこで待ち構えていた。その上、必殺技を以ってして、初対面の贈り物としていた。ジギーは状況が良くないと見て、本能的に体で遮る。

マーグリス
「成程、お前のボディーがここまで持ち堪える事が出来た訳か。それにしても、恥ずかしい限りだな。ただのサイボーグに過ぎぬくせに、始末できぬとは。
モモ
「ジギー、この人・・・・・・。
ジギー
「ああ、分かっている。
マーグリス
「どうやら、俺は暴れる機会を得た様だな。この刀も喜んでいる事だろう。

 ジギーとモモが命懸けで抵抗するものの、マーグリスには余裕がある様だ。

マーグリス
「どうした?遊びは終わりか?

 ジギーはこの機を逃さずに事前に設置していた爆弾を点火させ、並びに、モモを小型艇に連れていった。小型艇に乗る前に、ジギーは何かをスキャンした様だ。

ジギー
「操縦出来るか?
モモ
「出来ます!

兵士
「追撃機を出撃させろ!早く!

マーグリス
「ふん・・・・・・老練な奴だ・・・・・・。<注釈:ORでは『几帳面な奴だ』>
兵士
「弾薬に引火するぞ!早く消せ!
マーグリス
「遅かったな・・・・・・。

 小型艇の上でジギーは先程スキャンした何かを思い起こしていた・・・・・・

モモ
「どうしたました?
ジギー
「何でもない。モモ、ここに一番近いコラムの前に、まずはゲートジャンプしてくれ。奴等をまいてから、本来の撤退ルートを行くぞ。
モモ
「はい。

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12.いただきます
 同一時刻、航路中のエルザの船上ではただ1人の女性・シオンがカレーライスを作り、一同に食べて貰っていた。

シオン
「では、いただきます。
一同
「いただきます。
シオン
「どう?おいしいでしょ?
アレン
「おいしいですよ、主任。
トニー
「うん、いいぜ。
マシューズ
「騒ぐなよ。こんな女が作る飯が何故、美味いんだ。
ケイオス
「船長、何で言う事と行う事が裏腹なのかな?
マシューズ
「うっさい!俺の食事を邪魔するな!水!
シオン
「はい。
ケイオス
「ご苦労様。
シオン
「そうかしら?大丈夫よ。私には駄目兄貴がいて、暇があれば本ばかりを読んで、何も出来ないんだから。
ケイオス
「僕等は食事については適当にやっているんだ。
シオン
「可哀想・・・・・仕方ないわね。男だけしかいないんだから。
ハマー
「その通り、ここには男だけがいて、もっと惨めなのは食い物がまずいっての。
シオン
「いつもは誰が作っているの?
トニー
「当番制。誰が作ろうと同じ様に、まずい。
ケイオス
「大変美味そうに食べるのが一名(マシューズ)いるだけだけどね。
アレン
「あの・・・・・・
マシューズ
「何言ってんだ?水!
シオン
「はい!
アレン
「主任、あの・・・・・・僕も水がいるんですけど・・・・・・
シオン
「あ、ごめん!気付かなかったわ。
アレン
「・・・・・・・

 食後、シオンとアレンは一緒に皿洗い。

アレン
「・・・・・・これからどうします?
シオン
「そうね。KOS-MOSを放っておく訳には行かないし。あの子勝手に動いているし。
アレン
「ああ・・・・・・本当ならヴォークリンデの起動実験終了後、ミルチア第二局へ引き渡して、休暇を取る予定だったのに・・・・・・。
シオン
「ふふ・・・・・・船長みたいね。
アレン
「ここで、嘆いても意味が無いから、もう良いや。
シオン
「どの道、本社と連絡をとってから、彼等の指示を受けた方が良いわね。
アレン
「ええ・・・・・・ここ暫くは彼等と一緒か・・・・・・。
シオン
「どうしたの?何でそんな事を言うの?
アレン
「疑わしいと思って、この船の線籍を調べたんですよ。彼等はクーカイ・ファウンデーション(注釈:空海基金会)の関係者ですよ。まずいですよ。聞く所によると、あそこはミュータント(注釈:異術者)の巣窟だとか。
シオン
「それは人種差別よ!アレン君、クーカイ・ファウンデーションは確かにミルチア自治政府が整理させたものよ。確かに、以前は奇異な武装組織ではあるけど、それは戦後処理前まで。今日に到っては単純な財団になっているのよ。ただ、彼等が武装解除をしていないだけだけど。現在の代表理事が活動を展開する下で、原種保護法が制定される以前に彼等は被害者達を保護し、彼等の評価は上がったの。確か、何て言ったかな・・・・・・。
ケイオス
「ガイナン・クーカイ(注釈:凱南・空海)。
シオン
「あら、ケイオス君!どうしたの?
ケイオス
「何でもないよ。何か手伝えないかなとだけ思っていてね。
シオン
「ありがとう。じゃぁ、この皿洗ってくれる?
ケイオス
「了解。

アレン
「ふう、洗い終わった。ん?これは・・・・・・?
シオン
「あ、それは中佐の・・・・・・。
アレン
「そう言えば、中佐は来ていませんでしたね。
シオン
「呼んだのに来なかったみたい・・・・・・大丈夫、暖めて持って行くわ。
アレン
「僕等は戻りますよ。
ケイオス
「そうだね・・・・・・あ!
シオン
「何か忘れ物?
ケイオス
「いや、あの子・・・・・・KOS-MOSはどこかな?
シオン
「KOS-MOSなら飛行機格納庫のメンテナンスルームで再調整をしているわ。あと数時間いるわね。あ、あの子と話したいの?だったら、嬉しいわ。
ケイオス
「良いのかな。
シオン
「当然よ!
ケイオス
「ありがとう。じゃ、先に行くよ。
シオン
「お疲れさま。

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13.アンドリュー中佐
 シオンが向かう最中・・・・・・

ケイオス
「やっと会えたね・・・・・・。本当の君は一体どこで、寝ているのかな?おやすみ・・・・・・。

 ケイオスが出た後、心中善からぬ物を抱いたアンドリューが調整室へ入って行った。KOS-MOSをみながら、アンドリューは2年前の出来事を思い出した。

アンドリュー
「こいつを信用して良いのか?だが、何故・・・・・・

 アンドリューが頭をあげると、アンドリューに端末を与えた人間は既にいなかった・・・・・・アンドリューはそれから、端末機を持ちながら、U-TIC部隊を率いて第一局研究所を占拠した。

兵士
「全員伏せろ!
アンドリュー
「本施設は今から我々U-TIC機関によって、占領される。もし、何らかの抵抗行為を行った場合は理由を問わず、一律に射殺する。もしも無抵抗であるのならば、お前等の安全は保障出来よう。諸君等の協力に期待する!

 アンドリューが端末機を用いてKOS-MOSを起動させた後、情実に左右されないKOS-MOSは殺戮を開始し、研究員と兵士は見な、その毒手にかけられてしまう。最後にU-TICの部隊は突撃艇によって、KOS-MOSを攻撃するが、かえってKOS-MOSの一撃によって、沈んでしまう・・・・・。

アンドリュー
「こいつ・・・・・・は2年前の原型なのか・・・・・・?<注釈:ORでは『こいつは-“あの時の元型【アーキタイプ】”なのか?』>

 KOS-MOSを見ながら、アンドリューは押さえつけられた獣性を鼓動させ、銃を取り出し、KOS-MOSに向ける。だが、恐怖感がアンドリューをおじづけさせ、同時に体内の異変も同時に進行を始めた・・・・・・。

 シオンがアンドリューを見つけた際、アンドリューは驚き、シオンに銃を向けた。

アンドリュー
「お前か・・・・・。
シオン
「あ、あの・・・・・・部屋に行っても見つからないので、だから・・・・・・。きっと、お腹が既にすいているんじゃないかなって。
アンドリュー
(・・・・・・)
シオン
「何していたんですか?
アンドリュー
「見ていた。
シオン
「KOS-MOSを見ていた?銃を持ちながら?
アンドリュー
「ああ、これは癖だ・・・・・・。
シオン
「ああ、軍人でしたね。ある人も似た様な癖を持っているんですよ。いつも刀を持ちながら、馬鹿笑いをしているんですよ。危ないと思いません?
アンドリュー
「そ、そうだな・・・・・・刀は危ないな・・・・・・。彼女はグノーシス掃討のアンドロイド・・・・・・。外見では見分けられないな・・・・・・。
シオン
「そうですね・・・・・。この娘は・・・・・・こう見えても、結局は兵器なんですよ・・・・・・。
アンドリュー
「そうだな・・・・・・。ヴォークリンデを離れる以前、バージルだったか・・・・・・。バージルは彼女の戦闘アルゴリズムによって殺されたんだったな。
シオン
(・・・・・・)
アンドリュー
「君をとがめているわけじゃない。人は理論と道理によって、殺される。よくある事だ。
シオン
「あの子が、そんな事を突然するなんて夢にも思いませんでした。
アンドリュー
「基本理論は君が作ったのだろう?
シオン
「ええ。そうですね。いつも彼女を娘・・・・・・又は友達と見なしていた・・・・・けど・・・・・・。
アンドリュー
「成程な・・・・・・。どのみち、中尉はあの状況下では既に救えなかったと思うよ。
シオン
「慰めて下さってありがとうございます。ん?さっきから、食べるのが行儀良いんですね。
アンドリュー
「?ああ、これは性格さ。服を汚したくないんでな。<注釈:ORでは『ん?あ、ああ―性格さ。後付けだがな―。』>
シオン
「何でヴォークリンデに乗ったんですか?
アンドリュー
「何故、そんな事を聞く?
シオン
「何ていうか・・・・・・あそこの部隊の人とは全く相容れていないから。
アンドリュー
「ヴォークリンデは慌しく編成された部隊だ。それに、軍人にも色々な人間がいる。
シオン
「軍人・・・・・・。

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14.Y資料
同時刻,ジギーとモモはルベン宙域第66区に着いていた

モモ
「どうやら,追っ手を撒けたみたいですね。
ジギー
「みんな,おまえが奴等のコントロールシステムに侵入してくれたお陰だ。
モモ
「ふふ,どういたしまして。あ,U.M.N.パルス信号を受け取りました.目標を連邦主星フィフス・エルサレム,ゲートジャンプを行います。
ジギー
「モモ、小委員会本部には戻らない。
モモ
「え~?どうしてですか?
ジギー
「お前を第二ミルチア自治政府に送る様、彼らに言われてある。すまないが、これは俺が受けた命令だ。
モモ
「わかりました・・・・・・ミルチア太陽系圏へルートを変更,固定します。

 ジギーのモモ救出の情報は小委員会に伝わっていた。

委員1
「百式の回収報告は先程受けた。すでに帰途にあるとか。
委員2
「おお,こんな早く行くとは思わなかった。さて,あとはそれを第二ミルチアのU.M.N.管理センターに送り届けられれば,やっと一息つけるな。
委員3
「全く迷惑なことだ。もしもここでデータ分析できれば、それで済むと言うのに。
委員4
「あのレアリエンのプロテクト解除は,ヴェクターの転移ゲート制御施設を利用せねばならない。つまり,U.M.N.管理センターでしか行えん。
委員5
「その通り。その上、14年前の事件後,旧ミルチア宙域の10数光年区域はすでに封鎖されているんだ。通常航行でいくだろう。期待しているのさ。<注釈:中国人ネイティブにも念の為、確認をしたのだが、この個所は誤訳>
委員6
「ヨアキム・ミズラヒ・・・・・・全ては奴のせいさ。・・・・・・
ユリ
「気にしないで下さい。これは,事実です。
委員2
「所で、Y資料はあのレアリエンの中にあるのだろうね。
ユリ
「閉鎖されている宙域のU.M.N.転移ゲートのコード解除があるのは確かです。しかし、開けて見ないと何も断定は出来ません。
委員4
「もしも無い場合、プロジェクト・ゾハルの遅延は免れないな。議会にはどう説明すべきか。
ユリ
「たとえ、見つからないにしても、まだチャンスはあります。この資料をどうぞ。
「これは処理を施した画像であり、唯一残された監視機器のデータです。はっきりとはしませんが、ヨアキムの助手をしていました。当時の状況から見て、彼が何らかの形でY資料を持ち去ったかも知れません。
委員3
「その少年、どんな来歴だね?
ユリ
「氏名、経歴は既にロスト(注釈:遺失)、14歳でボロメオ(注釈:波羅米欧)大学の学生になった事のみがはっきりしています。これは、私がヨアキムから聞いたものですが・・・・・・
委員5
「弱冠の年で既にボロメオか、確かに優秀だな。
委員3
「行方不明ですか?
ユリ
「ええ。現在調査中です。
委員6
「もしも生き続けているなら、28歳か。
委員1
「この論文はヒルベルトエフェクトの副作用についてだな・・・・・・。
委員3
「ヒルベルトエフェクト・・・・・・ヴェクターに潜入しているのかもしれないな。
ユリ
「ミズラヒ脳物理研究所がU-TIC機関に変わる以前、ヨアキムを手助けしたのは他でもなく、ヴェクターです。証拠は有りませんが、ありえない話ではありません。
委員1
「ミズラヒ博士、引続き関連情報の調査を頼みます。
ユリ
「了解しました。
委員2
「どのみち、封鎖されている旧ミルチアの封印を解くのが肝心だ。あそこに置かれているオリジナル・ゾハル(注釈:真佐哈爾)を回収した後、プロジェクトはようやく始まるのだからな。

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15.エルザ、ハイパースペース内へ
 場面はエルザへ戻り、シオンが、KOS-MOSの下から離れた後、マシューズの放送を聞き取った。ブリッジへ行く事になり、ブリッジへ。

ハマー
「?またっすよ、おっかしいな・・・・・・。
マシューズ
「どうした?
ハマー
「カタパルトデッキのハッチが少しおっかしいんすよ。
マシューズ
「エアーはどうなっている?
ハマー
「空気漏れは無いっすけど・・・・・電子システムに問題があるとか・・・・・・?
シオン
「見に行ってきましょうか。
マシューズ
「ああ、すまんな。もしも空気漏れなら、気を付けてくれよ。
シオン
「分かりました。

 カタパルトデッキに赴き、システムを見てくるが、何の問題も無い。

シオン
「うん・・・・・・調べて見たけど、全部正常ね。何も問題は無いみたいだけど・・・・・・
マシューズ
「OK、何も無きゃそれでいい。ご苦労、戻ってくれ。

 ブリッジへ戻った後、エルザはハイパースペース内へと入って行く。

管制官
「U.M.N.転移ゲートサービスのご利用を感謝致します。以下はあなた方の船籍のデータです。クーカイ・ファウンデーション隷属、船種は第二類貨物船、MFHE-49823791、船名はエルザ、船長はマシューズ氏。間違い無いですね?
トニー
「OK、いいぜ。
管制官
「では、フライトプランを提出してください。
「少しお待ち下さい・・・・・・貨物は廃品パーツ、目的地はミルチア太陽系圏・・・・・・あ、貨物重量がオーバーしていますね。
マシューズ
「あ、多く載せ過ぎたんでな。
管制官
「クーカイ・ファウンデーションへの費用請求が増えますが、どうしますか?
マシューズ
「良いぜ。
管制官
「了解しました。では、良い旅を。
ハマー
「やっぱり、怒られちゃいましたね。
マシューズ
「訳に立たん物を拾ったな・・・・・・。
ハマー
「いいじゃないっすか、どうせ、普段からオーバーしているんだから。
マシューズ
「そうさ。
シオン
「ヴェクターの人間がいるって、言えばよかったのに。<注釈:ORでは『ヴェクター【うち】に回してくれって、言ってもよかったのに。』となっており、意味がずれている>
マシューズ
「言えるかよ!
ハマー
「余計な事は嫌なんすよ。

 一方、ハイパースペース内へと入って行ったジギーとモモはU-TIC機関からの追撃を受けていた。

ジギー
「お前の操縦がこんな巧いとは思わなかったな。正直言って、驚く。
モモ
「機銃の制御権を回します。射撃お願いできますか?
ジギー
「了解した。これすら出来なければ、お前を保護する資格はないからな。<注釈:ORでは『その位しないと、護衛の意味がないからな。』>

 同一時刻、シオンは第一局からの命令を受けていた。

シオン
「冗談を言ってるの?これは何と何!?
ミユキ
「私に言っても意味がないですよ・・・・・・私は命令を伝達しているだけですし・・・・・・
シオン
「だから、私はこの命令を受け付けられないといっているの!もういい、あなたと話しても意味がないわ。局長を呼んできて!局長!
ミユキ
「はい!少し待ってください!
アレン
「主任・・・・・・彼女お少し怖がっていますよ。ミユキちゃん、あんなに脅かされていますし。とにかく、こんな風にしないで下さいよ。
シオン
「何を言っているの、こんな物を見て、私が安静しなきゃいけないの!?局長!これは一体、どういう事ですか?
局長
「書かれているものの通りだが。
シオン
「なるほど。もしも私の目がかすんでいないのなら、この命令の意味はKOS-MOSの第二種装備受領後、彼女を第2ミルチアの第二局へ引き渡し、私達は帰投する、そんな事が書かれている様ですが?
局長
「だから、書かれているものと同じだと言っているだろ。これは当初の計画と同じだ。一体、何が問題なのかね?
シオン
「局長!
局長
「ウヅキ君、許しておくれ。私だって君の気持ちは理解しているつもりだよ。しかし、報告からして実用性では何の問題も・・・・・・
シオン
「いいえ、何も状況が分かっていない!分かっているでしょう!彼女が勝手に動いたんですよ!原因の確認前に、第二局には絶対に渡せないわ!彼女を実戦装備させるなんて危険過ぎます!それに・・・・・・私が彼女の事を一番理解しているって、局長だって分かっている事でしょ?
局長
「ヴォークリンデの事は・・・・・・トガシ君等から聞いたよ。幸い、我々に被害は無かったが、当時の状況は危険だったそうじゃないか?私が君等の身が危険な状態にならない様願っていると認識しているのは分かっていることだろう?
シオン
「分かっています。
局長
「しかし・・・・・・
シオン
「局長!
局長
「分かった・・・・・・こちらの負けだ。上には私から対処しよう。手続きはミユキ君にとらせてく。
シオン
「ありがとうございます。
局長
「しかし、無茶はするな。何らかの危険性があるのなら、即刻状況を離れて貰う。2年前の事件の繰り返しは望んではいない。分かっているかね?
シオン
「私もそう考えています。
ミユキ
「良かったですね、先輩。
シオン
「これは当然の権利よ。
ミユキ
「それはそうと、先輩が無事で良かったですよ!何事も無かったのでしたら、早く知らせて下さいよ!軍の方からは報告があって、不測の事態に遭ったと。先輩は人気がありますからね~。
シオン
「又来たわ。おべっかを使っても何もいい事はないわよ。
ミユキ
「ほんとの事じゃないですか!
アレン
「あ、あのう、じゃあ、僕は?
ミユキ
「あ、アレンさん、アレンさんもそこにいたの。
アレン
「僕もいる?僕だって行方不明者の1人じゃないか!
ミユキ
「ああ、そうでしたか・・・・・・全然気付きませんでしたよ。
アレン
「全然気付かなかったって?じゃ、他の人は?
ミユキ
「何の反応もありませんよ。皆も忘れているわけじゃないけど、存在感ないですからね。けど、無事で良かったですね。
アレン
「ありがとう・・・・・・本当に嬉しいよ・・・・・・。

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16.追撃戦
 ジギーとモモがハイパースペースへゲートジャンプした後、U-TIC機関は依然として追撃を諦めず、無人戦闘機を展開して追撃を行っていた。

モモ
「全方位にSOSを発しました。ジギー!ハイパースペース内に民間船が!早く彼等に危険を知らせないと!
ジギー
「通信回線を開いてくれ。
モモ
「緊急回戦を既に開きました。お願いします。
ジギー
「前方の民間船に注意願う。ハイパースペース内で戦闘が発生した。貴船の安全の為、今すぐ、ゲートアウトする様、御忠告申し上げる。
マシューズ
「おい、ちょっと待てよ!ハイパースペース内で戦闘だと、どこの馬鹿だ!おい、ヴェクターの嬢ちゃん!聞いただろ!ブリッジにすぐ来い!
シオン
「そんなに吼えなくても聞いています。
マシューズ
「分かった。こいつを見てくれ。
シオン
「あら~、ハイパースペース内を航行で切る小型戦闘機があるなんてね。
トニー
「無茶しているぜ!
マシューズ
「あいつらがどこからのか分かるか?
シオン
「これですか・・・・・・うちの製品ではないみたいだけど・・・・・・
マシューズ
「そうか・・・・・・じゃ、前方の小型艇は?
シオン
「ごめんなさい、分からないわ。
ケイオス
「前方の小型艇がSOSを発しています。
シオン
「何で、彼等を助けないの?
マシューズ
「お前等の様な面倒事を拾うのはこりごりなんだよ。
トニー
「まずい、俺等、すでにあいつらの射撃線軸の上だ!
マシューズ
「何だと!早く行け!境界面に触れたら俺等はお陀仏だ!
ハマー
「神様!
マシューズ
「くそ!お前等に構いたくはねえってのに、図に乗りやがって!
トニー
「どうする、船長?参戦するか?
マシューズ
「うっせぇ!言ったろ、面倒事はごめんだって!

 エルザが境界面に沿いながら、航行するものの、無情なる無人戦闘機はエルザに攻撃を当ててしまう。

ケイオス
「後方第四区に命中、外殻が破損。
マシューズ
「あいつら、勝手に振舞いやがって!この生死不明の野郎!
ハマー
「せ、船長~。
マシューズ
「うっさい!あいつらの敵は俺等の味方だ!トニー!
トニー
「かしこまりました!そうこなくっちゃあな!
アレン
「え!?そうこなっくちゃ?こんな船でハイパースペース内戦闘だなんて、冗談でしょう!?
トニー
「本気さ。安心しな、俺の操縦技術とエルザのロジカルドライブがあれば、不可能な特技はない!行っくぜ!

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17.一緒だから
 エルザの参戦後、敵機数機を即座に撃墜し、モモも救援の手が差し伸べられた事に気付く。

モモ
「ジギー!
ジギー
「ああ、どうやら、面倒事を引き起こすのが好きらしいな。まだ支えられるか?
モモ
「はい、大丈夫です!
ジギー
「よし、元気があるな。<注釈:ORでは『よし、いい返事だ』>

 ジギーが小型艇を境界面と摩擦をさせ、発生した火花で敵機を丸呑みし、同時にトニーの心をくすぐった。

トニー
「わぁ!逃げている奴、一流のテクニックだぜ!俺等もウェーブライドだぜ!燃える!燃える!燃える!

 トニーも手本通りに事を運び、敵機数機を燃やし落とす。だが、船体は絶えず揺れ動いてしまう。

アンドリュー
「上の人間は一体、何をやっているのだ!?
ハマー
「新しい敵っす!
マシューズ
「何!
ケイオス
「まずい!避け切れない!

 ジギーとモモの小型艇は新手の攻撃を受けてしまい、エンジンが被弾し、小型艇は境界面の上に助けの無いままで横たわるしかなかった。

マシューズ
「くそっ!
ジギー
「見た所、終わりらしいな。すまんな、目的地に無事送り届けられずに。
モモ
「いいえ。大丈夫です。ありがとうございます。
ジギー
「怖くないか?
モモ
「少し・・・・・・けど、大丈夫。一緒だから。
ジギー
「そうか・・・・・・。

 ジギーとモモが終わりを迎え待っていた時、シオンがタイミング良く、小型艇を捕まえた。

トニー
「しっかり捕まったぜ、シオン!どうやら間に合った様だぜ!
マシューズ
「今から収容作業を始めろ。ハッチが閉じたら、お前等はすぐ、上がって来い!あいつ等が追っている!
モモ
「ジギー・・・・・・。
ジギー
「本当に面倒事を引き起こすのが好きな連中の様だな。

 ハッチを閉じようとするが、ハッチが動かない。

マシューズ
「どうした!?
ハマー
「ハッチが閉じないっす!
マシューズ
「何だと!
シオン
「まさか、さっきの?
マシューズ
「電子機器システムの問題か、くそ、いつもこんな時ばかりに・・・・・・。
ケイオス
「小型艇の乗組員さん、自力で上がって来られますか?シールドの効果が多少はある筈です。宇宙服を着て、船体を盾にすれば・・・・・・
ジギー
「了解した。俺等は2人とも人間ではないから、問題無い。

ジギー
「大丈夫か?
モモ
「大丈夫です。こう見えても、私は丈夫ですよ。ジギーも問題無いでしょう?
ジギー
「俺は外見通り、丈夫なんでな。
モモ
「くすっ・・・・・・ジギー!
ジギー
「しまった!
モモ
「ジギー!敵が来た!
ジギー
「分かっている。仕方無いな。船の中に上がるか。こいつらオーテック(注釈:自動戦闘器)なら俺でも対処出来る筈だ。モモ、定期的に索敵結果を報告してくれ。
モモ
「はい!
マシューズ
「くそ!
ハマー
「侵入者が船に上がっています。カタパルトデッキです!
オーテック
「巡航速度を一定にし、直ちに投降せよ。さもなくば、攻撃を展開する。繰り返す。巡航速度を一定にし、直ちに投降せよ。さもなくば、攻撃を展開する。遵守するのならば、お前等に危害を加えない事を保証しよう。
マシューズ
「オーテックか。つまらねぇもんだな。誰を騙したいんだかな。どのみち、死人は話が出来ない。<注釈:ORでは『死人に口無しってな!』>トニー!エンジン出力最大!船上の物を振り落とせ!

 トニーが、加速するだけでなく、その上、勢いに乗じて船上のオーテックを境界面に摩擦させる。同時にハッチが、これによって閉じた。

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18.白兵戦
ハマー
「Lucky!さっきの衝撃力が、ハッチを閉じさせたっす!
アレン
「本当に無茶苦茶だ!

 だが、U-TIC機関のオーテック母機がエルザに侵入し、遠隔操作で子機を絶えず呼び出す。

ケイオス
「しまった!侵入者が船尾の格納庫を占領された!その上、転移はを発し、子機を絶えず呼んでいる!
マシューズ
「こうなったら、あいつらと喰うか喰われるかの決戦だ!白兵戦だ!船の隔壁を下ろせ!
ハマー
「了解!
ケイオス
「僕は通路を受け持つ!
シオン
「私も行きます!
ケイオス
「駄目だ、危な過ぎる!
シオン
「一人で行かせる訳には行かないわ。大丈夫、KOS-MOSもいるんだから。そうでしょう、KOS-MOS?
KOS-MOS
「はい。侵入者を排除します。
シオン
「船は破壊しちゃ行けないのよ、分かっている?
KOS-MOS
「了解。出力調整、30%でこの状況に対処します。
シオン
「アレン君と中佐はキャビンを守って!
アレン
「ま、マジっすか?
マシューズ
「頼んだぜ!

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19.合流
 シオン達とジギー、モモ等がB2Fで合流。

ジギー
「この船の責任者か?
シオン
「え、違います。私はただの乗客よ。そうだ、あの小型艇は貴方達2人だけ?
ジギー
「そうだ。俺は連邦政府の献体サイボーグ、Ziggrut・・・・・・
モモ
「・・・・・・
ジギー
「・・・・・・俺はジギーだ・・・・・・この娘はモモと言う。彼女は連邦政府に隷属するレアリエンだ。
モモ
「モモって言います。助けて下さって、ありがとうございます。
シオン
「成程ね。何事も無くて良かったわ。・・・・・・けど、今は敵機が侵入しているから、まだ安心出来ないわ。あれらは一体?
ジギー
「侵入した敵機はU-TIC機関に隷属しているオーテックだ。俺達はそいつらの星から逃げて来た。あいつらは最後の残存兵力だが、母機が転送システムを搭載しており、そいつを撃破しない限り、終わらない。
シオン
「つまり、放って置くと、敵機はずっと出現する訳ね。
ジギー
「面倒事をかける。すまない。
シオン
「え?気にしないで。貴方々のせいじゃないですよ。肝心な事は母機を片付ける事よ。
ジギー
「同感だ。俺達も助力になろう。
シオン
「貴方達?モモも中に入っているの?
ジギー
「ああ。彼女はこう見えても俺より役に立つ。
シオン
「そうなの?
モモ
「そんな事はないですよ、だけど頑張ります!
シオン
「OK、行きましょう!

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“Jr.”
Index
1.修理費だけで頭が痛い 2.共に第2ミルチアへ
3.ネロが釣りをしている地獄の湖 4.偽りの百式【キルシュヴァッサー】にはもう飽きた
5.U-TIC機関との交戦1 6.U-TIC機関との交戦2
7.ちび様 <アンドリューの最期>へ

1.修理費だけで頭が痛い
 戦闘後、シオンはジギーとモモを連れてブリッジへ戻る。

マシューズ
「どうだ?
アレン
「どれもだめです。レーダー系全滅、輻射体も溶けているかも知れないし・・・・・・
ハマー
「発電機出力も降下してるっす・・・・・・船体が境界面と何度も摩擦したから、こう言う事になったんじゃないっすか?どこかの馬鹿が無茶するからっすよ。
トニー
「何だと!
ハマー
「日を改めてナビをやってみるっすよ!<注釈:ORでは『ナビするこっちの身にもなって欲しいっす!』>お陰で腱鞘炎になるっす!<注釈:ORでは『お陰で腱鞘炎寸前っす。』>
トニー
「ナビなんざ<注釈:ORでは『んなの』>、リンク(注釈:直接連結)すりゃいいだろう。
ハマー
「何でたらめを言うっすか!?両手でナビるから、美感があるンすよ!<注釈:ORでは『何言ってるっすか!手打ちでナビるのが美しいんじゃないっすか!』>
トニー
「お前、馬鹿か?
ハマー
「うるさいっすよ!どの道、暴走馬鹿よりは良いっすよ!
トニー
「おい、なら丁度良い!おら!
ハマー
「何すか、やるっすか?
マシューズ
「黙っていろ!どっちの馬鹿も口を閉じろ!叫んでばかりいるんじゃねえ、うるさいんだよ!修理費だけで頭が痛いってのに、俺の頭を破裂させる気か?
ケイオス
「た、ただいま。
シオン
「まったく・・・・・・こんなことになるんなら、もっと射撃訓練に参加すれば良かったわ。?どうしたの?
マシューズ
「いや、何でも・・・・・・ご苦労だったな。?こいつら、レアリエンか?
ケイオス
「彼女はモモ、こちらはジギー。彼等は連邦政府の者みたいだよ。
モモ
「モモって言います。
マシューズ
「お前等があの小型艇の者か?
モモ
「助けて下さってありがとうございます。
ジギー
「本当に助かった。礼を言う。
ケイオス
「U-TIC機関に誘拐されたのを、そこから、逃げて来たって。
マシューズ
「U-TIC機関だと!!
ケイオス
「船長・・・・・・。
マシューズ
「嫌な名前を暫く聞いていなかったな・・・・・・。
ハマー
「どうしたんすか?何かあったっすか?
マシューズ
「おめえには関係ねえよ!無駄話はするな、航路を修正しろ!
トニー
「そうそう、ナビ馬鹿には関係無い。
ハマー
「アレン君、パネルの上片すっす。邪魔っす!
アレン
「何だって?これは君が置いたんじゃ?僕に当たんないで下さいよ。

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2.共に第2ミルチアへ
 騒動が一段落した後、皆ラウンジで一息着いていた。

KOS-MOS
「どうぞ。
シオン
「ありがとう、KOS-MOS。まったく、アレン君、何で寝ているの?
KOS-MOS
「船長、お茶です。
マシューズ
「お、すまんな。そこに置いてくれ。
トニー
「さっきのは本当に肝を潰したぜ。
ケイオス
「本当に危険だったね。
トニー
「それにしても、おっさんのテクニックは凄えな。
モモ
「ありがとうございます。
トニー
「は、まさか、お嬢ちゃんが操縦を?
モモ
「コントロール系統は全て私がやりました。
トニー
「うあ・・・・・・、本当に、今のお子様は何を考えているんだか・・・・・・。
シオン
「レアリエンだけど、凄いのね。あ、この制服のマークは・・・・・・
モモ
「はい。
シオン
「まさか・・・・・・ミズラヒ研究所から来たの?
モモ
「はい。百・・・・・・観測用レアリエンです。
シオン
「大丈夫。心配しないで。政府の秘密機関なら、私達のKOS-MOSも同じよ。ミズラヒ研究所の百式観測用レアリエン、ヒルベルト実装型でしょ?
「KOS-MOSも同様に、ヒルベルトを実装しているの。ヴェクターが開発したのをね。
モモ
「ヴェクターの関係者ですか?
シオン
「うん。アレン君も一緒よ。
ケイオス
「そうだ、君等の目的地はどこかな?方向によるけど、もしかしたら送ってあげられるかも。けど、お金はいるよ。ね、船長?
マシューズ
「そうだな。俺達ぁ運び屋だからな。
モモ
「そうですか。では第2ミ・・・・・・では、第2ミルチア太陽系圏へ。
シオン
「第2ミルチアへ?貴方達も行くの?
ジギー
「貴方達とは・・・・・・。
シオン
「ん・・・・・・、そう思うだけ。KOS-MOSの新しい配備先も第2ミルチアなの。
ケイオス
「いいんじゃない?道すがらなら、安いよ、シオン。
シオン
「うん、そうね。
ハマー
「船長、船の修理、どうします?
マシューズ
「ああ、近くのドックだな。良いか?
ジギー
「問題無い。
モモ
「お願いします。
マシューズ
「ま、好きにしてくれ。譲さん、こいつらの案内をしてくれ。
シオン
(何でこんな突然、優しくなるの・・・・・)
マシューズ
「どうした?俺の顔に何かあるのか?
シオン
「あ、何でもないです。さ、行きましょうか、モモ、ジギー。

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3.ネロが釣りをしている地獄の湖
 U-TIC機関による、惑星消失はクーカイ・ファウンデーションの関心を引き寄せた。真相の調査の為、Jr.が調査を行う。

Jr.
「暴風の中の一破片【ひとかけら】は暗く、狂風が人を驚き恐れさせる。挫折や不運の続く彼女は、依然として赤子を抱き、優しく揺り籠を揺らす・・・・・・暴風の過ぎ去った後は静か、微かな手がかりすら無いぜ、OVER。<注釈:ORでは『嵐の内は暗く風は恐ろしくうなれリ― 奇しくもさまは、赤子を抱く優しき揺りかごのごとく―か。嵐の去った後はいたって静か。なーんの痕跡もないぜ。オーバー』>
「しかし・・・・・・この場所が与えてくれる感覚は、まるで、ネロが釣りをしている地獄の湖みたいだぜ。<注釈:ORでは『―にしても ネロが釣りをしてるっていう地獄の湖は、こんな感じかもな』>
メリィ(注釈:瑪莉)
「ちび様(注釈:小主人)、今日もまた、ええ詩やな。どうやって考えなはるの?
Jr.
「本からさ。メリィ、面白いぜ。
メリィ
「本は紙やろ、持ち運びが不便や。
Jr.
「光データよりも石版や紙の法が保存性は良いんだぜ。枕にもなれるしな。測定値はどうだ?何か見つかったか?
シェリィ(注釈:雪莉)
「何もありません。原子も皆眠っているみたいです。
Jr.
「塵芥【ちりあくた】はおろか、原子すら見つからないのか?もしも強力な火力でやったのなら、高エネルギー粒子が見つかる筈だぜ。出来る筈が無いぜ・・・・・、こないだまで、ここには惑星一つがあった筈だぜ・・・・・・。

シェリィ
「ちび様を回収します。六番カーゴベイ開け。
百式オペレーター1
「六番カーゴベイ開け。
メリィ
「ほら、ほら!真面目にしな、観測を続けるで!
「あ、ちび様、おつかれっ。
Jr.
「ふう・・・・・・惑星が完全に消失しているったぁな。こりゃ破壊されたとは思えねぇし、まるで隠されたとみたいだぜ。
メリィ
「隠す?どこへや?
Jr.
「そうだな・・・・・・犯人に聞くのが早いだろ。シェリィ!
シェリィ
「残量は僅かですが、プライマー(注釈:導火元素)の反応があります。間違いありません。
Jr.
「火遊びの跡か・・・・・・。あの艦隊に何か消息はあるか?
百式オペレーター1
「六時間前のSOS以降、沈黙を保ったままです。
メリィ
「グノーシスに遭ったんや。全滅やわなぁ。
Jr.
「そうかもな。子供の火遊びは大人が始末するもんだぜ。
メリィ
「成程、黒幕が乗り出すかもしれませんやな。
Jr.
「その通りさ。船首回頭、今から、本艦は連邦艦隊遭難地点へ行向かう!

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4.偽りの百式【キルシュヴァッサー】にはもう飽きた
 場面はU-TIC機関本拠地プレロマへ

接触小委員会委員6
「過去の産物かと思い、小さく見てしまった。情報ネットの話に続くが、彼は元軍の特殊作戦諜報局から来た様だ。それと、プレロマへの案内ルートを調査中だ。まだ世話をかける・・・・・・。
マーグリス
「ネズミはどこにでもいるものだ。奴等を追って貰うぞ。
接触小委員会委員6
「了解した。しかし、彼等は本当に来るとでも?
マーグリス
「当然来るさ。奴等の存在目的はこの為だけにある。そして、ミルチアが奴等の要害でもある。
接触小委員会委員6
「軍へ道化訳をやらせておこう。頼んだよ。
アンドリュー
「司令。
マーグリス
「お前か。なんだ?
アンドリュー
「ゾハルは・・・・・・グノーシスに持っていかれてしまいました。しかし、百式レアリエンを確保しました。現在、大型貨物船の中です。目的地はミルチア太陽系圏。あれはかつてプロレマで保管した物と同じかと・・・・それと・・・・・・
マーグリス
「余計な事はするな!言った筈だぞ、自分のすべき事をせよと!お前は状況を確認さえすれば良いのだ。時期を待ち、事態の発展を静かに待て。
アンドリュー
「し、しかし・・・・・・。
マーグリス
「即刻帰投せよ!他の事は戻ってから話せ!分かったか!
「通信元の船籍を追求せよ。アンドリューのマーキングを開始しろ。
兵士
「は!
アルベド(注釈:阿爾貝特)
「偉く、変わったものだな、マーグリス。飼い犬は可愛がらないと、ある日、噛まれるかも知れんから、気を付けろよ。
マーグリス
「お前か・・・・・・。
アルベド
「プロトタイプは俺の物だ。偽りの百式【キルシュヴァッサー】にはもう飽きた。
マーグリス
「貴様・・・・・・。
アルベド
「だが、ここの雑魚よりは良いと思うぜ。
兵士達
(▽_▽)
アルベド
「いいねぇ。この誤魔化しの無い敵意・・・・・・来いよ、俺の胸を貫いておくれよ。へヘヘ・・・・・・ハハハハ・・・・・・。<注釈:ORでは『その剥き出しの敵意-その矛先でこの俺を貫いてくれよ。はっはっはっはっ!!』>
マーグリス
「待て!
アルベド
「焦るなよ、俺はあんた等の邪魔はしないぜ。目的は一致しているだろ。

 傍若無人のアルベドは自らのA.G.W.S.<注釈:アルベド機は正確にはA.G.W.S.ではない>に乗り、次の計画準備を行う。

アルベド
「モモか・・・・・・可愛い桃<注釈:ORでは『桃【ペシェ】め』>・・・・・・ハハ・・・・・・ハハハ・・・・・・。
ペレグリー
「あの男に任務を渡してもいいの?
マーグリス
「奴に任すとは言っておらん。利用価値がまだある、それだけだ。

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5.U-TIC機関との交戦1
 Jr.は特遣艦隊の遭難地点に到達した。

Jr.
「ひでえな。完全に殲滅させられている。見た所、座礁した鯨の死体みたいだぜ。
メリィ
「この辺は収穫が殆ど無しやわ。生存反応は一切無し。A.G.W.S.の多くを回収しました。
Jr.
「そうか・・・・・・。鮫の巣穴に餌を捨てに行かされる様な物だからな。

 Jr.とメリィがヴォークリンデ中心部に進入。

Jr.
「Bingo!ゾハル保護リングのかけら見っけ!この一体は保管庫に違いないな。シェリィ、シークェンシング・プライマーセット!
シェリィ
「了解、プライマー・ウォーキング開始、ゲートイン航跡を分析します。
Jr.
「もしも領域外に行かれたら万策尽きたな、奴等が側にまだいるのを祈るしかないな。
メリィ
「あんな物が近くにぶらついて欲しいて欲しいって言えるんやな?ちび様、怖くないの?
Jr.
「この世の中でグノーシスより怖い物は沢山あるぜ。どうだ?あいつら既に別次元に着いているのか?
メリィ
「そんな焦らんといて、ちび様。まだ分析中やで。あ?
Jr.
「どうした?
メリィ
「警報やわ。どうやら、先客があったみたいやわ。完全に包囲されとる。
Jr.
「へん!ショートジャンプか。あいつら、備えをしていたなんてな。
メリィ
「ちび様、こいつら・・・・・・
Jr.
「ああ、間違いねぇ、U-TICの奴等だ。メリィ、こいつ等を片付けたら、すぐ戻る。デュランダルに戻り、作業員全て回収しろ。

 敵機撃破後、もともとヴォークリンデの側に潜んでいたU-TICの艦船が姿を現し、ヴォークリンデ残骸を攻撃する。

Jr.
「おいおい、証拠隠滅か?
メリィ
「ちびさま、戻らないと、敵母艦が叩きに戻って来るで!

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6.U-TIC機関との交戦2
百式オペレーター1
「ちび様、お帰りなさい。
Jr.
「状況はどうだ?
百式オペレーター1
「典型的な攻撃艦です。船籍不明。デュランダル全ての武装が迎撃態勢になっています。即応態勢【ゼブラ】インターロック(注釈:連鎖装置)を解除するだけで、即座に迎撃可能です。

 U-TIC機関の戦艦がデュランダルに攻撃を展開。

Jr.
「こいつら、いっつも焦っているなぁ。両舷シールドを展開。
百式オペレーター2
「第2撃来ます。被弾まであと10秒。
シェリィ
「全ての百式は副回路で高速砲システムに連結。
百式オペレーター3
「高速砲システム連結完成!
百式オペレーター1
「敵方の光子魚雷が左舷に接触。シールドの有効範囲内です。

 敵方の光子魚雷がデュランダルに被弾。

百式オペレーター1
「シールド有効範囲に被弾!
Jr.
「まったく、調査に来たって言うのに、お前等やり過ぎだぜ!敵艦航路を追跡!
シェリィ
「航路掌握、補足修正完了。
Jr.
「死にやがれ!

 デュランダルの高速砲が、一撃で敵方の戦艦を撃破。形勢が悪化したU-TIC母艦は即座に逃走準備に入る。

メリィ
「ちび様、見て見て。あいつら、逃走を始めましたで。
シェリィ
「敵母艦、退避を開始。
Jr.
「はぁ・・・・・・もし、あいつらを逃がせば俺達は結構楽になるのにな。だが、現実はそうは行かない。シェリィ、あいつらをちょこっと突っついてやりな。
メリィ
「ちび様の『ちょこっと』は、あいつらにはあがなえないわなぁ。
シェリィ
「衝角を出し、敵左舷に侵攻。白兵戦準備に入れ。

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7.ちび様
メリィ
「目標は敵艦メインフレーム。各班、各自指定のルートから進軍し、相互援護をせよ。今から、入り口より行動を開始。<注釈:ORでは『各端末からマルチアプローチをかけてプロテクトブロック。直後にターミナルからトライを試みる』>各班、行け!
「じゃ、ちび様、わいらも艦橋へ向かいまひょか。
Jr.
「OK。さっさと済ませて帰ろうぜ。

 敵艦艦橋へ到着し、敵機撃破後・・・。

メリィ
「メインフレームへの侵入始めまひょか。記録か、転送をしまっか。
シェリィ
「マニュアルコードが既に打ち込まれていて、メモリーが消えます。早く転送をして。
メリィ
「頭ん中を空っぽにするから、ちょっと待ってて。
Jr.
「いっつも、思うんだが、お前等姉妹の記憶リンクが出来て便利だな。
シェリィ
「全然良くありませんよ。彼女には雑念が多いので。
メリィ
「しゃーないわ。わいはレアリエンじゃなく、肉から出来てんやから。ちび様こそ、ガイナン様と直接会話出来るから、ええわな。その方が便利やないっか?こんな邪魔な機器も要らないですし。
Jr.
「けどな、意識領域の障壁を注意して保持しなきゃ、言いたく無い事でさえ、あいつに伝わるんだぜ。ほんと、疲れるぜ。手紙を書いて直接伝えた方が、まだ楽だぜ。
メリィ
「そんなもんやの?
Jr.
「そう言う事。

 何人かのU-TIC兵士が突然現れるが、Jr.が即座に撃退。

Jr.
「メリィ、大丈夫か?
メリィ
「大丈夫や。けど・・・ちび様ったら!
シェリィ
「敵艦メインフレームの全データロスト。とても残念ですわ。<注釈:ORでは『ご愁傷様です。』>
Jr.
「すまねぇ。
シェリィ
「まったく。いっつも夜中の西部劇を見てたらあかんで!
デュランダル乗員
「救命艇が射出されましたが、追いますか?
Jr.
「否、追わなくて良い。あいつ等の行き先が分かれば良い。U.M.N.管理局に探知を申請しろ。船に戻るぞ。<注釈:ORでは『U.M.N.管理局に逆探申請しておけ。帰還するぞ。』>
「デュランダルは直ちに部隊収容を準備。各班撤退時に武装を再確認、形跡を残すなよ。
メリィ
「しっかしや・・・・・・ちび様は、銃を持つと様子が変わるなぁ。
シェリィ
「征服願望、絶対的権力への憧憬、女性に対する征服欲の間接的な表現・・・・・・、普通の事ね。<注釈:ORでは『他者への間接的な征服心、絶対的権力への憧憬、巨根願望-一般的にはそんなとこね。』>
メリィ
「考えすぎやで、シェリィ。<注釈:ORでは『たはっ、シレっといなぁ、シェリィは。』>
シェリィ
「ちび様は、背が低い事を気にしているだけね。
メリィ
「けど、ちっちゃいちび様もかっこええで。
シェリィ
「そうね。メリィ、あと2分で撤退するわ。早くして。
メリィ
「了解。
「そうやね・・・・・・ちび様はいつまでもこんな状態を保てないんや・・・・・・。<注釈:ORでは『せや-ちび様は-、ちっさいままでおらなあかんのや-。』となっており、誤訳と思われる>

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只看该作者 3楼 发表于: 2004-05-09
“アンドリューの最期”
Index
1.本当にいいものだな・・・・・・ 2.聖堂船級グノーシス 3.アンドリューの過去
4.お前の価値をこの俺だけに証明してくれ 5.残骸になっていない事を祈りましょう 6.お前の組織への忠誠度を試したかった
7.そんなものでさえ知らないとはな 8.アンドリューの最期 9.痛みは私を満足させてくれますか?

1.本当にいいものだな・・・・・・
 場面はエルザに戻る。船体の修理の為、マシューズは船を一番近くのドックコロニーに到着させた。

シオン
「え?アンドリュー中佐は?
ケイオス
「どうしたの?
シオン
「またご飯を食べに来ていないのよ。今、探していた所よ・・・
ハマー
「出かけたんじゃないっすか?何でも、チャーター便を探しているとかって・・・・・・
マシューズ
「ちょっとまて。あの格好でか?まずいな・・・・・・この一帯は戦後補償時に、補償をされずに直接放棄された場所だ。当時の軍の暴行はこの地に多くの恨みを残しているんだ。軍人が一人でこんな場所にいて、いい事なんか無いぞ。
シオン
「そんなに危険なんですか?
マシューズ
「一般人なら何も無いが・・・・・・。

 この時、帰投を考えていたアンドリューは既にならず者に包囲されていた・・・・・・

ケイオス
「こうなった以上は、何か起きる前に連れ戻さなきゃ。
シオン
「そうね。ジギーさんを呼んでくるわ。頼りになるし。
ハマー
「じゃ、俺っちとアレンさんは?頼りにならなさそうっすけど・・・・・・
アレン
「ハックショ!ん・・・・・・?

 第一調整室に着き、ジギーを見つけるシオン。

シオン
「あ、ジギーさん!
ジギー
「どうした?
シオン
「アンドリュー中佐がいないんです。一緒に捜しに行ってくれませんか?
ジギー
「中佐?軍人であるなら、相当な訓練を受けているはずだ。俺が気を遣う必要は無いはずだが。
シオン
「けど、船長が、軍人がこの付近で無闇に歩き回れば問題が起きるって・・・・・・だから、ジギーさんがいれば、安心だと・・・・・・
ジギー
「分かった。そうである以上、助けなければな。だが、もしも何か起きていたら、遅すぎるかもしれないな。
 アンドリュー捜索が始まった頃、アンドリューはやはり、面倒事に遭遇してしまった・・・・・・囲まれて殴られているのを見たハマーはさっと逃げる。
 それから、死地に近づきつつあるアンドリューは体内に秘めし力を開放した・・・・・・

 ハマーが慌てながら、シオン達と会う。

ハマー
「あ!シ、シ、シオンさん!た、た、大変っす!暴徒が、中佐がな、殴られてや、やばいっすよ!
シオン
「ねぇ・・・・・・ハマー君?よく分からないわ。冷静に・・・・・・
ハマー
「今は、冷静になる時じゃないっす!早く、来て下さいっすよ!

 事件現場へ着くと、多くの人間が地面に横たわっていた。所が、そこにアンドリューはいなかった。

ジギー
「シオン、早く医者に送った方が良い。命に危険は無いが、皆既に虫の息だ。
ハマー
「き、救急車を呼んで来るっす!
シオン
「酷い怪我だわ・・・・・・アンドリュー中佐は?
ジギー
「向こうに熱反応が少しある。中佐が残したものであろう。
シオン
「中佐・・・・・・

 エルザに戻ると、アンドリューが戻った事を知る。モモはアンドリューが怪我していると知り、アンドリューの医療を行おうとするが、正体がばれる事を恐れたアンドリューはモモのナノ治療を受けようとしない。

アンドリュー
「いい。
モモ
「けど・・・・・・
シオン
「中佐!大丈夫ですか?
アンドリュー
「ああ。
シオン
「一体、何があったのですか?
アンドリュー
「ここのゴロツキが絡んで来たんだ。結果として彼等の中で内輪揉めがあり、その隙を見て逃げた。
シオン
「内輪揉め・・・・・・
アンドリュー
「わ、私は大丈夫だ。何の傷もないさ。
モモ
「そんな事があるから、治療しなくちゃいけないんです。けど・・・・・・
アンドリュー
「すまない・・・・・・。ナノ治療は合わないんだ。
シオン
「自然派ですか?
アンドリュー
「いや、そういう訳でもないんだ。
ジギー
「モモ、頼みたい事がある。小惑星からの戦闘の後、ずっと調整をしていなく、ボディーの機能が少し低下している。
モモ
「はい。
「動力と神経システムは問題無しみたいです。
ジギー
「すまないな。メンテナンスが煩雑で。何せ、旧型な物でな。
モモ
「どういたしまして。けど、ジギーのボディーはシオンさんの方が凄いかも知れません。
ジギー
「言い出したら、お前に笑われるのかも知れないが、こんな身体になっても、若い女性に身体を触られるのは慣れていないんだ。
モモ
「人間の医者には女性が多いじゃないですか?
ジギー
「こんな機械の身体になって、感覚上は普通の身体よりも恥ずかしい。考え過ぎだがな。
モモ
「私が人間じゃないから、そういう感覚が無いんですか。
ジギー
「そういう意味で言っていない。確かに、お前と一緒にいると気持ちが楽になる。それはきっと・・・・・・お前が天真爛漫であるからだろう・・・・・・お前を無機物と見なしている訳じゃない。
モモ
「ありがとうございます。嬉しいです。
アンドリュー
「本当にいいものだな・・・・・・。
モモ
「え?
アンドリュー
「いや、何でもないさ。
シオン
「中佐、本当に何も無いのかしら?エルザに乗ってから、何かおかしい感じがするわ。

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2.聖堂船級グノーシス
 秘めた力を使う羽目になったアンドリューはグノーシスとの共鳴現象を起こしていた。薬物によって、抑制するものの、アンドリューはこのまま続けば、この均衡が崩れる事を心得ていた・・・・・・。

 エルザがドックコロニーから離れた後、アンドリューの症状は次第に重くなっていく。アンドリューが徐々にグノーシスとの共鳴をすると同時に、シオンは再びブロンドの少女と会う夢を見ていた。

ネピリム
「もう遅すぎるかもしれない・・・・・・。
シオン
「あなたは誰・・・・・・?間に合わないってのはどういう事?
ネピリム
「何を選ぶかは彼の手に委ねられている。けれど、貴方達なら彼の死の間際の気持ちを分かってあげられるかもしれない。それは・・・・・・彼を安心させる事・・・・・・

 シオンが驚いて目を覚ました後、エルザに振動が伝わる。続け様にシオンはブリッジへ赴き、状況を理解した。

シオン
「何かあったの?
KOS-MOS
「ハイパースペース外からの強大な力が、この船に作用しています。
モモ
「これは一体どういう事ですか?
KOS-MOS
「何かの物体が、私達と接触しようとしている様です。このままでは、通常空間に寄せられます。
モモ
「こ、この・・・・・・この感覚は!
シオン
「どうしたの?

 強大な重力の吸引の下、エルザはハイパースペースより引きずり出される。そして、眼前に現れたのはあらゆる人々の言葉を失われるものであった。

シオン
「グノーシス・・・・・・。
マシューズ
「転移座標はどこだ?
ハマー
「あ、無いっす。これは・・・・・・。
トニー
「た、沢山いるぞ・・・・・・。
シオン
「KOS-MOS、超広域ヒルベルトエフェクトを展開。
KOS-MOS
「了解しました。
モモ
「す、凄いです!アンプリファイアー装備のシステムでも、有効範囲は数百キロだけなのに・・・・・・。
トニー
「船長、舵がきかねぇ!
ケイオス
「重力場に異常!引っ張られてる!
マシューズ
「何!

 ひとしきりの強い光の後、全ての者達が、意識を失う。シオンが目覚めた時、そこは奇異な場所であった。

シオン
「こ、ここは一体・・・・・・、あ、貴方達・・・・・・。
ケイオス
「無事で何よりだよ。
シオン
「ケイオス君、ここは・・・・・・?
ケイオス
「分からない。みんなが強い光に包まれた後・・・・・・
モモ
「待って下さい!この感覚・・・・・・間違いない、ここはグノーシスの中です。
シオン
「グノーシスの中・・・・・・!そんな!?
KOS-MOS
「正確に言えば、巨大グノーシスのほぼ中心部です。このグノーシスは大きく、直径はおおよそ1万6000キロ。これまでの観測結果から見ると、『聖堂船』クラスのグノーシスがこの位の大きさになります。
シオン
「まさか・・・・・・食べられちゃったの?
ケイオス
「状況から見て、そんなものかな。
モモ
「外のグノーシスが皆、眠りについているみたいです。あ、エルザは?船長達は・・・・・・?
ジギー
「俺達と同じ様にどこかの場所に放り出されたのかも知れないな・・・・・・。
シオン
「どうしたの?KOS-MOS?
KOS-MOS
「センサーに反応があります。
シオン
「反応?まさか、エルザの?
KOS-MOS
「その通りです。それと、近くにまだ一つ、信号があります。微弱ですが、その波形がヴォークリンデから強奪されたゾハルと非常に類似しています。
シオン
「ゾハルの波形?あの格納庫に置いてあった金色の物体の事を指しているの?あの物体もそこに?
ジギー
「エルザから、ここまでは?
KOS-MOS
「直線距離にして約10キロです。
ジギー
「近いな。
シオン
「外は宇宙・・・・・・アレン君達も心配だわ・・・・・・。
ケイオス
「行くしかないね。

 同一時刻、シオン達と共に巨大グノーシス内に入ったアンドリューの眼前に現れた光景が彼を驚かせていた。アンドリューの故郷である、アリアドネが、眼前に現れたからだ。

アンドリュー
「どうして有り得る・・・・・・これは夢に違いない・・・・・・有り得ない・・・・・・アリアドネは・・・・・・あの時のゾハル暴走事件の中に消えた筈だ・・・・・・
「まさか・・・・・・。

 アリアドネに身を置くアンドリューは、自らを怯えさせる影を目にした・・・・・・。追って確認しようとしたその時、それは人の群れに消えていた。そして、かわりにあるのは一つの扉・・・・・・扉は彼をミルチア紛争の戦場へと誘った。

 シオン等を聖堂船級グノーシスに引き寄せたこの一件が、デュランダル内のゾハルと共鳴作用を起こす。

百式オペレーターa
「D区画に警報。格納庫内に異常波動が見つかりました。
Jr.
「D区画!?ゾハルか?
百式オペレーターb
「D区画のアトラクト・インヒビター出力上昇!
百式オペレーターc
「EPRレーダー上に出現したU.M.N.パルスは、ハイペースペースを経由して共振波であります。
Jr.
「どこだ?
シェリィ
「反応を特定中。
Jr.
「そいつと共鳴しているのか?ハイパースペース準備に入れ!メリィ、ファウンデーションに報告!追うぞ!
メリィ
「了解!


ジギー
「聖堂船か・・・・・・確かに、船の内部の様だが。とはいえ、どう見ても、連邦の船とは違うな。
モモ
「異星人の船でしょう。
シオン
「そうね・・・・・・あれを見て!
ケイオス
「どうやら、金属製の板だけど・・・・・・。
モモ
「書いてあるのは私達の文字です。
シオン
「けど、これはおかしいわ・・・・・・見た所、上に書いたんじゃなく、全体の一部みたい。
モモ
「それじゃ、この板もグノーシスの一部ですか?有り得ないと思います。
ケイオス
「周囲を見て。板だけでなく、多くの物も
シオン
「ここは本当にグノーシスの内部なの?

 その瞬間、シオンはあのブロンドの少女を見ていた。

ネピリム
「早く、彼が消える!
シオン
「え?

ジギー
「何か見たのか?
シオン
「あ、な、何でもないわ・・・・・・。(またあの娘だわ・・・・・・これは一体何なの?)

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3.アンドリューの過去
 一方、巨大グノーシス体内をあてども無く歩き回るアンドリューは封印されて久しい記憶が、徐々に蘇り始めた。

弁護士の女性
「当被告の出身は不明、これは戦乱による遺失に原因があるそうです。または、記録が故意に処分されたのかも知れませんが、それは後回しとしましょう。被告人の供述によると彼もまたライフリサイクル法の被害者であります。ありとあらゆる死刑は既に千年以上に渡り、執行されておりませんが、もしも本日、この被告人が死に処されるのならば、これを公平と思えるでしょうか?
「被告は確かに、償えない罪を犯して来ましたが、他の方法を以って、贖罪に当たらせる事こそが、上策であると言えるでしょう。人類の科学が発達した今、彼に、更生の機会を与えるべきでしょう。どうか、最も的確なる判断を下して頂きたいとと存じる次第であります。
判事
「判決は以下の通りとする。本法廷の被告人アンドリュー・チェレンコフを第七種人格矯正処置に処す。
弁護士の女性
「こうして、今迄の貴方は消失する。けれど、真新しい貴方が、この世に出現するわ。貴方の未来に祝福を。

 アンドリューは第七種人格矯正処置を甘受した後、当時、彼を弁護した弁護士の女性と婚姻を結んだ・・・・・・。そして、アンドリューが、子供を望んだ時、その申し出は断られてしまう。

アンドリュー
「これはどういうことだ?何で、僕等が子供を持てない?

「騒がないで。この世界に貴方は何を残したいの?この世に貴方の異常なゲノムを継続して残すべきではないでしょう?ナノ技術(注釈:毫微科技)は万能ではないのよ。ゲノムの直接修正は不可能な事なのよ。
アンドリュー
「君の言っている意味って、原因は僕にあるとでも?

「笑わせないで。貴方は残されたDNAで生存しているだけじゃない。貴方の話し振り、まるで以前の貴方みたい。当然よね。貴方は作られた存在に過ぎないんだから。
アンドリュー
「それじゃあ、何で僕と・・・・・・。

「これの為よ。この許可【セルフクローニング(注釈:自我複製)】の為よ。私が多くの努力をしたの知ってるでしょ?実験のボランティア(注釈:志願者)になったのよ、ボ・ラ・ン・テ・ィ・ア!私達の間に愛が有ったと思って?騒がないでね。そんな事、これを使えば十分なのよ!

 人心を知らぬ、この険悪な女性弁護士は容赦無くエミュレータ-<注釈:ORでは『ヘッドギア』と思われる>を「夫」に投げつける。だが、彼女はアンドリューの心の中に、殺意が燃え盛るのを全く気付いていなかった。


「抑制剤を忘れずに打ってよね。何だかんだ言って、私は貴方の責任者なのよ。

 激怒したアンドリューは、本来押さえつけられていた人格を表し、無意識的に、自らの妻を殺した事により、再び鎖に繋がれて東国された。

男1
「連邦法に基づき、第八種人格矯正処置を施す。並びに、被告の12584項目の個人的基本権利は剥奪される。今後、被告は連邦に隷属する生命体となる。この処分は、被告の基本的人権がレアリエンと同等である事を意味するものである。

 第八種人格矯正処置を受けたアンドリューが、町をうろついていたその時、一人の少女が、彼の注意を引き寄せた・・・・・・。しかし、少女の立ち振舞いは、あの忌々しい女性と同じものである事を知らしめていた。アンドリューが少女の行き先を遮ると、その一刹那【非常に短い時間】、少女が口を開いた。


「ごみ。

 激怒したアンドリューは再び人を殺め、並びに、彼は処分を待つ身となる・・・・・・。

男1
「しかし、こんな強固な神経ネットワークはこれまで見た事が無いぞ。
男2
「第八種人格矯正処置も万策尽きたな。
男3
「どのみち、彼は貴重な資源だよ。とにかく、彼を第九種人格矯正処置のサンプルにしよう・・・・・・。

 この事を耳にしたアンドリューは怒りを抑えられず・・・・・・奇妙なのは、牢屋の扉がひとりでに開いたということであった。

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4.お前の価値をこの俺だけに証明してくれ
 アンドリューはこの機会を逃さずに、牢屋から即座に出た彼は、全ての守衛と職員を殺し尽くした。そう、それはマーグリスが仕掛けたものであった。<注釈:ORでは、マーグリスが仕掛けたのかどうかがはっきりしていないので、翻訳者の推測>

マーグリス
「お前一人で、ここの職員を殺ったそうだな。3個小隊の連邦特殊部隊も殲滅したそうだな。本来、期待していたのだが・・・・・・まさか、お前がまるで遺棄された小犬の様な目付きをしているとはな。これは本当にお前がやったのか?

 アンドリューが容赦無く、マーグリスを殴りかかるが、それは空を切った。

マーグリス
「フン!ライフリサイクルの変異体か・・・・・・どうりで、連邦警察が敗れる訳だ。この事については賞賛に値する。しかし・・・・・・。

 アンドリューが再び、マーグリスを殴りにかかるが、彼は平らにされた。

マーグリス
「フン・・・・・・現実とはこの様なものなのだ・・・・・・。
兵士
「マーグリス司令!ウルガータ第308方面軍が既に・・・・・・。
マーグリス
「分かっている!こいつを連れて行くぞ!
兵士
「まさか・・・・・・本気で仰るのですか?
マーグリス
「そのまさかだ・・・・・・こいつは使いものになる。
兵士
「しかし・・・・・・。
マーグリス
「お前は世の人々に己の存在を証明したかっただけであろう。お前の価値をこの俺だけに証明してくれ・・・・・・この俺だけに証明してくれ。

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5.残骸になっていない事を祈りましょう
 シオン達一行が、一棟の建物の前に到着した。扉には連邦エネルギー省:次元転移装置研究棟と書かれていた。

シオン
「どうやら、もう中心部についたみたいね。あれは・・・・・・。
ケイオス
「建築物・・・・・・もしくは何かの装置・・・・・・?
シオン
「どうしてそういえるの?
ケイオス
「僕も分からないけど。ただ・・・・・・
シオン
「ただ何?
ケイオス
「ここは中心部であるはずだよ。グノーシスと関係が有ると思うんだ。僕個人の推測でしかないけどね。
ジギー
「あれは人工の建築物であろう。自分等が、ここへ引き寄せられたのと同様に、宇宙船の類の残骸かも知れないな。
モモ
「人間は?私たちもそうなるの?
シオン
「そうなる前にここを離れましょう。KOS-MOS、エルザの位置は?
KOS-MOS
「分かりません。すでに、ロストしました。
シオン
「ロストって・・・・・・?
KOS-MOS
「ここは中心部の磁場と重力場が不安定に作られています。13分前に特定した座標は、概ね、この地下300メートル前後にあります。
モモ
「近いですね。行きましょう。
シオン
「うん・・・・・・残骸になっていない事を祈りましょう。

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6.お前の組織への忠誠度を試したかった
 一方、アンドリューはアリアドネでの実験の進行過程を思い出していた。

アンドリュー
「マーグリス司令、連結実験は既に完成しており、60分後に第一段階に入ります。
マーグリス
「うむ。
アンドリュー
「司令、何故私にこの任務を与えて下さったのでしょうか?
マーグリス
「お前の組織への忠誠度を試したかった、それだけだ。無論成功しても失敗しても、住民は皆災禍を被る。後悔しているか?
アンドリュー
「いえ、私から言わせれば、使えないものです。組織とこの世界にとっても同じでしょう。
マーグリス
「良い答えだ、アンドリュー。

 アンドリューが、自らこの恒星の末日を手配した後、アンドリューの記憶にあの2人の女性が出現してしまう・・・・・・現実に戻された後、意外にも、彼によって命を失った2人が、彼の眼前に現れた・・・・・・

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7.そんなものでさえ知らないとはな
 シオン達が地下300メートルに到着し、調査をした後に最期の扉を開くと、そこにはグノーシスによって強奪されたゾハルがこの地に在った。

ケイオス
「シオン!あれを見て!
シオン
「ゾハル!
KOS-MOS
「行きましょう。
シオン
「あ、ちょっと待って、KOS-MOS!!自分勝手に・・・・・・全く、こんな風に躾たつもりは無いんだけど・・・・・・、それはとにかく、ゾハルが何故ここに?
KOS-MOS
「スキャンの結果、この物体は99.99998%の確率でヴォークリンデから強奪されたものと同じゾハルエミュレータ-であります。
シオン
「エミュレータ-・・・・・・?って、この世界にはまだ本当のゾハルがあるって事?
KOS-MOS
「はい。
シオン
「そうって・・・・・・?KOS-MOS、何でそう言うのを皆知っている訳?貴方のメインバンク(注釈:主資料庫)にそんなものがあるなんて、知らないんだけど・・・・・・。
アンドリュー
「こいつの開発者・・・・・・なのに、そんなものでさえ知らないとはな・・・・・・。
シオン
「アンドリュー中佐!大丈夫ですか、早く一緒にここから逃げましょう・・・・・・。

 アンドリューが、苦しみながら身体を徐々に透明化させていくと、それはシオン達を後ずさりをさせるものであった。

シオン
「中佐・・・・・・貴方の身体・・・・・・
アンドリュー
「逃げる・・・・・・何を言っている・・・・・・こんな状況下で・・・・・・助かるだと・・・・・・。
「そうさ・・・・・・アリアドネを消滅させた元凶は、他人ではなく、この俺さ。もし、当初エミュレータ-を確保出来ていれば、それで良かった・・・・・・その為に、軍とヴェクターが皆動いた・・・・・・結果はどたばた劇をなした・・・・・・だが・・・・・・だが・・・・・・。

 心中やましい事があるアンドリューは、彼によって無実の罪で死んだ人の亡霊によって、即座に恐怖に駆られた。

アンドリュー
「く、来るな!俺の体の中に入って来るな!お前等が先に俺を排斥した!なぜ、今になって又俺を探す!!やめてくれ!!
シオン
「こ、これはどういう事!?
KOS-MOS
「フォトン(注釈:光子)、レプトン(注釈:軽子)、ハドロン(注釈:強子)、グラビトン(注釈:重力子)の反応、全くありません。
シオン
「じゃあ、何で見えるの!?

 それらの紫色の光がアンドリューの体内に入った後、ゾハルとの共鳴が始まった。そして、恐るべき怪物に変化した・・・・・・。

シオン
「そんな!
モモ
「こ、この感覚・・・・・・グノーシスです!
ジギー
「あの時と・・・・・・同じだ・・・・・・。

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8.アンドリューの最期
 アンドリューから変化したグノーシスは有無を言わさず襲いかかり、シオン達は必死に抗戦するしかなかった。そして、グノーシスに致命的な一撃を加えたと同時に、シオンは突如として奇怪な感覚を抱いた。アンドリューの内面的世界に進入した様であった。

マーグリス
「見ろ。次第に拡散して行く光を・・・・・・以前、光は文明・・・・・・意思の象徴でもあった・・・・・・しかし、今見えるものは何だ?人が何もせずに享受した結果、放蕩三昧に溺れ、創造の意思を捨てた。奴等の眼中には虚構しか見えぬ。
シオン
(中佐と・・・・・・あの人は誰・・・・・・?)
マーグリス
「お前の身辺にあるものなぞは人とは言わぬ。ただの糞袋に過ぎぬ。人は人であるが、それは人が意思を持つからだ。お前はあの虚偽の世界を拒んだ。その上、同化もしていない。考えて見るがよい。あれほどの人格矯正プログラムを受けて尚、お前を変える事は出来なかったのだぞ。
シオン
(人格矯正プログラム・・・・・・中佐が?)
マーグリス
「人類は嘗て望郷の念を抱いていた。だが、それは結果として糞袋どもによって、完全に捨てられた。どうだ、アンドリュー?この大地の為に、あらゆる星系と全宇宙の為に、人類の意思の力に今再び火を着ける手助けをしようではないか!我等の為に、我等の「神」の為に・・・・・・

シオン
(嬉しい・・・・・・??私の気持ちが?いえ・・・・・・これは中佐の気持ち・・・・・・中佐・・・・・・貴方は一体何を求めていたと言うの・・・・・・)

 シオンはアンドリューの内面的世界に直接進入する・・・・・・

シオン
「中佐・・・・・・
アンドリュー
「俺は始めから存在しなかった・・・・・・36年前・・・・・・ミルチア紛争のツォアル事件(注釈:佐亜爾事件)発生後の2年後・・・・・・戦争道具として俺は誕生したんだ・・・・・・

「これは至極普通の事だ・・・・・・俺から言わせれば、俺たちの命ってのは破壊・・・・・・環境に適応した人間は幸せだったさ・・・・・・戦場で死んだ奴はもっと幸せさ・・・・・・だが、俺にはそんな幸運なんぞ無かった・・・・・・俺の一生は皆、自分の存在意義を探せなかったんだ。

「戦争終了後、俺は世界に捨てられたんだ・・・・・・この世界に適応しようとはしていたさ・・・・・・しかし、この世界は俺を全然受け付けていない・・・・・・そして、俺がこの世界を拒絶したのさ・・・・・・だが、司令は俺を重視してくれた・・・・・・司令の眼中に俺は俺の未来を見たんだ・・・・・・否、俺が見たい未来の世界を見たかったんだ。

「この世界に適応する為に、薬の力が必要だった。・・・・・・俺は俺を保ち続けている・・・・・・今分かったんだが、俺が現実の世界を拒否ていたんだ。シオン・・・・・・ここは素晴らしいぞ・・・・・・己がいるだけだ、他人はいない・・・・・・喜怒哀楽が無い、未来も無い・・・・・・俺がいるだけだ・・・・・・そして、俺自身も溶けていなくなる・・・・・・素晴らしい感触さ。

「俺はずっと、この種の感覚を探し求めていた・・・・・・シオン、・・・・・・いずれ・・・・・・お前も来る・・・・・・近い内に・・・・・・俺には分かる・・・・・・。

 グノーシスの雄叫びがシオンを現実に引き戻した・・・・・・。そして、グノーシスは霧となって消失した・・・・・・。

モモ
「シオンさん・・・・・・シオンさん!!
シオン
「さっきのは・・・・・・アンドリュー中佐・・・・・・
ケイオス
「・・・・・・シオン・・・・・・
シオン
「ケイオス君、教えて・・・・・・さっきのは一体何だったの?私達は何をしたの?教えて・・・・・・
モモ
「ジギー・・・・・・ジギーはどうしたの?
ジギー
「お前には関係無い・・・・・・すまない・・・・・・
シオン
「あれは本当に中佐だったの?教えて、ケイオス君!私達は中佐を・・・・・・
ケイオス
「シオン・・・・・・ある時は、真相を知る事が必ずや幸せである事とは限らないんだよ・・・・・・
シオン
「ケイオス君・・・・・・私達も中佐みたいになるの・・・・・・?
ケイオス
「僕はまだここにいる。その上、グノーシスにもなっていない。これは事実だよ。さあ、起きて。
シオン
「うん。
KOS-MOS
「次元境界の結界が崩壊を始めます。このままだと、この空間は消滅します。とても危険です。
ジギー
「本当か?

 元来、とてつもなく大きい「聖堂船級」は次第に崩壊し、皆が中に漂う中、この中では動けないシオンとケイオスの命が差し迫っていた。

モモ
「あ、見てください!あそこです!
マシューズ
「おお~い、嬢さん、まだ生きてるっか~
アレン
「主任~大丈夫ですか~
シオン
「船長!アレン君!

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9.痛みは私を満足させてくれますか?
 一行の乗船後、本当の面倒事がようやく始まった・・・・・・結界崩壊後、眠りについていたグノーシスが息を吹き返し始め、本能的に、エルザをとことん追い詰め始めた。

ハマー
「お、追って来るっす!
マシューズ
「全速前進!あいつ等を撒くぞ!
トニー
「了解!

 頭を抱えてあたふたと逃げ回らんとしたばかりに逃げるエルザ。同時に、デュランダルが丁度良い時に駆けつけ、強大な火力によって、追い付かれかけたエルザを支援する。

マシューズ
「何だ?デュランダル!
Jr.
「その通り!
メリィ
「ちび様、船籍を確認しました。エルザです。
Jr.
「まったく・・・・・・・何事かと思えば、何であいつ等がここに来ているんだ?まぁいい。全火力をグノーシスに向けろ。エルザの退路を確保し、敵を殲滅する。
ジギー
「どうやら、戦うみたいだな。
モモ
「きついのかしら。転移した時、余りにも多くの数を確認したのですが。
シオン
「あいつらは連邦艦隊を全滅させたのよ。抗戦する位なら、逃げた方が上策だわ。

メリィ
「あちゃ!駄目だわ!どうしまひょ?
Jr.
「補給前だったからな・・・・・・ちっ、さっさと分かっていれば、U-TIC機関と戦わなかったってのにな!戦って無ければ・・・・・まだ・・・・・・。
シェリィ
「ちび様、本艦五時方向に敵集団転移。全方息が包囲されています。
Jr.
「でなければ、逃げるか?あいつらが集団で協力するなんざ、以前には見られなかった現象だったぜ。・・・・・・たとえ、ゲートジャンプしても、追いかけてくるだろうな。
メリィ
「ちび様!新手がエルザを追いかけてまんな、このままじゃまずいわ!

シオン
「船長!
マシューズ
「おい、大丈夫か!トニー!奴等を撒けって!
トニー
「無理っすよ!あいつ等の方が俺達よりも早いんだ!
マシューズ
「くそっ・・・・・・デュランダルの艦砲はあいつらには痛くも痒くも無い様だが、どうすべきだ・・・・・・。

 この時、危機を感じたKOS-MOSが秘密兵器を使用する事を決意する。<注釈:これは翻訳者の解釈>

ハマー
「第17ハッチが開いてるっす、誰かあそこにいるんすか?
シオン
「KOS-MOSだわ!あの娘ったら・・・・・・
ハマー
「モニターを開くっす。
シオン
「KOS-MOS!KOS-MOS!KOS-MOS!何やってるの!戻って!数が多すぎるわ、貴女には無理よ!貴女にはそういう機能は無いの!
KOS-MOS
「シオン・・・・・・痛みは・・・・・・・私を満足させてくれますか・・・・・・?
シオン
「何?聞こえないわ!
ハマー
「空気が薄いから聞こえないっすよ。

 圧倒的多数のグノーシスに向かって、KOS-MOSは船尾に位置を固定する。並びに、デュランダルのコントロールシステムをハッキングし、船内のゾハルとアクセスを開始した。<注釈:EP1だけでは真偽がはっきりしない為、これについては翻訳者の解釈とする>その為、その事を全く知りようが無いデュランダル船員は慌てふためき、何が起きたのかを全く理解出来ないでいた。

百式オペレーター1
「アトラクトインヒビター(注釈:活動阻止装置)出力300%!ゾハルエミュレーターの波動を抑えられません!
Jr.
「どういう事だ!勝手に動き出しやがった!
シェリィ
「マザーフレーム(注釈:中央電脳)“ピエタ”に侵入警報、多数のプログラムに置換減少が発生。
Jr.
「“ママ”か?一体どこからだ?
百式オペレーター2
「トランスフェクション(注釈:感染経路)をスキャン!経路確定!隔離格納庫からです!
Jr.
「隔離格納庫!?まさか、ゾハルが!
百式オペレーター2
「はい、外部からの信号がゾハルを動かしています!
シェリィ
「パラダイム汚染(注釈:模組汚染)進行中。このままでは、マザーフレームの主導権を奪われます。
Jr.
「隔離格納庫の主線を切れ!サブ回線でアトラクトインヒビターを継続動作させろ!
シェリィ
「主線路パージ、封鎖信号伝達!

 準備が整ったKOS-MOSが、ゾハルと一体となり、枯草を粉々に引き倒すかの如く、グノーシスを一掃し、全てのグノーシスを吸収した。この現象に全ての者達が驚いた。

マシューズ
「何だ、こんなに楽とは。
アレン
「主任・・・・・・
シオン
「さっきのは・・・・・・私の幻覚じゃないよね・・・・・・
アレン
「ええ、グノーシスを吸収しましたよ。
シオン
「こんな兵装があったなんて・・・・・・い、いえ、あれは兵装じゃない、あれは・・・・・・
アレン
「有り得ない事ですよ。
マシューズ
「何が可能不可能、何を言っているんだ?グノーシスを倒したんじゃねぇってのか?
ハマー
「あの・・・・・・船長、さっきから、ちび旦那様が通信を入れて来てるんですけど。
マシューズ
「おお、繋げてくれ。
シオン
(私の知らないKOS-MOS・・・・・・ケビン先輩・・・・・・これが貴方の求めて来た・・・・・・これがKOS-MOSの本当の姿なんですか・・・・・・)

 騒動が一段落着き、デュランダルがゾハルエミュレータ-を回収し、エルザを収容する。アンドリューのなれの果てはマーグリスによって、探し出されていた。

兵士
「司令。
マーグリス
「何だ。
兵士
「アンドリュー中佐のS.M.Sの識別信号が消失しました。
マーグリス
(・・・・・・)
兵士
「ハイパースペース内を移動した所迄は追跡できました。しかし、座標2100-783にて、形跡が消失しています。同一地点から、一部の局所変異の残滓がある事から、グノーシスと思われます。
ペレグリー
「・・・・・・・

 場面はデュランダルに戻る。

Jr.
「頼んだぜ。
メリィ
「了解、ちび様。
ケイオス
「ありがとう。助かったよ。
Jr.
「詳しい事は後で教えてくれよな。マザーフレームが突然、風邪を引いちまってな、調査作業もお預けだ。
ケイオス
「それは困ったね。
Jr.
「よく言うぜ。
アレン
「知り合いなんですか?
マシューズ
「彼がボスだよ。俺達の御得意さんでもある。あ~、ちび旦那様、俺達は仕事中に、ミルチアへ行く客を拾ったんすけどね、どうします?
Jr.
「どうやら、訳有りの客の様だな・・・・・・まぁいい。まずはエルザの修理からだ。ファウンデーションで修理して来いよ。でなきゃ、目的地迄もたないぜ。
シオン
「ファウンデーション?クーカイファウンデーション?フォーブス誌による“今年度急成長法人トップ10”の?それじゃあ、貴方は・・・・・・
Jr.
「アイヤー、最近サイドビジネスを始めたら、少し儲けちゃってさ。
アレン
(主任、駄目ですよ。こんな人と関わっちゃ)
Jr.
「おいおい、これでも聞こえてるぜ、あんちゃん。いっその事、宇宙空間に捨てちまうか。
アレン
「あ、あ、ご、ごめんなさい。
マシューズ
「捨てちまいましょうぜ、ちび旦那様。こいつったら、いっつもうるさいのなんの・・・・・・。
アレン
「船長すら、これだ。ケイオス君、助けてよ!
ケイオス
「僕に決定権は無いからね。2人の判断に任せるよ。
Jr.
「そうだな。捨てちまうか。
アレン
「そんな~
Jr.
「何びびってんだかな。ジョークに決まってんだろ!ジョーク・・・・・・
「どうした?何を心配しているんだ?
シオン
「あ、何でもないです。シオン・ウヅキと申します。宜しくお願いします。あ・・・・・・
Jr.
「Jr.。クーカイ・Jr.。本名じゃないけど、事情が有ってな。Jr.って呼んでくれ。宜しくな。
「シェリィ、予定変更、ファウンデーションに帰投するぞ。それと、ガイナンに知らせてくれ。“最期の贋作を確保した”ってな。
シェリィ
「了解しました。これより、ファウンデーションに帰投します。

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只看该作者 4楼 发表于: 2004-05-09
“向き合えない過去”
Index
1.お前等は見るな 2.パパはそんな人じゃない 3.素敵な記憶ね 4.ガイナン・クーカイとJr.
5.雷は嫌・・・・・・ 6.ウ・ドゥか・・・・・・ 7.プラン401 8.Go ahead, make my day
9.窮地 10.連邦政府反逆罪の罪 11.ママはそんな事絶対しない!! 12.ヘルマーとヴィルヘルム
13.協力者 14.2人の過去 15.素敵な思い出は半分だけ 16.これは悪戯かよ・・・・・・
17.合流 18.向き合えない過去 19.可能性事象 20.おはようKOS-MOS

1.お前等は見るな
 夢の中にて命懸けで走るJr.。それは、ガイナンを探す為。そして、ガイナン(Jr.が飼っている犬(注釈:ORでは猫なので、翻訳者の見間違い))をようやく見つけ出す。・・・・・・Jr.が抱いた小犬が、もう1人の人間に変化する。

Jr.
「喋るな・・・・・・。もう済んだんだ・・・・・・。
「アルベド!!

 夢の中で地獄に墜落したJr.はようやく目覚め、掌に書かれてある自らの666の番号を見た。彼は己の宿命を呪わずにはいられなかった・・・・・・。

 2日目、Jr.はシオン達を連れて艦内の隔離格納庫を参観していた。

モモ
「ここはどこですか?厳重に手が加えられているみたい・・・・・・大きい箱ですね・・・・・・橋の左右に6箱ありますね。真中に一つあります
ジギー
「全部で13箱。全ての容器に名前が書かれている。
シオン
「目が良いのね。見て見るわ・・・・・・ペトロ(注釈:彼得)、アンデレ(注釈:安得烈)、ボアネルゲ(注釈:半尼其)、トマス(注釈:多馬)、ヨハネ(注釈:約翰)・・・・・
KOS-MOS
「フィリポ(注釈:腓力)、マタイ(注釈:馬太)、バルトロマイ(注釈:巴多羅買)、ヤコブ(注釈:雅各)、タダイ(注釈:達太)、シモン(注釈:西門)、ユダ(注釈:猶太)・・・・・・
シオン
「それと・・・・・・
KOS-MOS
「Marienkindと書かれています。
シェリィ
「マリアの子供と言う意味よ。
Jr.
「ここに置かれているのは皆、面倒な物だぜ。見な。
シオン
「ゾハル?
Jr.
「全てエミュレータ-さ。さっきのも含めて皆、封印済みさ。
シオン
「どうして、ゾハルがここに?
Jr.
「ああ・・・・・・商売しているといっつも、色んな事情に出くわす。この時代、グノーシスに遭遇してすぐに逃げるってのは通用しないからな。連邦がその馬鹿でかい尻を起こす前から、どの道、自分の副を先に求めなくちゃあならなかった。
モモ
「この通路の前にある部屋は何に使うのですか?
Jr.
「見ると吐き気を催されるぜ。
シオン
「私達、見ちゃ行けないの?
Jr.
「強烈にアドバイスするが、お前等は見るな。
シオン
「貴方達は一般的な商売をしているけど、結局はただの1財団でしょ?この船の武装から見て、装備は戦術強襲艦よりも強過ぎるわ。貴方達は一体・・・・・・。
Jr.
「元は政府機関の一つ・・・・・・まぁいい。みたいなら、どうぞ。
シオン
「これは・・・・・・!

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2.パパはそんな人じゃない
Jr.
「言ったろ?強烈にアドバイスするが、お前等は見るなって。
KOS-MOS
「ここのは全て人類がグノーシスに変異した変容体(注釈:突變體)です。
ジギー
「変容体・・・・・・以前に聞いた事がある・・・・・・。
Jr.
「一般的には、直接白化するか、粉々に砕け散る。しかし、たまにこうした状況も出現する。俺達はこれをベティ(注釈:貝蒂)と呼んでいる。直視出来ないだろ?もしもこれを番号にすれば平気なんだ。死人を物や数字にしたら、これの一生はおしまいになっちまう。
モモ
「女の子だったんですか?
Jr.
「俺達が最期に見た時は女の子だった。
アレン
「人類がグノーシスになるなんて・・・・・・将来は分からないの?
Jr.
「確かに、俺達が収集したグノーシス残滓は多いが、その正体を解明出来ていない。こいつの成分が何か分かるか?
アレン
「わからないけど・・・・・・。
Jr.
「NaCl・・・・・・つまり、塩さ。こいつ等の半透明の身体組織の主要成分が水とナトリウムだぜ。こんな普通の物質が何故、こんな物に変化するんだろうな?こいつ等と接触した人間は100%グノーシス化する。これは事実さ。或人間は、これは新種ウィルスとしているし、又は別次元の生物がこの世界に存在する為の手段としている。多くの考え方があるけど、見るべき物が多すぎて、一々目を通せないぜ。

 これを聞いたシオンは直様気持ちが半分萎えてしまう。グノーシスとのあの時の接触により、シオンは自分がアンドリューと同じなれの果てになる事を心配した。

シオン
「例外は無いの・・・・・・?
Jr.
「俺が知る限りは無いぜ。
アレン
「しかし、別次元の生物って可能性もあるんだよね?もしも、そうなら、彼等の本体が別の所にあるんじゃ・・・・・・。
Jr.
「さぁてな・・・・・・どの道、こいつ等が人類に敵意を抱いている事は確かだぜ。まぁ、人類に敵意を持つ生物なんざ、珍しい事では無いんだけどな。
アレン
「主任、どうしました?顔色が優れませんけど。
シオン
「あ、何でも無いわ・・・・・。
「貴方達はいつからこう言う事を始めたの?<注釈:ORは『い、いつから、こんな事が始まったのかしら-。』となっており、これは翻訳者の間違いである>
Jr.
「非公式の研究は何百年前から始まってたぜ<注釈:ORは『非公式にはここ数百年』となっており、シオンの台詞の翻訳ミスにより、Jr.の台詞も連鎖的に間違っている>。以前、こうした現象は皆、偶発的だった。しかし、ある事件の後、グノーシスは正式に歴史の舞台へ登場した。
モモ
「何の事件ですか?
Jr.
「ミルチア紛争さ。全ての原因は一人の男の野心により、引き起こされた。ヨアキム・ミズラヒ自らの手により、災いが人間に齎【もたら】された。
シオン
「ヨアキム・ミズラヒ。最高水準の科学者であり、U-TIC機関創設者ね。
Jr.
「1人の狂人さ。グノーシスへの好奇心を抑え切れずに、奴等を召喚した。
モモ
「狂人・・・・・・。
Jr.
「後始末と事態の究明の為、戦後遷都した後の第2ミルチア政府はファウンデーションを設立。これが俺等の本当の仕事さ。同時に平和が何年も保たれた。しかし、ファウンデーションの維持の為に、とりわけゾハルの管理費が多過ぎるから、財団化。そして、或部門を民営化し、ようやく、副業で大儲けさ。
モモ
「パパは・・・・・・そんな人じゃない・・・・・・。

 参観が終了した後、モモの陰が見当たらなかった事が、シオンを心配させる事となった。

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3.素敵な記憶ね
 デュランダルのパークエリアに到着すると、ようやくモモを探し当てる。

モモ
「貴方達はどう思うの?狂人ヨアキム・ミズラヒ・・・・・・パパは本当にそんな人なのかしら・・・・・・パパは私達レアリエンを作り出した。有害なモノなのかな・・・・・・。
シオン
「モモちゃん!やっぱりここだったのね!
モモ
「シオンさん・・・・・・。
シオン
「どうしたの?元気無いのね。
モモ
「シオンさん。私は・・・・・・私はヨアキム・ミズラヒに作られたんです。連邦計画に貢献する百式レアリエン。<注釈:OR『まだ連邦に貢献していた頃に計画された、百式レアリエン』>
シオン
「知ってるわ。
モモ
「シオンさん・・・・・・パパが狂人だとは思えない。けど、私は私が一体何なのかが分からない。
シオン
「アイデンティティの危機<注釈:OR『自我同一性の拡散か』>・・・・・・永遠の難問ね。この船はとても素敵な環境虫を使っているのね。エンヴァイラメンタル・バグ(注釈:環境蟲)。密閉した空間を綺麗に保つナノマシン(注釈:毫微機器)。これもミズラヒ博士の・・・・・・いえ、科学の歴史の中でもとても素敵な発明ね。こうした環境虫達は、人工で作られたけど、いつもこの世界に自分の力を貢献し続けている。<注釈:OR『この子達は、人工的に生み出された存在なのに、ずっとこの世界にいたように役に立っている』であり、ニュアンスが微妙に違う>貴方達レアリエンだって一緒じゃないのかしら?人間と違うのは歴史の長さ短さだけ。私はね、この世界を構成するあらゆる要素は皆重要だと思うの。<注釈:OR『この世界全体を構成する、大事な要素【メンバー】である事に変わりはないと思うんだけど。』であり、ニュアンスが微妙に違う>それに、私はミズラヒ博士が一般に言われているように、あんなに危険だとは思わない。環境虫だけじゃないわ。彼のレアリエンに関する著作からは彼の深遠な観察力が伺えるの。
KOS-MOS
「ミズラヒ博士が残したグノーシス基礎研究は、現在の対グノーシス技術に大きな貢献を齎【もたら】しています。<注釈:OR『現在の対グノーシス技術の発展にも、ミズラヒ博士の遺した、グノーシス基礎研究が役立っています。』であり、ニュアンスが微妙に違う>
シオン
「良い言葉よ<注釈:OR『ナイスフォローね』であり、的確に訳されていない>、KOS-MOS!今の反応は良かったわ。感情の共鳴<注釈:OR『共感【エンパシー】であり、意味が微妙に異なる』>・・・・・・人間関係の要素よ。
KOS-MOS
「今は人間関係の円滑化に必要が無いと認識しますが、お役に立てたのなら、ご光栄です。
モモ
「フフ・・・・・・KOS-MOSさん、面白いです。
シオン
「けど、あまり言う事聞かないのよ。
モモ
「パパには会った事が無いんです。けど、生まれる前、いつも深い情を持って、私に話していたんです。このまま行けば<注釈:OR『善い行いをしたら』となっており、的確に訳されていない>、私は人間になれるよって・・・・・・私の印象はそれだけなんです。
シオン
「ええ・・・・・・素敵な思い出ね。
アレン
「主任!良い知らせです!この船はクーカイファウンデーション到着後、そのまま第2ミルチアへ行くそうです。
シオン
「第2ミルチア?わざわざ私達を送りに?
アレン
「何か用事があるらしいですね。そうだ、エルザの修理がまだ終わっていなく、船長の気分も良くないのですが・・・・・・
シオン
「用事・・・・・・本当かしら・・・・・
アレン
「え?
シオン
「んとね・・・・・・こんな多くの事が発生して、皆が皆ミルチアに行くなんて、何か気に入らないわ。
アレン
「そうですか?折が良いだけですって。運賃も節約出来ますし、良い事だと思いますよ。こんな設備は一般の船<注釈:OR『貨物船【エルザ】』>よりも良いですし、万が一グノーシスに襲われても、ここの武装なら大丈夫ですよ。あ、そうだ。部屋は見ました?マッサージバスタブとミニバーが付いているんですよ・・・・・・おかしいな。何で、手を頭に?気分が悪いんですか?
シオン
「いえ・・・・・・何でもないわ。本当、貴方の自己中心な所が羨ましいわ。

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4.ガイナン・クーカイとJr.
 デュランダルがファウンデーションに到着したのと同時に、皆がブリッジの上から、その賑わいを見ていた。

アレン
「これがクーカイファウンデーションかぁ。この船同様貫禄があるなぁ。
モモ
「デュランダルが摩天楼【メトロポリス】になるんだって。綺麗ね。
シオン
「え?この船が直接停泊するの?
アレン
「この船はどうやら、ファウンデーションの有名な場所の一つらしいですよ。エルザの中にあった旅行ガイドにそう書いてありました。
シオン
「なるほど。そういうのあまり見ていないのよね。
モモ
「あ、見て下さい。港にドッキングします!

 デュランダルがファウンデーションの真中央から進入し、水面を突破し、海の真中に聳【そび】えるメトロポリスとなった。

ガイナン
「観光に来るなら、ニューイヤーズ・イブ一が番良い。眩しく煌く大都会はとても壮観な光景だ。
ジギー
「あなたがガイナン・クーカイですか。クーカイファウンデーションの代表理事。

 ガイナンを見ながら、直感がシオンに彼がJr.であると訴えかける。

シオン
「え?Jr.君・・・・・・?
ガイナン
「どうしましたか?
シオン
「いえ、何でも・・・・・・こんにちは。
ガイナン
「クーカイファウンデーションにようこそ。大体の経緯は、マシューズとケイオスから聞いている。我々のもてなしには満足出来ますか?
シオン
「は、はい。お世話になります。
ガイナン
「良いご滞在を。
シオン
(私ったら・・・・・・初対面なのに失礼だわ。)
ガイナン
「君はモモさんかね?接触小委員会のユリ・ミズラヒ博士が私に通知をよこしている。、君を第2ミルチアへ安全に送致しよう。
モモ
「ママが?
ガイナン
「ああ。彼女が君に宜しくと。
モモ
「ママと話せますか?
ガイナン
「それは分からないな。どうやら、お忙しいようだ。
モモ
「そうですか・・・・・・なんでいっつもママは会おうとしないの?
ガイナン
「もしも、彼女がまた連絡してきたら、お知らせしてあげよう。
モモ
「はい。ありがとうございます・・・・・・。

 ガイナンが離れる前に、その直感が彼にシオンが体調に優れていない事を訴えかける・・・・・・ガイナンはその力でシオンにグノーシスの影を見た。<注釈:ORそう解釈し様が無く、この記述は翻訳者の解釈=誤り>

ガイナン
「否・・・・・・有り得ないだろう・・・・・・。

Jr.
「あのKOS-MOSの力はただ事じゃないぜ。どう見たって、実験機とは思えないな。それに、エミュレータ-と共鳴した事が注意に値する。
ガイナン
「ヒルベルトエフェクトか・・・・・・聞く所によると原型【アーキタイプ】は既に壊れたとか。しかし、何か意味がありそうだな。それに、KOS-MOSの管理者・・・・・・シオンと言ったか・・・・・・彼女はもしかしたら、俺達の力を感づいているかも知れん。
Jr.
「まさかな。普通の人間に過ぎないだろ。
ガイナン
「普通でないかも知れんぞ。
Jr.
「そうか?見た感じは普通の女の子なんだけどな。ま、ヘルマーの計画に関わり、最重要機密資料に携わっているわけだしな。そう考えれば、有り得ない事ではないな。
ガイナン
「お前の言っているのはプロジェクト・ゾハルか。
Jr.
「なぁ、ミズラヒの事は暫くよさないか。
ガイナン
「フム、桃とかいう娘の事が気になるか。
Jr.
「何だよ、その眼差しは?彼女が狂人の娘だって言ってないぜ。まぁ、どう言おうと俺達はこの目でミズラヒの死を見た事があるし、経緯も目撃している。あの娘はレアリエンだ。記憶が改竄されているかも知れないな。
ガイナン
「お前が言いたいのは、彼女の中のミズラヒは幻想だと?
Jr.
「知るかよ。だから、暫くは保留って言ってんだ。どの道、注意は必要だけどな。
ガイナン
「そんなに彼女が気になるのなら、ビーチにでも誘ったらどうだ?気分転換にもなるぞ。
Jr.
「だから、そういう意味じゃないって言ってるだろ!
ガイナン
「おい!
Jr.
「何だよ?・・・・・・ステンレス製の銃!?紙箱も付いてんのかよ!?
ガイナン
「先週サザビーズ(注釈:沙沙比茲)で“古代武器博覧会<注釈:OR『古代武器コレクション』>”があってな。落札して来た。
Jr.
「何で、こんな親切をすんだ?何か企んでるのかよ。
ガイナン
「何にも。最近、頑張っているようだから、これは配当だよ・・・・・・余計だったかな・・・・・・暴発する位に遊ばないように注意しろ。俺より年長なんだから、少しは大人らしく話をしろよ。
Jr.
「わぁぁぁお!カッコいい!!

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5.雷は嫌・・・・・・
 シオンは未だにグノーシスの一件を気にしていた。1人で、部屋に座り、ボケ-っとしていた。

シオン
「ふぅ・・・・・・
「開いているわよ。
アレン
「主任、行きましょうか?
シオン
「うん・・・・・・
アレン
「どうしたのですか?気にし過ぎかもしれないんですけど、この船についてから、そんなに落ち込んじゃってます。でしょ?
シオン
「だ、大丈夫よ・・・・・・何でもないの。どうしたの?私がそう見えてるの?
アレン
「その通りですよ。
シオン
「そう・・・・・・。
アレン
「ほら、まただ。
シオン
「だって、気にしている事が有る・・・・・・それだけよ。
アレン
「本当ですか?もしも嫌って相手にしないってのが無いなら、僕と話をして下さいよ。
Jr.
「シ~オ~ン!遊びに行こうぜ!ランチ乗り場(注釈:発射場)で待っているからさ、早く来いよ!待ってるぜ!

 仲間達がビーチで遊んでいる時、シオンは気分転換の為、自身の興味をKOS-MOSの身の上に置き、自身を麻痺させていた。そして、昔の事を思い出していた。

ケビン
「もしも、彼女に心があるって言ったら、君は笑うだろうな。
シオン
「KOS-MOSの精神活動の事ですか?
ケビン
「面白い現象を発見したんだ。この主の現象は当然、弱く、偶発的なパルスなんだけどね・・・・・・。
シオン
「本当ですか!?継続して観察するに値する現象ですよ!もしもKOS-MOSの構造が人の脳を忠実に再現しているなら、これは不可能な事ではないと思います。

シオン
「モモとの共鳴行動・・・・・・あの時の深層領域の波形は・・・・・・フラットライン(注釈:平波)・・・・・・やっぱりダメか。何にも無しね。
アレン
「主任、どうしました?ビーチに来る事が少ないのに、やっぱり、ディスプレイを見てばっかなんですね。
モモ
「そうですよ、一緒に遊びましょう。
シオン
「ごめん、用事があるの・・・・・・。
モモ
「KOS-MOSさんですか?お疲れ様です。
アレン
「KOS-MOSか・・・・・・ブラックボックス(注釈:黒箱)の部分が多過ぎて、理解しきれないんだ。
モモ
「ブラックボックス?
アレン
「だから、少しずつ少しずつ解析して、本当の姿を見つけるんだ。KOS-MOSの事完全に知っていたのはケビン先輩だけだったんだ。
シオン
「ねぇ、アレン君、Jr.君とガイナンさんは親子かしら?兄妹だとしても、年の差が有り過ぎるわ。
アレン
「世襲用のクローンだとか、もしくは隠し子だとか。こうしたゴシップは多いですけど、しかし・・・・・・・
モモ
「クローンじゃないと思います。ゲノム配列が少し異なる感じ。
シオン
「凄いね!こういうのも見分けられる訳!?
モモ
「モモは観測用ですから。そうですね。彼等の間の差異は親子又は兄弟程大きい訳じゃないです。だけど、構造上が同じ訳じゃないです。
シオン
「そんな人がいるの?DNA配列が0.1%違うだけで、全くの別人なのに。
Jr.
「誰が隠し子だって?
アレン
「あ・・・・・・ここのビーチは本当に綺麗だなぁ、人工ビーチだとは思えないな。
Jr.
「これは俺達の新製品でな。天候を自由に変えられるんだ。いっつも晴れじゃつまんねぇからな。

 Jr.がリモコンを動かすと、空に区もが出現し、雷が微かに伝わり、シオンが向き合えない記憶を引き出した。

シオン
「雷は・・・・・・嫌・・・・・・
Jr.
「シオン?
シオン
「嫌!雷は嫌い!
「ごめん・・・・・・雷は嫌いなの・・・・・・。
ケイオス
「シオン・・・・・・。

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6.ウ・ドゥか・・・・・・
 最後のエミュレータ-を順調に手にしたものの、策略がある事をガイナンは既に感じていた。そして、ガイナンは直ちにヘルマーとの連絡を取った。

ガイナン
「やはり、いつも通り忙しいな、ヘルマー代表。
ヘルマー
「おお、黒化【ニグレド】か。そちらはどうだね?
ガイナン
「その名は気持ちの良いものではないな。
ヘルマー
「失礼した。ガイナンと言う良く響く名は、短い時間では適応出来ないのでな。何有ったかね?
ガイナン
「そちらへ向かう。それに、こちらには敏感な物を載せてあるので、先にお知らせすべきだと思ってね。
ヘルマー
「ほう。
ガイナン
「連邦巡洋艦・ヴォークリンデ、ひょんな事から物事に食い違いが生じ、それが携えていた物を手にした。エミュレータ-だ。
ヘルマー
「それは12器目かね?U-TIC機関の記録と一致しているな。
ガイナン
「その通り。先の惑星消失のあれだ。もしもU-TIC機関があれを再び建造していなければ、これで全て揃った事になる。オリジナルを除けばな。
ヘルマー
「それは有り得ないだろう。あれを作れる者は最早この世にいないのだからな。
ガイナン
「そうかな?それともう一つ・・・・・・。接触小委員会の百式観測器も共に来る。
ヘルマー
「有り得ないな。送り届けに来るのかね?
ガイナン
「76時間前、うちの貨物船が救助し、並びに保護したのでね。
ヘルマー
「君の力は、偶発事象すら引き寄せるのかね。
ガイナン
「ある人間から言わせれば・・・・・・これは偶然ではなく、必然であるかも知れないな。何はともあれ、事態の進展はU-TIC機関と関わりがある。備えをすべきだと思ってね。
ヘルマー
「U.M.N.管理局には袖の下を使っておこう。<注釈:OR『打診をしておこう』であり、意味が若干違う>もし、艦隊規模の転移があれば見つけ出せる筈だ。
ガイナン
「賢明な選択だ。もしも、連中にエミュレータ-が無いのなら、奴等の目的は十中八九、旧ミルチア宙域にあるオリジナルとなる。そして・・・・・・。
ヘルマー
「ウ・ドゥ(注釈:巫毒)か・・・・・・
ガイナン
「奴等の最終目的はまだはっきりしていないが、何が何でもあれを再び目覚めさせる訳にはいかない。何に代えてもだ・・・・・・。
ヘルマー
「了解した。君等が到着するまで、準備をしておくよ。再開する時を楽しみにしているよ。

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7.プラン401
 虚心に考慮していたマーグリスは、既に計画発動の準備をしていた。

セラーズ
「出力は5.806LPPだけ、規定値の3%にすら到達せん。
マーグリス
「つまり、Lost Jerusalem(注釈:失落的耶路撒冷)への扉が開く事は全く不可能であると言う事か。
セラーズ
「あの扉は至る所で見つからない。言わなかったのか?何が何でもエミュレータ-を持ち帰ると?当初のこの命令を無視したのはお前だろう。お前のお陰で、貴重な遺産全をて失った。余った部品を掻き集めて見たものの、何の役割も果たさないだろうな。ミズラヒ無しは、オリジナルも無い。達成の難しい目標だよ。<注釈:OR『ミズラヒですら、オリジナルなくして辿り着けなかった高みだからな』>
マーグリス
「まさか、あの狂人を認めるとは、貴様には感服の到りだな。
セラーズ
「客観的立場になっただけさ。この領域では、この宇宙で奴よりも優れているのはいないからな。
マーグリス
「総帥を継続して待たす訳にはいかない。プラン401を発動する。
セラーズ
「プラン401か・・・・・・無理し過ぎの様だが・・・・・・ヘルマーの子飼いのミズラヒの百式にはミズラヒのあらゆる研究成果が記録されている。封鎖された旧ミルチア宙域とそのU.M.N.転移コラムの解除コードはそこにしか無い。注意せねば全てを失いぞ。
マーグリス
「Y資料の重要性を認識しているからこその計画<注釈:OR『奴』>だ。
セラーズ
「あの男は好かんな。奴の眼差しはミズラヒと同じだ。
マーグリス
「お前と同じだろ。
セラーズ
「ふん・・・・・・まぁいい。良いお知らせを待っているよ。
マーグリス
「ペレグリー、総帥と連絡をとる。現在の状況と議会工作の状況も共に通知する。

アルベド
「なるほど。で、俺は何をするんだ?
マーグリス
「状況は既に進行中だ。暫くは軽挙妄動を慎め。それと、第2ミルチア政府とクーカイファウンデーションが馬鹿正直にあれを渡す筈が無い。必要な時は・・・・・・ネピリムの歌声(注釈:聶比理姆的歌聲)を使うかも知れん。
アルベド
「ほう、あれは嫌いだったんじゃないのか?
マーグリス
「貴様がそれを玩具にするからだろうが!<注釈:OR『貴様の玩具にも使い道はある、と言うことだ。』となっており、翻訳者の誤訳かも知れない>
アルベド
「この様な事である以上、お前も参列してみないかい?<注釈:OR『なんならあんたも来るかい?』であり、意味が変わってる>歓迎するぜ。
マーグリス
「謹んでお断りしよう。俺は貴様みたいに変態ではない。<注釈:OR『遠慮しておこう。俺は貴様のように悪趣味ではない』>
アルベド
「ハハハ・・・・・・いい事言うねぇ。ソコが駄目な野郎のクセに。<注釈:OR『クククク。よく言うぜ、インポ野郎が』>

ペレグリー
「アルベド・・・・・・U.R.T.V・・・・・・ライフリサイクルが生み出した怪物・・・・・・ライフリサイクルが生み出した変異体。しばしば精神が不安定。アンドリューの様に・・・・・・。万が一、麻薬を切らして、自分勝手な動きに出たら・・・・・・。<注釈:OR『もししびれを切らして、下手に動かれでもしたら』>
マーグリス
「お前が心配する事ではない。奴は時間の制限を受けぬ。奴の興味はあのレアリエンだ。
ペレグリー
「ネピリムの歌声・・・・・・本当に使うの?
マーグリス
「ペレグリー、お前はあの歌を聞いた事が有るか・・・・・・あの歌は、全てを狂わせる・・・・・・。

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8.Go ahead, make my day
 一方、第2ミルチアへ近付いていたクーカイファウンデーションは、既にU-TICによる陥穽に足を踏み入れた事を気付いていなかった。

シオン
「ミルチアか・・・・・・こんな状況で戻るなんて思いもしなかったわ。
アレン
「主任、どうしました?
シオン
「あ、何でもないわ。どう?KOS-MOS。
KOS-MOS
「問題ありません。続けて下さい。
アレン
「また、何でもないですか。

シェリィ
「もうすぐ、ミルチア太陽系圏に入ります。現地標準時刻1400に周回軌道へ入る予定です。フライトプランを第2ミルチアの宙港管制室に転送し、入港許可を貰って下さい。

Jr.
「モモ。
モモ
「どうしました?
Jr.
「第2ミルチアへついたら、お別れだな。
モモ
「はい。
Jr.
「レアリエンが呪いを信じるかどうかは分かんないけど・・・・・・これをやるよ。お守りだ。
モモ
「綺麗・・・・・・これはなんですか?
Jr.
「古代の銃の弾薬さ。見な、上に元気にするお呪いが書かれているだろ。“Go ahead, make my day”ってな。
モモ
「ありがとう!大事にします!
Jr.
「あ、そうだ、ちょっとまってな。

 Jr.が、ネックレスを取り出し、自らの能力によって、弾薬とネックレスを結合させる。

Jr.
「これでOKだな・・・・・・つけてみろよ。
モモ
「凄いですね。Jr.さん、こんな事も出来るなんて。
Jr.
「少し疲れるんだけどな。

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9.窮地
メリィ
「おっかしいなぁ。お迎えが来るなんてなぁ。ガードつきなのぉ?
シェリィ
「進路を塞いでいます。私達を迎えに来たものでは有りません!
百式オペレーター
「光子魚雷が本艦に接近!
「本艦の周囲が連邦艦隊に包囲されています!

 場面は議事堂へ移る・・・・・・U-TICの巧妙な手配の下、U-TICに買収された議員が、待ってられない程急ぎながら、第2ミルチア政府とクーカイファウンデーションへの制裁議案を提出していた。

議員1
「見て下さい。この映像はクーカイファウンデーションが第117海軍師団に対して展開した攻撃であり、疑う余地が無い物であります。この事件後から推定すると、所属の監督自治政府第2ミルチアは連邦政府への反乱の嫌疑があるでしょう。上述の事実と私の提出した動議で、第2ミルチア自治政府の104項の既得権利を剥奪します。
議員2
「補足ですが、現在ケタルヤ(注釈:凱達亞)方面第422艦隊が当該宙域に向かっており、クーカイファウンデーションと第2ミルチアへの包囲と取締りを行います。
議員3
「ちょっと待て、これは越権ではないのかね!
議員2
「これは連邦憲章に関する緊急状況から艦隊を派遣したまでで、越権問題ではない。
議員4
「クーカイファウンデーションの処理だけなのに、奴等の兵力からすれば、あんな多過ぎる兵力でやれるのかね?
議員5
「戦争の英雄だろうが、どうでも良い。以前からあいつ等を甘やかし過ぎだからこそ、今日のこうした局面へと繋がったのだ。ゾハルは連邦全体の財産だぞ。何故、第2ミルチアに独占させる?
議員3
「旧ミルチアの遺産は、利害関係の無い団体に与える事が14年前の決議で決まっておる。
議員4
「問題は企業の独占の危険性にある。
議員3
「クーカイファウンデーションの財団化は戦後処理の終了並びに武装解除以後の事だ。現在の彼等は正にその名の通り、既に毀行と化しておる。その主要産業は娯楽観光業であり、ゾハルとも何の関係も無い筈であろう。
議員4
「現在の状況からして、あれを武装解除と呼ぶのか?
議員3
「あれは必要最低限の武力だろ?当初の彼等の設立趣旨を思い出して見たまえ。それだけではない、最近の彼等のグノーシス戦争への功労を忘れるな。
議員6
「戦後復興の処理上、彼等は既に恩恵を受けてあり、そして彼等の自治州として破格の地位を譲り受けているが。
議員4
「何!
議員5
「現在調査中の惑星消失事件にその他の事件・・・・・・とりわけ対グノーシスのプロジェクト・ゾハル、聞く所によるとミルチアとは離れられない関係にあるとか。
議員6
「接触小委員会の意見も聞くべきであろう。ユリ・ミズラヒ博士。
ユリ
「百式観測器の処理に関しては、当初の計画に則って、第2ミルチアへ送り届けるだけです。全て、合法であります。
議員4
「そうかな・・・・・・グノーシスを召喚し、連邦の破滅を企んだあの狂人が行った事、ミルチアが発生させた事を忘れるな。
議員5
「亡夫を庇う気持ちは理解出来ますが、しかし・・・・・・もしかしたら、貴方もこの事件に・・・・・・
ユリ
「私がここにいる理由を、貴方がもしもこの様に曲解するのでしたら、それは思いがけない事でありますね。
議長
「静粛に!静粛に!
「現在、ヘルマー代表との連絡が取れた。第2ミルチアの状況も聞くべきであろう。どうかな?ヘルマー代表?

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10.連邦政府反逆罪の罪
 連邦艦隊がその絶対優勢な兵力でクーカイファウンデーションを包囲し、並びにファウンデーションに罪状を言い渡し、ファウンデーションへの即刻帰投を要求していた。

Jr.
「連邦艦隊への戦闘行為かよ!?
アレン
「これは一体、どういう事だ?
ケイオス
「彼等はどうやら、デュランダルが第2ミルチア政府と共謀して連邦艦隊に攻撃したと思っているみたいだね。
シオン
「連邦艦隊?どこの?
メリィ
「ねぇ、サブモニターのニュースを見てみぃ!くっやしいで!
ニュース
「連邦絶対基準時21日未明、星団連邦テセドア(注釈:迪西多亞)方面軍第117海軍師団旗艦ヴォークリンデが、クーカイファウンデーション所属の重武装艦の攻撃を受けました。
シオン
「ヴォークリンデ!どういう事?グノーシスに襲撃されたと言う報告を収めているべきなのに・・・・・・。
ニュース
「該当する財団と第2ミルチア自治政府は即刻名指しで避難されており、連邦議会はこの行為を連邦反逆罪であると既に認定し、どうやらたった今、艦隊を派遣している模様です。
ケイオス
「しかし、交戦宙域の絶対座標までもが一致しているなんて・・・・・・。
Jr.
「糞!U-TICとの戦闘映像をあいつ等が録画しているなんて!
ガイナン
「なるほどな。道理で絶対座標も一致している訳か。奴等から言わせれば確かに証拠が確かで動かす事は出来ず、順調に我々がやった事だと思わせられるな。
ジギー
「こんな状況下で、のんびりしているとは。
シェリィ
「遅かれ早かれ、この様子ではU-TIC機関の残党が連邦政府と軍隊が潜入している事が確かなものとなりましたね。
Jr.
「あいつらの次の目標は・・・・・・
シオン
「こんな偽者の証拠なんて、私達で暴けば良いわ。もし、私達生存者が出て来れば・・・・・・。
ガイナン
「生存者も共謀者とされるぞ・・・・・・。
アレン
「何でこうなるんだ!まさか、本社からの連絡がないのもそれが原因?

 連邦艦隊による包囲が完成後、デュランダル内に連邦艦隊が進入した。

ラピス
「私は星団連邦艦隊特殊作戦司令部情報局ラピス・ローマン(注釈:拉比茲・羅漫)大尉。現時点から、本艦は星団連邦の管理下に置かれます。
「貴方達はヴォークリンデの生存者ですね?証人として監視を受けて貰います。この他にヴェクターの資材は暫し、接収させて頂きます。
シオン
「KOS-MOS・・・・・・
兵士
「百式観測レアリエンを見つけました。
Jr.
「やい、彼女に乱暴すんなよ!
ラピス
「一つの所に閉じ込めて、監視し易い様にしなさい。
兵士
「全部ですか?
ラピス
「分散したら、監視の人手が足りなくなります。後続部隊が来る前に、出来るだけ艦内の捜索を進めなさい。
兵士
「了解しました!
ラピス
「ガイナン・クーカイ!連邦政府への反逆罪の名の下に貴方を逮捕します!来なさい!
ガイナン
「仰せのままに。

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11.ママはそんな事絶対しない!!
ジギー
「奴等の手口はなかなかのものだ。こんなにも早く艦隊をよこすとは。この事から考えれば、彼等はとっくのとうに、モモを手の中に戻るようにしていたのかもしれないな。
Jr.
「ミルチア紛争後、第2ミルチアは中立区として成り立った。多くの権利を得ただけでなく、多くの特権まで得ている。俺達を目障りに見ているのはU-TIC機関だけではないだろうな。
ジギー
「モモを軟禁していた小惑星は当初から、何かしらの情報を得ていた。今、思い返して見ると・・・・・・俺が出発したあの時から、既にあいつ等の計画が発動していたのかもしれないな。
モモ
「それは、ママが私に救出を依頼した時から?
ケイオス
「まさか、委員会にもU-TIC機関が?
アレン
「有り得ない事ではないですね。もしかしたら、依頼者であるユリ・ミズラヒ博士かも・・・・・・。
モモ
「ママは・・・・・・ママはそんな事絶対しない!!
シオン
「アレン君!
アレン
「ご、ごめんなさい・・・・・・。

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12.ヘルマーとヴィルヘルム
 ガイナンを捉えたラピスは、彼を周りに人がいない所まで連れていった。

ラピス
「開けて下さい。
ガイナン
「ヘルマーか?
ヘルマー
「待たせたね。君も知っての通り、私も苦労している。連邦議会の処置に忙しくてね。今君の側に立っている女性は、ラピス・ローズマン。U-TIC機関の同行を調査する為に私が埋伏させた軍人であり、信頼に足る部下である。
ガイナン
「常に抜かりがないものだな。
ヘルマー
「年を取ると、小さい事にも気を付けるものだよ。記録が改竄される前に、彼女にデュランダルを渡してくれ。
ガイナン
「分かった。デュランダルのマスターキーを渡しておこう。
秘書
「代表・・・・・・ヴェクター総帥からEPR通信が来ています。
ヘルマー
「ん?ヴェクターの・・・・・・分かった。よこしてくれ。・・・・・・すまないが、状況に何か進展があったら、連絡をくれ。
ガイナン
「いつもいそがしそうだな。
ヘルマー
「なぁに、君程ではないよ。

ヴィルヘルム
「お久し振りです、ヘルマー代表。
ヘルマー
「Mr.ヴィルヘルム、お互い様です。枢機院議長を退任されて以来ですな。
ヴィルヘルム
「現在の状況は分かっております。議会には私からも説得しましょう。
ヘルマー
「恐縮です。Mr.ヴィルヘルム。
ヴィルヘルム
「実は、我が曙光はミルチア系圏へ向かっています。嫌な予感がするのでね・・・・・・。
ヘルマー
「嫌な予感・・・・・・。
ヴィルヘルム
「今回の事件、既にお気付きかと思われますが・・・・・・。
ヘルマー
「きっと、黒幕はU-TIC機関でしょうな。
ヴィルヘルム
「ええ。もし、このような事実なら、彼等の目的はただ一つ。ミルチアのオリジナル・ゾハル。それと・・・・・・。
ヘルマー
「ウ・ドゥ・・・・・・あれを再度目覚めさせてはいけない。
ヴィルヘルム
「弊社のKOS-MOSが貴方達のお世話になっておりますが。
ヘルマー
「すみません、Mr.ヴィルヘルム・・・・・・クーカイファウンデーションと第2ミルチアは既に自分を請け負えない・・・・・・。
ヴィルヘルム
「そうでしたね・・・・・・では、ガイナン氏にお伝え下さい。これなら、問題はないでしょう?
ヘルマー
「ええ。これなら、大して問題にならないでしょう。
ヴィルヘルム
「彼に伝えて下さい。暫くの間、KOS-MOSを彼にお貸しします。彼がどのように使おうと構いません。プロジェクト・ゾハル発動まで、まだ時間もありますし、それに、“万が一”の時はあれにはまだ使い道があります。技術支援はミルチアの二局戦技研にご相談下さい。
ヘルマー
「それで良いのですか?あれは最高機密なのでは?
ヴィルヘルム
「それは既に考慮済みです。私の立場としても、実践データは多ければ多い方が宜しいのです。
ヘルマー
「分かりました。ガイナン氏にお伝えしておきましょう。
ヴィルヘルム
「恐縮です。では。
ヘルマー
「ウ・ドゥか・・・・・・。

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13.協力者
 一方、ヘルマーから司令を受けたラピスは、苦肉の策を実行しようとしていた。

ラピス
「予備尋問を今から開始します。
「私は第2ミルチア自治政府議員ヘルマー代表から派遣されて来ました。彼も同じです。
「詳細は後々に。今は状況から説明します。現在、貴方達は連邦政府及び、軍方に監視されています。このままだと、残り数時間もしない内に、彼女【モモ】の身柄は政府内部の反ミルチア勢力に渡され、U-TIC機関に渡ります。第2ミルチア政府も一切の権利を剥奪されてしまいます。
「ヘルマー代表が、関係を通して親ミルチア議員に代わって活動していますが、少しの時間しか得られません。相手方の偽装工作が完璧すぎて、たとえ、証拠を出しても、効果は少ないでしょう。
シオン
「じゃあ、どうするの?
ラピス
「もしも・・・・・・公的な証拠が有ればいいのだけど。
シオン
「公的な証拠か・・・・・・ヴォークリンデのフライト記録は?
ラピス
「既に回収して調査したわ。けど、最後のゲートジャンプから時間が経ち過ぎていて、時間と記録映像が完全に一致されているわ。
Jr.
「U-TIC戦艦のデータベースも俺が壊しちまったし・・・・・・。
ケイオス
「デュランダルのデータベースは?U-TIC機関との戦闘記録があるし、証拠になるんじゃないかな。
ラピス
「それは一般的なデータベースよ。
シオン
「あ・・・・・・
ケイオス
「何か問題あるのかな?
ラピス
「ええ・・・・・一般のデータベースだと手を加えられるのよ。何の証拠にもならないわ・・・・・・所有者でも改造出来ない様な、3Aクラスのプロテクトのかかったシステムじゃないと・・・・・・
Jr.
「と、3A?そんなシステム、すぐに見つかるもんじゃないぞ。連邦政府のマザーフレームや、U.M.N.システムでないと無いぜ。
シオン
「有るわ!
ラピス
「え?
シオン
「有るのよ!
アレン
「KOS-MOSですね!
Jr.
「KOS-MOSって・・・・・・。
シオン
「KOS-MOSのデータベースなら、ヴォークリンデでのグノーシスとの戦闘記録もあるし、提出すれば証拠になるわ。
アレン
「あ、しかし、記録のデュプリを取るには本社と連邦政府の二つのキーが要りますよ。
シオン
「エンセフェロンを使って、記録を体験して、端末に読み込ませるのよ!
アレン
「そんな事出来るんですか!潜入設備が無ければ無理ですよ。
シオン
「調整槽の簡易モジュールを使えば出来るわ。
アレン
「冗談言わないで下さいよ。それに、これは第一条規約違反に・・・・・・
シオン
「けどね、他に方法は無いのよ!もう充分よ・・・・・・何が規則よ・・・・・・。
アレン
「しかし・・・・・・。
シオン
「肝心なのはKOS-MOSの所へどうやっていくかなのよね・・・・・・。
ラピス
「ロックされている扉は、これを使って開けて下さい。私達に手落ちがあった事にしましょう。形式上は、やはり、貴方【ジギー】に叩いて貰わないと。
ジギー
「俺で良いのか?
ラピス
「貴方じゃないと、説得力無いでしょ?
ジギー
「確かに・・・・・・。
ラピス
「手加減、宜しくね。
ジギー
「すまない。

Jr.
「クールな姉ちゃん、サンキュー!

シオン
「さて・・・・・・アレン君、バックアップをお願いね。
アレン
「りょ、了解・・・・・・インターコネクション(注釈:非局部連接)・・・・・・開始。
「頑張るんだ。
「何かあったら、支援します。安心してダイブして下さい。
シオン
「ありがとう・・・・・・始めるわ、KOS-MOS。

 システム発動後、シオン一人だけでKOS-MOSの記憶へ進入する筈だったが、周囲にいる者達も影響を受けた。

Jr.
「何だ・・・・・・。

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14.2人の過去
 KOS-MOSの記憶に入った後、目の前にミズラヒ研究所が姿を現した。雷の音がシオンを甲高く叫ばす。シオンの気持ちが鎮まった後、目の前の光景がシオンを非常に驚愕させた。それはシオンが最も向き合いたくない場面であった・・・・・・。

 幼い頃のシオンが、公園で父親を待っている。

幼い頃のシオン
「お父さん!

シオン
(お父さん・・・・・・?)

シオンの父
「シオン。家に帰るよ。
幼い頃のシオン
「お母さんの所へは?行かないの?
シオンの父
「今日は都合が悪いんだよ・・・・・・明日見舞いに行こうか。いいかな?
幼い頃のシオン
「うん。

シオン
「待って・・・・・・ダメよ!
ネピリム(注釈:聶比理姆)
「行ってはダメ!
「そう、あれはあなたとその父親が最期にいた一日。
「私はずっとあなた達を待っていた。
「あなた達とお話したかった。

 一方、Jr.等は動乱の発生した後のミルチアへ到着していた。そして、Jr.に酷似した隊伍が足取りを揃えて街道を通過した。彼等の眼差しの中から、Jr.は彼等が何を起こすかを見てとれた。

Jr.「
モモ「Jr.さん・・・・・・。
Jr.「絶対間違いねぇ・・・・・・U-レトロヴァイラス(注釈:巫毒逆転録病毒)・・・・・・
ジギー
「なるほど、どうやら、俺だけの幻覚ではない様だな。ここはどこだ?知っているのか?おい・・・・・・
Jr.
「何だよ!
モモ
(!!)
ジギー
「ここはどこなのかと聞いている。
Jr.
「ああ、知ってるぜ・・・・・・もしこれが幻覚でなく、そして俺の記憶違いでなければ、ここは・・・・・・ミルチアだ。14年前のな。
ジギー
「どこへ行く?
モモ
「Jr.さん、どうしたのかしら?
ジギー
「先程のあれを追うみたいだな・・・・・・恐らく、彼なりの理由があるのだろう。どのみち状況を先に掌握し、Jr.を一人にしない方が良い。

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15.素敵な思い出は半分だけ
シオン
「私達を待っていた・・・・・・?ケイオス君?アレン君?
アレン
「主任・・・・・・ここはどこですか?
シオン
「あなたは・・・・・・
ネピリム
「私がこの本来の容貌で現れた時に、私はネピリムと呼ばれた・・・・・・。

 一方、Jr.がJr.に酷似した隊伍を追った後、街道には殺し合いをする者達がいた。

Jr.
「糞!どいつも汚染されやがって・・・・・・。
ニグレド
「・・・・・・ルベド(注釈:魯貝特)!どこなの?ルベド!
Jr.
「ガイナン!?

 ガイナンが姿の変わったアルベドによって、痛撃を受けたあの一幕を思い出したJr.が、思わず叫ぶ。

Jr.
「ガイナン!!

モモ
「大丈夫ですか・・・・・・。
Jr.
「だ、大丈夫だ・・・・・・。
モモ
「Jr.さん・・・・・・
Jr.
「大丈夫だって言ってるだろ!!
モモ
(!!)
Jr.
「すまない・・・・・・知らず知らずに・・・・・・糞!何でこうなるんだ!ここは一体何何だ!?

シオン
「じゃあ・・・・・・ここはやっぱりミルチアなのね。
ネピリム
「そう。ずっと眠っていたあなたの潜在意識の中の記憶の世界を・・・・・・KOS-MOSが感応し、それを再現した。この世界はKOS-MOSの記憶なのよ。
シオン
「KOS-MOSの記憶?有り得るの?
ネピリム
「記憶は個人だけに属しているのでなく、一つの場所に存在する。違うかしら?
シオン
「けど・・・・・・原型のKOS-MOSは既に・・・・・・2年前のあの時、既に破壊されたわ・・・・・・。
ネピリム
「だけれど、あなたにとって一番大事な人も命を失った・・・・・・素敵な思い出は半分だけを占めているのね。残り半分も、あなたの意識を既に作り出している。
「あなたは・・・・・・いえ、あなた達は全てを受け入れようとしなかった。
シオン
「受け入れる・・・・・・思い出を・・・・・・。
ネピリム
「あなたはミルチアにもう一度来なければならない。
シオン
「教えて。どうして、私がミルチアへ戻るの?
ネピリム
「答えはKOS-MOSだけが知っている。彼女が中で待っているわ。
シオン
「KOS-MOSが・・・・・・中にいる・・・・・・。
アレン
「待って下さいよ、主任!

ネピリム
「これで本当にいいの?通って来た道はもうないわ。
ケイオス
「分かっている。けど・・・・・・彼女にはシオンが必要なんだ。
ネピリム
「あなたよりも重要なの?
「・・・・・・あなたには何か打算があるの?

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16.これは悪戯かよ・・・・・・
 Jr.達が下水道を通り抜け終わると・・・・・・。

Jr.
「まさか・・・・・・これは悪戯かよ・・・・・・。
ジギー
「どうした?
モモ
「あ・・・・・・。
Jr.
「U-TIC機関中央タワー・ラビュリントス(注釈:来布林塔斯)・・・・・・。

 14年前のヨアキム・ミズラヒがパンドラの箱を開けて、狂った事がJr.達の注意を引き付けた。

ヨアキム
「ハレルヤ!海の中の死人【しびと】がいでり!死によって作られた死人【しびと】が、あの世の中の人と共に出現するのならば、皆全てが、自らの行為によって審判を受けん!<注釈:OR『ハレルヤ!海はその中にある死人を出し、死も陰府【よみ】もその中にある死人を出【いだ】したれば、各自【おのおの】その行為【おこなひ】に随【したが】ひて審【さば】かれたり!』>

モモ
「この声は・・・・・・あれは・・・・・・あれはパパ・・・・・・パパ!
ジギー
「何?待て、モモ!どこへ行く?
モモ
「私を止めないで!パパ・・・・・・パパが呼んでる!
ジギー
「パパだと?おい、本当か?
Jr.
「間違い無い・・・・・・ヨアキム・ミズラヒだ・・・・・・。
ジギー
「あれがヨアキム・ミズラヒ・・・・・・。
ヨアキム
「名の記載されておらぬ者は、皆生き地獄の中に投げ捨てられたり。皆の者、この為に歌え!饗宴の時は既に来たれり!<注釈:OR『すべて生命【いのち】の書【ふみ】に記されぬ者は みな火の池に投げ入れられたり 歌え 諸人よ饗宴の時は来たれり』>

 魔に憑り付かれたヨアキムが突如全身を発火させ、直接下へと落下する。

モモ
「ダメ!

 モモが落下するヨアキムを助けようと近付くが、空を切ってしまう。

モモ
「パパ・・・・・・パパ!
ジギー
「この光景は・・・・・・ここは本当に14年前のミルチアなのか?

 Jr.達のいた仮想世界が突如崩壊し、シオン達の方へと進んでいく。

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17.合流
 シオン達が森林を通り越した時、Jr.達を発見する。

シオン
「あれは・・・・・・教会?・・・・・・Jr.君!?どうして、貴方達も?
Jr.
「分わかんねぇ・・・・・・ダイブした時に、視界が突然捻じ曲がって、気が付いたら、既にここにいたって奴だ。それから、色んな幻覚が出てきてな・・・・・・。
アレン
「どうやら、皆が一度に入って来たみたいだね。
シオン
「どうしてこんな事が?皆はコネクトしていないのに。
アレン
「KOS-MOSが発するパルスが、もしもダイブモジュールを経由して逆流していたら、これは有り得ない事ではないですよ。それに、うちが使っているのは非接触式です。
シオン
「そうであろうとも、簡易モジュールではそんな事は有り得ないわ。もしも、その他の力がないならね・・・・・・

 そこまで喋りだすと、ネピリムの事が頭に浮かび出すシオン。

ケイオス
「いずれにせよ、ここはKOS-MOSのメインフレームであり、彼女の内的世界(注釈:内在世界)だね。それに加えて、僕等が持つ記憶と共鳴した後に、作り出された世界だと僕は思うんだけど。
アレン
「けどね、ここに僕の記憶はなかったよ。
ケイオス
「いわゆる記憶とは、すなわち過去に起きた事件は、同一時間軸と空間軸の集合であり、そうした中で、最も強き記憶が優先されるんじゃないかな。もしも、本当にその通りだとすれば、、僕とアレンの記憶は反映されない事もおかしい事ではないんじゃないかな。<注釈:OR『記憶-、つまり過去に起きた出来事は、同一の時間軸、空間軸が共鳴することによってより強固で優先的、選別的なものになるんじゃないかな?そう考えれば、僕やアレンさんの記憶が反映されていなくても不思議じゃない』>
ジギー
「つまり、この世界は同一時間に体験した人によって、作られていると言う事だな。
Jr.
「俺等の体験した過去の世界か・・・・・・KOS-MOSが俺達に見させた・・・・・・。
モモ
「全部、幻なんですか?
シオン
「体験者からしてみれば、幻覚と現実は同じよ。これは全てが・・・・・・幻覚と言う訳ではないわ。
アレン
「主任・・・・・・。

 シオンはネピリムが言った事を思い出していた。

ネピリム
「貴女達は受け入れなければならない。

シオン
「・・・・・・成程ね・・・・・・。

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18.向き合えない過去
 教会へ進入した後、中にはある者がシオンを待っていた。

アレン
「人がいます!彼女の衣服・・・・・・レアリエンでしょうか?
モモ
「はい・・・・・・何だか、レアリエンみたいですね。けれど、何か違う気がします。
アレン
「これは又誰かの記憶の光景ですしょうか?主任・・・・・・主任?
ジギー
「お前はレアリエンか?
フェブロニア(注釈:菲羅女尼亞)
「はい。フェブロニアと言います。レアリエンの安息出来る場所を見つけたく、この教会に辿り着きました。<注釈:OR『はい。フェブロニアといいます。レアリエンの安らげる場所が欲しくて、この教会の手入れをしているんです』となっており、意味がずれている>
シオン
「フェブロニア・・・・・・。
Jr.
「知り合いか?

 シオンは凄惨な光景を思い出していた。その光景が、シオンに向き合う事をさせないでいた。

シオン
「私は・・・・・・貴女の事を知っている・・・・・・けど、私は思い出したくない・・・・・・だって・・・・・・だって・・・・・・。
フェブロニア
「シオン、私についてきなさい。
ネピリム
「貴女があの扉を開くと同時に、貴女達は自分と向き合わなければならない。それは苦痛であり、悲しみ嘆く事でもある・・・・・・けれど、私と貴女にとって、皆大切な事なの。

 扉を開けた後、暗くじめじめした道を歩むと、壁の上に地の後が見える。

アレン
「これが主任の心の中の世界・・・・・・。
シオン
「ここは・・・・・・。
ネピリム
「重篤神経症治療施設(注釈:重度精神病患治療施設)。ここには詳しいでしょう。
シオン
「母さんが入院していた・・・・・・部屋。
ネピリム
「そうよ・・・・・・。貴女の悲しい記憶がこの中にあるの・・・・・・。向き合える?

 部屋に入るとシオンが予想した通り・・・・・・数人が倒れており、父が床にいた・・・・・・そして、怪物の様な物が現れ、互いに喰らい合っていた。その頃、Jr.が見たのは、意外な事に狂いだしたアルベドであった。

Jr.
「アル・・・・・・ベド・・・・・・。
アルベド
「歌・・・・・・歌声・・・・・・僕を・・・・・・鏡・・・・・・僕の姿を照らし出せ・・・・・・定義付けろ・・・・・・僕は無限のテロメラーゼ!僕は反存在なんかじゃない・・・・・・僕は完全な連鎖だ・・・・・・ハハハ・・・・・・。<注釈:OR『歌―歌声が――僕を―ハハハ。 鏡よ――僕を映せ―― 僕を定義しろ――僕は無限のテロメラーゼだ――!僕は反存在なんかじゃない―!完全なる連鎖だ!ハハハ、ハハハハハ!』>

アレン
「主任!Jr.君!一体どうしたんだⅠ?主任!こ、これは何だ!!

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19.可能性事象
 ・・・・・・シオンが目を開いた時、彼女等は既に綺麗な草原の中にいた。草原の上には大樹が一本あり、フェブロニアが木の下に腰掛け、側には少女2人が、遊び戯れていた。

フェブロニア
「ごめんなさい、シオン。
「辛い事を思い出させて。
「でも・・・・・・。
シオン
「貴女が2人・・・・・・?
フェブロニア
「そこに座っているのは私ではないわ。あの娘達の為に創り出された幻、ただの幻覚に過ぎないわ。ここは私の妹であるセシリー(注釈:賽西麗)とキャス(注釈:佳斯)の為に創り出した世界。KOS-MOSのエンセフェロン構築の力を利用して、貴女達に見せている光景なの。
アレン
「でも、幸せそうな感じだな。
フェブロニア
「そう思えるのなら、これでも、そう思えるかしら・・・・・・。

 眼前の景色が瞬時に変わり・・・・・・晴天下であった草原は暗くじめじめした墓地へと変わった・・・・・・。

フェブロニア
「ここはあの娘達の牢獄。ゾハルを制御する為の。彼女達は人類が創り出したシステムに束縛されている。でも、彼女達からすれば、現実世界とはこれの事。彼女達を解放して欲しいの。私の妹を助けて。お願い。これは同時に、私達の未来の為に・・・・・
シオン
「レアリエンの未来・・・・・・。
ネピリム
「レアリエンだけじゃない・・・・・・人類・・・・・・万物・・・・・・所有意識の存続の為・・・・・・。私とフェブロニアは意識世界の中だけにしか存在できない。私達が真実の世界に干渉する時間はもう残されていない。だから、ここに貴女達を呼んだの。未来を変える為に。<注釈:OR『レアリエンだけではないわ―。人も物も、全ての意識が存続する為でもあるの―。私やフェブロニアが存在できるのは、こうした意識の世界の中だけ。実在の世界には僅かな時間しか干渉出来ないの。だからあなた達を呼んだ。未来を変える為に。』一部、意味合いが変化されている>
シオン
「変える・・・・・・未来を・・・・・・?
ネピリム
「見て・・・・・・。
シオン
「ミルチア・・・・・・あれは・・・・・・KOS-MOS!?

 翼を生やしたKOS-MOSがミルチアが放出した紅い光に対抗している。最期に、大爆発を引き起こす・・・・・・。

ネピリム
「あの波動は、ウ・ドゥと呼ばれる意識体・・・・・・。
Jr.
「ウ・ドゥって言ったか!?
ネピリム
「14年前、ウ・ドゥがこの宙域に現れた。次元転移の源でもある。貴女達が今見た光景は、未来のウ・ドゥとKOS-MOSが遭遇した情景であり、未来に起きる出来事でもあるの。ウ・ドゥは間も無く目覚める。追い求める人の意図により、“彼”は覚醒される。<注釈:OR『ウ・ドゥは十四年前、ミルチア宙域を巻き込んだ局所事象変移の源。今見た光景はそのウ・ドゥと本来あるべき姿となったKOS-MOSとが出会った時に起こる未来の映像【ビジョン】。ウ・ドゥはじき目醒める“彼” を目醒めさせようとする者達と“彼”を求める者の意識を糧として』>
Jr.
「奴が目覚めるってのか・・・・・・。
ネピリム
「今、見えた未来は、無限の可能性事象の中の一つ。でも、未来は決して、既に決められている訳じゃない。新しく発生した微弱な波動が、もしかしたら全宇宙に影響を齎すのかも知れない。事象は絶えず改変される。あたかも、千万変化する波の様に。<注釈:OR『今見た未来は無限にある可能性事象の内の一つ。でも、決定されている訳じゃない。新たに生じた僅かな波が全体に波紋を広げることもある。事象は刻々と変化する漂う波のようなものだから』>
シオン
「貴女が言う波動は、私達の事?
ネピリム
「その前に・・・・・・貴女に過去と向き合って欲しかった。でも・・・・・・まだだったようね・・・・・・ごめんなさい。
シオン
「どうして・・・・・・私達を探したの?
ネピリム
「貴女は・・・・・・グノーシスと接触した。けれど、今も貴女のままでいる。だから・・・・・・。
シオン
「だから?
ネピリム
「いずれ、話せる時が来るわ。全ての事件が始まったあの場所・・・・・・ミルチアにさえ辿り着けば・・・・・・可能になるわ・・・・・・。<注釈:OR『いずれ話せる時が来るわ。全ての始まりであったあの場所―ミルチアへ行けば―そうすれば―」』>
シオン
「待って!

 ネピリムの消失後、一つの扉が現れた。そして、突如として、KOS-MOSが縛られている場所へと到着する。

シオン
「KOS-MOS、ここは貴女の・・・・・・。
「貴女が神の様に・・・・・・。<注釈:OR『汝ら神の如くなりん』>

 シオンがパスワードを言い出すと、プロテクトが解除された。

KOS-MOS
「深層領域保護解除します。<注釈:OR『深層領域、プロテクトを解除します』>

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20.おはようKOS-MOS
シオン
「おはよう・・・・・・KOS-MOS。
KOS-MOS
「おはようございます、シオン。
ケイオス
「どうやら、皆戻った様だね。
アレン
「主任!良かった・・・・・・何も無くて・・・・・・。
シオン
「アレン君・・・・・・?

シオン
「これは対グノーシスヒト型掃討兵器KP-X、略称KOS-MOSのメモリーデータです。プロテクト等級AAA、改竄不可です。
ラピス
「暫くの間、お預かりします。嫌疑が晴れるまで、ミルチア太陽系圏から離れない様に。
メリィ
「いやー、幸いにも連邦反逆罪で日の目が見られなくなる所を助かったわ。
シェリィ
「見た所、余り嬉しくなさそうですね。
Jr.
「ああ・・・・・・ちょっとな・・・・・・正直言って、まだ信じられないんだけどな。
ラピス
「それと、もう一人重要な人もお返しするわ。
メリィとシェリィ
「ガイナン様!

Jr.
「おう。
ガイナン
「ご苦労だったな。
Jr.
「そうでもねぇさ。ただ・・・・・・厭な事を思い出しちまった。シオン、あの娘はネピリムと言ったよな?
シオン
「え・・・ええ。その通りよ。
Jr.
「そうか・・・・・・。
シオン
「どうしたの?
Jr.
「ああ、何でもない。もしもあの娘が俺の知っているものと関係があれば、、関係しているなら、忙しくなりそうだな。

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只看该作者 5楼 发表于: 2004-05-09
“ネピリムの歌声”
Index
1.どうすればいいの? 2.上演の番 3.パパ!
4.私の姉妹 5.弱き者、お前の名は女 6.ラインの乙女
7.人間を数字に置き換えちゃ、人生は終わりだぜ 8.これは私の問題でもあるの 9.ルベドとアルベド
10.激突 11.そうだろう、大将?

1.どうすればいいの?
 事件が一段落し、シオンはようやく昔の事を思い起こす。それは、曙光内にある墓にてケビンに向けて挨拶している出来事であった。

 ファウンデーションに戻った後のシオンは、憂鬱としていた。

アレン
「主任の涙、あれが二度目なんだ・・・・・・彼女は、どんなに辛くても何も言わないんだ。ようやく自分がはっきり認識出来たよ。僕は、彼女の目には、ただの部下でしかないって事を。もしも出来るのなら・・・・・・本当にある日、主任に代わって泣きたいよ。
ケイオス
「大丈夫。君にならきっと出来るよ。
アレン
「軽く言うんだね。僕と主任の事、完全に分かっていないってのに・・・・・・。ごめん・・・・・・これは本意じゃないんだ・・・・・・。
ケイオス
「知り合ってからそんなに長い訳じゃないけど、僕はアレンさんの事、好きですよ。
アレン
「優しいんだね。君は。
ケイオス
「優しさはある時には人を包み込む。それでも・・・・・・。

ヘルマー
「KOS-MOSの深層領域データが本日、既に検証されたよ。連邦艦隊も帰投準備に入っている。第2ミルチア政府、並びにクーカイ・ファウンデーションにかけられている嫌疑も、明日を持って正式にすすがれよう。よくやってくれた。
ガイナン
「これは全てそちらが手助けしてくれた賜物だ。礼を言う。ミズラヒの百式・・・・・・どうやら、相当重要らしいな。
ヘルマー
「その通り。奴等が大人しく事態の一変を待つとは思えん。気をつけたまえ。
ガイナン
「了解した。さて、奴等はどうでて来るかな。

シオン
「はぁ・・・・・・緊急事態とは言え、会社の最高機密を連邦政府に提出・・・・・・これじゃあ首にされるわね・・・・・・モモちゃん・・・・・・元気が無かったわ・・・・・・。

 そこまで考えると、シオンは先程のアレンの事を思い出していた。

アレン
「主任・・・・・・あの・・・・・・お茶飲みに行きませんか?シェリィさんが良いお店紹介してくれたんですよ・・・。
シオン
「ごめんなさい・・・・・・そんな気分じゃないの・・・・・・。

シオン
「他人の事を言う資格なんて無いわね・・・・・・。ネピリム・・・・・・フェブロニア・・・・・・彼女の妹・・・・・・彼女達を解放するって・・・・・・一体、どういう事?それとKOS-MOSとウ・ドゥ・・・・・・。
「自分の過去と向き合う・・・・・・私・・・・・・どうすればいいの?何にも分かんないよ・・・・・・。

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2.上演の番
 クーカイファンデーションを陥れる計画が失敗に終わった事を知ったマーグリスは、無理矢理に行く事を決心する。

マーグリス
「ネズミは網の中を走り去った・・・・・・準備を始めろ。
アルベド
「ハハハ・・・・・・この時がやっと来たか。あの歌を使っての上演の番が来たか・・・・・・ハハ・・・・・・ハハハ・・・・・・。

 アルベドがネピリムの歌声を発動させた後、ケイオス等の異能者が既に違和感を感じていた。

Jr.
「おい、これは・・・・・・。
ガイナン
「有り得ない・・・・・・ネピリムの歌声・・・・・・。

ケイオス
「駄目だ!
マシューズ
「ケイオス?
ケイオス
「あの歌は歌っちゃ駄目なんだ・・・・・・あの歌は・・・・・・。

紅いマントの男
「歌声ですね・・・・・・。
ヴィルヘルム
「始まったね・・・・・・。

 ネピリムの歌声は大量のグノーシスを招き、付近の連邦艦隊は真っ先に災難を被った。

百式オペレーター
「大質量体がゲートアウトしてきます!繰り返します。大質量体がゲートアウトしてきます!U.M.N.ジオデジック構造体(注釈:U.M.N.地線構造體)が強制置き換えされています!
Jr.
「グノーシスか!?
モモ
「Jr.さん、連邦の艦隊・・・・・・。
百式オペレーター
「グノーシス接近中!ファウンデーションまで残り240秒!
シェリィ
「住民は?住民の避難を優先させて!もしも必要なら、ファウンデーションを捨てます、良いですね?
Jr.
「任せる。全ての住民をデュランダルへ避難させろ!
シェリィ
「了解。避難命令を発布せよ。
シオン
「KOS-MOSは?全域ヒルベルトエフェクトを発動させれば、避難の時間稼ぎになるわ。
KOS-MOS
「シオン、呼びましたか?
シオン
「KOS-MOS、準備は出来た?
KOS-MOS
「はい。いつでも大丈夫です。
百式オペレーター1
「報告によると、コロニー第32地区にグノーシス出現!
百式オペレーター2
「第18、27地区にもグノーシス出現!
Jr.
「何だって!?
シオン
「KOS-MOS、早く!
KOS-MOS
「了解、ヒルベルトエフェクト発動します。
シオン
「これで、直接転移は防げる筈よ。
ケイオス
「どのみち、皆を避難させないと。でないと、グノーシスが内部に侵入し、都市がすぐに占領されてしまう!<注釈:OR『とにかく、みんなを早くこっちへ避難させなくちゃ。このままだと、内部に入り込んだグノーシスで、メトロポリスはあっという間に占拠されてしまう。』>
モモ
「私も皆の避難を助けたいです!
ジギー
「俺も行こう。

 シオンは終末世界の情景を思い出していた(KOS-MOSとウ・ドゥの衝突)・・・・・・しかし、現在の状況が出現し、シオンはKOS-MOSを信じる選択しか出来なかった。

シオン
「KOS-MOS、頼むわよ。
KOS-MOS
「お役に立てるのならば、光栄です。
シオン
「うん。

 同一時刻、アルベドは自ら召喚したグノーシスによって、包囲されるものの、少しも恐れる様子無く、グノーシスを全く相手にしない。

アルベド
「脆弱ぅぅぅぅぅ!!!!!
「脆弱よなぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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3.パパ!
 シオン達一行が、ファウンデーションからデュランダルへ戻ろうとする頃、モモはまだ負傷者の手当てをしていた。

シオン
「モモちゃん、早く来て!
モモ
「大丈夫です!この人達の出血が酷すぎて、応急処置をしないとだめです。
シオン
「分かったわ、後で迎えに行くからね!

モモ
「安心して。今ナノスプレー(注釈:毫微噴剤)で傷口を塞ぐから。

 シオン達がデュランダルへ戻った後、モモを待っても来ないので、ファウウンデーションへもう一度行くとやはり、モモがいない。

シオン
「あれ?おかしいな・・・・・・一体、どこへ行ったのかしら?

 もう一度デュランダルへ戻ると、アレンとばったり会う。

シオン
「アレン君!
ジギー
「モモを見なかったか?
アレン
「見ていませんけど。まだ戻っていないんですか?てっきり、君等と一緒かと。
ジギー
「負傷した市民を手当てする為、一人で残っていた。迎えに行ったが、いなくてな。彼女が一人で先に戻ったのだと思っていたのだが。
Jr.
「まったく。俺等に迷惑かけちまうなんてな・・・・・・まぁいい、百式達に走査させとくさ。彼女等は同型だし、感応するだろう。
ジギー
「頼む。コロニーの中のグノーシスは既に片付けたとは言え、いつでも侵入されるのかも知れないからな。

 さらわれたモモが目覚める

モモ
「ここはどこ・・・・・・?寒い・・・・・・一体何があったのかしら・・・・・・?

 デュランダルへ戻ろうと準備していた時の事をモモは思い起こす。そして、一人のヨアキムに似た人を見かけた事が、モモを追いかけさせる事となった。

モモ
「パパ!

 影を追い続けると、そこは行き止まりであり、それは訳も無く消えていた。程無く、背後から一人の奇妙な男が出現し、モモの意識はそこで失われた。

モモ
「駄目・・・・・・思い出せない・・・・・・この匂いは何かしら・・・・・・?不安にさせる・・・・・・一体どこから・・・・・・誰!?

 モモが数歩、歩くと、そこには百式が1体、床に倒れていた・・・・・・。

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4.私の姉妹
 連邦艦隊はきり無く発生するグノーシスに対し、浮付き、腹が立ち焦りを覚える程、戦っていた。

オペレーター
「グノーシス転移現象は拡大を続けています!
オペレーター
「左翼の展開が60秒遅れています!第2次A.G.W.S..の防衛ライン支え切れません。
艦長
「艦隊の陣形の回復をさせろ!おい!百式の観測結果はどうなっている?
オペレーター
「先程と同じです!グノーシスはクーカイ・ファウンデーションを中心としています。半径1600kmの範囲内で絶えず出現しています!
艦長
「やはり・・・・・・ヘルマーの奴め・・・・・・伝聞によるとミルチアの亡霊を継承したと聞いていたが、果たして本当であったか!全艦砲、目標をクーカイ・ファウンデーションに向けよ!元凶を叩く!

モモ
「No.0097・・・・・・私の姉妹・・・・・・間違い無い。ここはパパの・・・・・・私が初めて出会った姉妹。お話が出来ないなんて、思いもしなかった・・・・・・パパの事聞きたかったのに・・・・・・まだ生きている?大丈夫?誰が貴女をこんな状態にしたの?

 死にかけている百式に触れたモモは、彼女の記憶を見えた。

ヨアキム
「もうすぐ・・・・・・お前はこの世界に誕生する・・・・・・そうしたら、良い事を沢山しよう・・・・・・そうすれば・・・・・・お前は人間になれる・・・・・・私の愛しいサクラ(注釈:小櫻)になれるのだよ・・・・・・。

モモ
「パパ・・・・・・。

 アルベドが記憶の中に突如出現し、手刀を持って、百式の首を殴る・・・・・・。

アルベド
「ハハハハハハ!!!

モモ
「さっきのは貴女の記憶なのね・・・・・・ありがとう。パパを見せてくれて・・・・・・彼はここにいるのね・・・・・・。

 シオン等には連邦艦隊がファウンデーションに殺気に満ちて、向きを変えた事について、訳が分からなかった。

百式オペレーター
「連邦艦隊が再び本艦を包囲しています!
シオン
「もう、皆こんな時に。何を考えているのかしら!?
シェリィ
「理由が分かりました。グノーシスの動きを見てください。
「グノーシスは本コロニーを中心に出現しています。
ガイナン
「隔離格納庫のゾハルはどうしている?
メリィ
「眠っております。アトラクト・インヒビター出力正常。
ガイナン
「もし、デュランダルのゾハルがグノーシスを呼び寄せていないとすれば・・・・・・。
Jr.
(ガイナン・・・・・・俺達がさっきからずっと聞いているあれなんじゃないのか・・・・・・
ガイナン
(うむ、微弱ではあるが、恐らくな。しかし、他の者には聞こえていないな・・・・・・。
シオン
「ねぇ、何か聞こえない?何か歌みたいだけど・・・・・・。
アレン
「歌ですか?何も聞こえませんよ?幻覚じゃないですか?
シオン
「そうかしら・・・・・・確かに聞こえるんだけど・・・・・・。
Jr.
(シオンには聞こえるのか?
ガイナン
(しかし、この不安な感じは一体なんだ?さっきから、ずっと頭の中に在り続けるイメージは一体・・・・・・<注釈:OR『しかし、この不安感は何だ?先ほどからずっと脳裏を離れないこのイメージは―?』>
Jr.
(まるで俺等を引っ張る冥い感覚だぜ・・・・・・<注釈:OR『お前もか?俺もだ。暗闇にひきずり込まれるようなこの感覚―!?』>
Jr.・ガイナン
(有り得ない・・・・・・!!

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5.弱き者、お前の名は女
 勇気を奮い起こし、モモを不安にさせる雰囲気の場所を探索する。

モモ
「やはり、幻覚なんかじゃない、これは・・・・・・。

 モモが何かを蹴ったらしく、頭を下げると、それは全て地に満ちた百式の屍であった!

アルベド
「それらの泪【なみだ】・・・・・・<注釈:OR『その涙―。』>

「誠に姚【うつく】しいな・・・・・・死者を悼み悲しむその泪【なみだ】・・・・・・この世で最も貴重なりし液体。さて、お前にこの資格はあるのか?死者を悼み悲しむのは人類固有の習性だろう・・・・・・<注釈:OR『美しいな―。この世で最も貴い液体だ。とは言え、おまえにその資格があるのか?死者を弔うのはヒトに固有の習性だろう。』>
モモ
「貴方がやったからでしょ!<注釈:OR『貴方が―やったんですね。』>
アルベド
「俺の百式観測器【キルシュヴァッサー】、しかし・・・・・・これは屍と呼ぶべきなのかな。<注釈:OR『俺の可愛い百式観測器【キルシュヴァッサー】。だが―これは、死体と呼べるのか?』>

 モモに理性を失わせる為、アルベドは故意にモモの目の前で、百式観測器【キルシュヴァッサー】の腕を捻じ曲げる。

アルベド
「弱き者、お前の名は女。否、違うな。お前等は女性の経歴すらないのだからな。人類は死を恐れる。死に満ちた海原から逃げ出し、この世界を創り出した。文化、文明・・・・・・<注釈:OR『“脆き者、汝の名は女”―いや、違うな。おまえ達は、そもそも女の胎【はら】を経てさえいないのだ。人は 己の脆さに怯え、下界という死の臭いで満ちた海原から逃走してこの世界を築いた。文化 文明―』>

「全ては弱き人類が創り出した物だ。しかし、幻想の中の世界に過ぎぬ。貞操帯を用いて女を束縛する、修道女に対しての妄想等等、即【すなわ】ちその中に生み出されたゴミだ。お前は肉体に依存しない。肉体を持たないが、魂は継続して存在する。無邪気なる意識純粋なる波紋・・・・・・これは火と息と靈の混合物、お前等は世俗には天使と呼ばれる。新たな純粋意識が必要とするもの、それは『現実』、これこそが俺が求めるものなのさ!!!!!!!!!!!!!!!<注釈:OR『全ては脆い“ヒト”の生み出した生ぬるい幻想の世界だ。貞操帯に縛られた修道女の妄念に等しい屑なのさ。その中にあって おまえは肉に依存せぬ身軽な魂であり続ける。汚れ無き思念―不純物無き波動の螺旋―それは火と息と霊の混合物―おまえ達を天使と呼ばずして何と呼ぼう。新たにして純粋な意識。必要なものは“現実【ル・レェル】”だ。そしてそれこそが 俺が求めてやまないものなのさ。』>

 アルベドが自らの腕を切り落とし、モモを驚かせる。しかし、アルベドはいつでも、新しい腕をはやす事ができる・・・・・・続いて、自らの頭を切り落とす。床にはしきりに笑い叫ぶアルベドが、モモをの顔色を失わせる程に怯えさせる。

アルベド
「ああ、そんなに震えないでおくれ、可愛い桃。俺を罪人にしないでおくれよ、俺を気にしないでおくれ。<注釈:OR『ああ、そう震えないでくれ、可愛い桃【ペシェ】。俺を罪人【ペシェ】のような気分にさせないでくれよな。』>

「あん?今、お前の心に一人の男を映し出したな?その赤毛のガキは誰だ?赤毛?ルベド!ルベドだ!これは良い!ハハハハ・・・・・・。<注釈:OR『んん?今、心に男の影を映したな?誰だ、その赤毛は?赤毛― ルベド―。ルベドか―これはいい。ハ、ハハハ!』>

 アルベドが自らの頭を踏み潰した後、新しい頭が生える。

アルベド
「あいつは、血を吐きながら抜かしていたよ。“地上に落ちた麦が死なずとも、結局は一粒の麦に過ぎない”麦・・・・・・捨てるからこそ、新しく生まれる。この頭のようにな。ハハハ・・・・・・<注釈:OR『あいつは血反吐を吐きながら言ったよ “地に落ちて死なぬ麦は一粒のままである”だとさ。麦か―。麦など掃いて捨てるほど生えてくる。この首同様にな!ヒャハハハ!!』>

「お前はどうだ?可愛い桃・・・・・・ハハハ・・・・・・。<注釈:OR『お前はどうかな 愛しい桃【ペシェ】』>

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6.ラインの乙女
 連邦艦隊の艦長が攻撃を加えようとしたその時、

オペレーター
「艦長!艦隊司令部は攻撃命令を却下しています!<注釈:OR『艦長!艦隊司令部から、攻撃命令は受けていません!』意味がずれているので、誤訳と思っても良いかも>
艦長
「構うな!奴等の反逆の事実は誰の目にもわかるほど明らかだ!ここで、けりを着ける!目標、クーカイ・ファウンデーション!全艦攻撃・・・・・・

 艦長が司令を下達【かたつ】しようとしたその時、強力な波動が一つ、グノーシス郡を総崩れに追い込む。

Jr.
「あの光は何だ!?

艦長
「おかしいぞ!?あれがここに現れる筈がない・・・・・・

シオン
「しょ、曙光・・・・・・

ヴォーグリンデⅡオペレーター
「ヴォーグリンデⅡ、ヴェルグンデ(注釈:微昆徳)、フロースヒルデ(注釈:沸洛希徳)共に、異常無し、ラインの乙女(注釈:來茵少女)、状態良好です。第2射まで30秒。
ヴェルグンデオペレーター
「ヴェルグンデ座標修正完了。
フロースヒルデオペレーター
「フロースヒルデ完了。
ヴォーグリンデⅡオペレーター
「第2射準備完了、各鑑定位置に到達。

 ヴェクターの秘密兵器から、致命的な一撃が再び発射される。付近のグノーシスは皆一掃される。

シオン
「ラインの乙女・・・・・・既に完成していたのね・・・・・・。

ミユキ
「先輩~!

シオン
「ミユキ?貴女、どこから・・・・・・

ミユキ
「へへ~どうでした?凄いでしょう?ラインの乙女見ましたよねぇ。第2局に移れて、良かったですよ!そうでなければ、この目で見られるチャンスなんて、全然ないですよ。

シオン
「第2局?貴女、本当に・・・・・・

ミユキ
「話があるのなら、後で。KOS-MOSはそこにいますよね?

シオン
「うん、その通り、ここにいるけど・・・・・・

ミユキ
「今、送りますね。

シオン
「ミユキ、これは・・・・・・

ミユキ
「この宙域の中心部に、力場を形成している類の物があるんです。グノーシスはそれによって、召喚されているかも知れません。

シオン
「力場?

ミユキ
「観測室が言うには、明らかに人為的に作られた物だそうです。だから、KOS-MOSのD.S.S.S.センサー(注釈:D.S.S.S.感応器)と曙光のメインフレーム(注釈:主系統)をリンクし、力場を造り出している位置を探し出すんです。開いては恐らくは、潜宙艦のシステムに類似した方法で、この宙域に潜んで、空間を歪曲している筈です。それを拡大する事で、何がそこに潜んでいるかが分かる筈です。

シオン
「だから、PTカートリッジ(注釈:相位転移匣)を送って来たのね。でも、貴女、これが何をする物か分かっているの?

ミユキ
「当然!・・・・・・って言いたいんですけど、私も移ったばかりで、余り分からないです。

シオン
「もう!これは空間に局所相転移(注釈:相位的転移)を引き起こす物で、周りにある物一切を破壊する物質兵器なの!範囲は局所に限られているとは言っても、破壊力は唯事じゃないのよ。気をつけないと、恒星すら消滅するわ!こんな混んでいる所で使うなんて、無茶だわ。
KOS-MOS
「シオン。
シオン
「何、KOS-MOS?
KOS-MOS
「もしも、転移させる質量を確定出来れば、連邦艦隊とクーカイ・ファウンデーションが全く影響を受けずにする事が、可能です。<注釈:OR『相転移させる質量を限定すれば、連邦艦隊にも、クーカイ・ファウンデーションにも影響を及ぼすことなく、実行することが可能です。』>
シオン
「出来るの?
KOS-MOS
「やらせて下さい。私はこの為に造られたのですから。

ミユキ
「たとえ、ラインの乙女でも、斉射能力には一定の限界があります。次のグノーシスが来る前に、何とか大元を!

シオン
「けど・・・・・・。
Jr.
「シオン、これは間違い無く、ネピリムの歌声だ。
シオン
「ネピリムの歌声?それは何?
Jr.
「ヨアキム・ミズラヒ生涯最悪の研究成果さ。ミルチアはそれで、滅亡し、グノーシスを引き寄せた・・・・・・全てが狂い出す前に、試すしかない!
シオン
「全てが狂う・・・・・・?
Jr.
「モモもまだ見つからないんだ、早く!
シオン
「でも・・・・・・。
ジギー
「モモは見つかったのか?
百式オペレーター
「まだ捜索していますが、見つかりません。
ジギー
「そうか・・・・・・シオン、決めてくれ。もし、次のグノーシスがもう一度侵入したら、もう守り切れないだろう。
シオン
「分かったわ。やって見ましょう。
「いい、KOS-MOS。相転移質量は出来るだけ低くして、力場の発生源だけを探し出して。

KOS-MOS
「了解。相転移質量0.11MPT、転移時間を4.8,10のマイナス38乗にセットします。カートリッジ装填します。

ミユキ
「D.S.S.S.センサーとメインフレームバイパス確保、全方向捜索開始!

 厳密な捜索の下、KOS-MOSは空間歪曲の地点を見つけ出す。

KOS-MOS
「包囲8010のU.M.N.構造体に歪曲現象を発見。微弱ですが、コラムパルスが発せられています。

シオン
「それよ!射軸線はどうなっているの?

KOS-MOS
「射軸線クリア、射撃命令をどうぞ。

シオン
「シェリィさん、全艦の対電磁波防御をお願いします。
シェリィ
「準備完了。いつでも、可能です。
シオン
「了解。KOS-MOS、相転移砲発射!!

 KOS-MOSが目標に的確に命中させると、隠れていたネピリムの歌声が、即座に姿を現した・・・・・・。

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7.人間を数字に置き換えちゃ、人生は終わりだぜ
アルベド
「思っていたよりも早いな・・・・・・
「お前の体内に眠る鍵・・・・・・ゆっくりと探すとするか。

モモ
「!!・・・・・・やめて・・・・・・私の中に侵入【はい】って来ないで・・・・・・嫌・・・・・・

「Jr.さん・・・・・・ジギー・・・・・・怖いよ・・・・・・

ガイナン
「やはりか・・・・・・。
Jr.
「あの時のまま変わっていねぇ。
シオン
「あれがネピリムの歌声・・・・・・ミズラヒ博士の・・・・・・ミルチアの・・・・・・。

 この時、Jr.もモモの助けを求める声を感じ取った。

Jr.
「モモ・・・・・・モモは中にいる!
ジギー
「本当か!
メリィ
「捜索班!
百式オペレーター
「百式プロトタイプモモの位置を特定。空間転移により出現した歪曲空間の中です・・・・・・
アレン
「モモちゃんが?どうしてあんな所に?
Jr.
「糞ったれ!アルベド・・・・・・あいつか・・・・・・モモの声が聞こえたと同時に、奴の感触も掴んじまった。
ガイナン
「アルベドだったか・・・・・・どうやら、我々を不安にさせていた原因も確定したよ。彼女が何故、そこにいるのかと言う問題の解答もな。
ジギー
「それはどういう事だ?
ガイナン
「あの娘は・・・・・・モモはヨアキム・ミズラヒの遺物であり、とりわけ重要なる記録を持っている、特殊なレアリエンだ。ずっと以前から、アルベドとU-TIC機関も皆それを求めていた。
アレン
「アルベドは誰です?
Jr.
「俺に捨てられた・・・・・・俺の闇黒面だ・・・・・・。<注釈:OR『俺が切り捨てた、俺自身の暗部さ―。』>
アレン
「闇黒面?<注釈:OR『暗部?』>
ジギー
「Jr.、この戦艦をネピリムの歌声に近付けてくれないか。
アレン
「え!?
ジギー
「近すぎなくても良いから、小型艇を借りられればそれで良い。
Jr.
「待て。俺が言わなくたって何がしたいか分かる筈だろうが、何が何でも俺が行く!<注釈:OR『待ちな!あんたに言われなくても判ってんだよ。モモは俺が助け出す。何があってもな!』意味が変わっている>
ジギー
「騒ぐな。<注釈:OR『やめておけ』>
Jr.
「何だと!?
ジギー
「身近にいる人が危機に陥る時、人は理性を失う。即ち、その結果は悲劇を創り出す事となる。こうした人を・・・・・・俺は見過ぎて来た。<注釈:OR『近しい者が危機に瀕すると、人は理性を手放す。総じて結末は悲惨なものだ。俺は―そんな連中を沢山見てきた。』ちょっと意味がずれている>
Jr.
「俺がそいつと一緒だって思ってんのか!?
ジギー
「違うか?アルベドと戦うのに・・・・・・お前が奴と対峙した時、冷静を保っていられるのか?<注釈:OR『違うのか?そのアルベドという相手―。そいつと対峙した時、お前は平気でいられるのか?』>
Jr.
「・・・・・・
ジギー
「もし、お前が決断力があり、テキパキとやれるのだと言うのなら、良いだろう。それなら、俺は何も言わない。だが、そうでないと言うのならば・・・・・・。<注釈:OR『そうだと言い切れるのならば、俺は何も言わん。だが、そうでないのなら―」』>
Jr.
「そうかよ、俺はお前みたいに凄くないからよ。尽きぬ数を当たった訳じゃないからな。教えてくれよ。どうやれば、お前みたいに冷酷でいられるんだ?<注釈:OR『そうかい、大したもんだな。くぐってきた修羅場の数が違うってか。教えてくれよ。そこまでドライに徹しきるコツをよ』>
ジギー
「脳裏にあるのは数字と戦略だけだ。お前にとって重大な意義を持つ人であろうと、その顔や声を思わない事だ。たとえ、冷酷だとしても、激しいノイズはお前を滅ぼす。これが、俺がこの100年間で学んだ事だ。<注釈:OR『頭の中を数字と戦略だけにしろ。大切な者達の顔も、声も、思い浮かべるな。たとえ非情だと思ってもだ。激しすぎるノイズは全てを滅ぼす。それが、俺がこの百年の間に学んだことだ』>
Jr.
「人間を数字に置き換えちゃ、人生は終わりだぜ、サイボーグ。<注釈:OR『人間を数字に置き換えるようになったらおしまいだぜ、サイボーグ』>
ジギー
「Jr.、相手がモモに何をしようと、先にお前自身を保て。そうすれば、彼女を助ける事が出来る。お前が年上の忠告を聞いてくれる事を希望するよ。<注釈:OR『Jr.。相手がモモをどうしようと、お前はお前自身を保て。そうすれば彼女を助けられる。年寄りの助言だ。聞いておいたほうが良い。』>

 グノーシスの再度の侵入に備える為、離れる事の出来ないデュランダル。シオン等一行はエルザでネピリムの歌声に侵入するしか無かった。

ハマー
「船長、側面に接舷出来そうなブロック発見!
マシューズ
「よし、近付け!トニー、気を付けろよ。
トニー
「イェッサー、今から側面に接触します。
シオン
「待って!
トニー
「?
シオン
「トニーさん、頂上部へ行って・・・・・・。
トニー
「何だって?上に行こうっての?
シオン
「お願い。一週回ってくれるだけで良いの。
トニー
「・・・・・・分かったよ。一回だけだぞ。何があっても知らねぇぞ。
シオン
「ありがとう。

シオン
(間違い無い・・・・・・ここはあの病院の窓から見えていたあの場所だわ・・・・・・。

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8.これは私の問題でもあるの
 内部進入後、桃が床に倒れているのを発見する。

Jr.
「モモ!モモ!モモ!大丈夫か・・・・・・。
モモ
(・・・・・・
Jr.
「まさか、既に奴によって・・・・・・糞ったれ!
シオン
「Jr.君!モモちゃんは一体どうなったの?
Jr.
「アルベドの野郎、精神リンクのリバース(注釈:反精神連結)なんて事をやりやがった。
ジギー
「精神リンクのリバース?
Jr.
「俺とガイナンの念話(注釈:念力会話)の逆さ。相手の意識を無理矢理、引っ張り込めるんだ。潜在意識に進入した後は、必要な記憶を取り出せるって事だ。<注釈:OR『俺とガイナンのやる念話の逆パターンさ。相手の意識を、無理矢理自分側に引っ張り込むことによって、深層意識の奥にまで侵入し、必要な記憶を引きずり出すことが出来る。』>
シオン
「そんな!それじゃあ、モモちゃんの意識は・・・・・・。
Jr.
「ああ・・・・・・。皆やっぱ早く戻ってくれ。そしたら、俺だけにやらせりゃ良い。<注釈:OR『こっから先は俺だけでいい。』>
ケイオス
「待って。一人で行くなんて、無茶だ!
Jr.
「すまない。これは・・・・・・“俺達”の間の問題なんだ・・・・・・だから・・・・・・
ケイオス
「だけど・・・・・・
Jr.
「モモ?お前も一緒に来るのか?
シオン
「私も行くわ!
Jr.
「シオン・・・・・・
シオン
「さっき言ったよね。ミルチアの滅亡、グノーシスの出現、皆歌声にあるって。もしもここが私の知っている“あの場所”と関係があるのなら・・・・・・・それは、私の問題でもあるの。<注釈:OR『さっき言ったよね。ミルチアが滅んだのも、グノーシスが出現したのも、この歌声が原因だって―。もしここが私が知っている“あの場所”と関係あるのならそれは―私の問題でもあるのよ―。』>

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9.ルベドとアルベド
Jr.
「アルベド!てめぇ・・・・・・
アルベド
「まだ生きていたのかと言いたいのか?適当な事は言わないでおくれよな。そうしたつまらん話は俺等には全く意義が無い事だ。それに、この娘も既に知っただろうな?お前と俺が同類の怪物だって事をな。
Jr.
「モモ!

 側にいたモモが、突然Jr.の首をぎゅっと締める。そう、そのモモは偽者であった・・・・・・

アルベド
「ハハハハ・・・・・・

キルシュヴァッサー
「貴方の心は私を欲しがっている・・・・・・<注釈:OR『あなたの中の私をちょうだい―。』意味が全く違っている>
Jr.
「モ・・・・・・モ・・・・・・?
シオン
「モモちゃん?
ジギー
「ち、違う!あれは・・・・・・・


アルベド
「肉に依存せぬ霊魂・・・・・・堪らなく不様だなぁ。いつでも、情緒は変わる・・・・・・ただあるのは現実への憧れのみ。<注釈:OR『肉に依存せぬ身軽な魂―。汚れなき思念に定型などない。あるのは、現実【ル・レェル】への憧憬。』>

Jr.
「やめろ!!

 Jr.は耐え切れず、自らの超能力を用い、キルシュヴァッサーを退ける。

アルベド
「見たか?ペシェ(注釈:貝茜)・・・・・・これがあいつの本性だ。これがただ一心に命を掴み取ろうとする姿だ。哀れだろう。品が無いなぁ、ルベド。<注釈:OR『見たか?ペシェ―。これがこいつの本性だ。生へとしがみつく意識が体現する哀れな姿だ。みぐるしいよなぁ―ルベド。』>

モモ
「Jr.さん・・・・・・
Jr.
「アルベド!これ以上モモにそんな真似したら、俺が・・・・・・<注釈:OR『アルベド!モモにこれ以上何かしてみろ!でねぇと―!』>

アルベド
「はぁ?お前が言ってるのはこんな事か?こうか?<注釈:OR『ん―?何かするとは―こういうことか?』>

Jr.
「野郎ぅぅぅ!!

 Jr.の銃がアルベドに命中するが、驚異的な回復力を持つアルベドはそれを全く気にしない。

アルベド
「ヘヘヘ・・・・・・何とも心地よい痛みだなぁ。苦痛は自己存在の確認に欠かす事の出来ない知覚だからなぁ・・・・・・<注釈:OR『なんとも素敵な痛みじゃないか―。己の存在を知覚するには痛みは不可欠だからなぁ―。』>

「ルベド、早く思い出せよ。俺に対して、どうすればいいんだ?それとも、良い日々を過ごし過ぎて、とっくのとうに忘れたってのかぁ?<注釈:OR『よく思い出せよルベド。俺に対して何をすればいいのか。それとも、安穏と時を過ごしたせいで忘れたのか?』>

Jr.
「てめぇとは、ここで話す気すらねぇんだよ!モモを返せ!<注釈:OR『てめぇのゴタクはどーでもいいんだよ。モモを返せ!!』>

アルベド
「まったく、困るなぁ。まだ彼女から取らなくちゃいけないんだぜ。今の内に早く思い出せよな。お前が一体どんな者なのかを・・・・・・。<注釈:OR『いやだね。こいつの一部を受け取り、進ませてもらう。そして、思い出させてやろう。おまえが何者なのかをなぁ―。』>

Jr.
「うるさい!軽軽しくもウ・ドゥに汚染され、暴走した奴にここで話をする資格なんざねぇんだよ!<注釈:OR『うるせぇ―。ウ・ドゥに易々と汚染されて暴走した奴に言えたセリフか!』>
シオン
「Jr.君・・・・・・

アルベド
「汚染・・・・・・違うだろう?これは進化だ。あの時から、俺は俺が持つ力の一方を知った。この体に流動する力が、俺とお前のこんな中途半端なのゴミとは全く異なる物にした。俺こそが完全なる意識の大きな流れだ。<注釈:OR『汚染?違うな。進化だよ。あの時、俺は自らの力の一端を知った。俺の中に流れ込んできた波動は今や俺自身!おまえ達のような半端な反存在とは違う!俺こそ完全なる意識の奔流なのだ!』>

Jr.
「や、やめろ!

アルベド
「ハハハ、いいぞぉ・・・・・・お前もきっと試したいんだろ?<注釈:OR『いい感触だ―。お前も試したいんじゃないのか?』>

Jr.
「モモ!

 Jr.が再び発砲するが、アルベドに再生力を見させるチャンスを与えただけであった。

ジギー
「そんな馬鹿な!あれはナノマシンによるものなのか?
シオン
「違うわ。ナノマシンでもあんな早い再生力は無いの。それに、実験室でさえ、頭部を再生させられないわ・・・・・・・。
ケイオス
「彼もU.R.T.V.、Jr.と同じだ・・・・・・。
シオン
「え!?
ケイオス
「彼はウ・ドゥ消滅の為に存在している・・・・・・。
シオン
「ウ・ドゥ・・・・・・。

アルベド
「ルベド・・・・・・やはり、思い出せないってのか?いいや、違うな。恐怖。怖いんだろう!?<注釈:OR『』ルベド―。まだ思い出せないのか?いや、違うな―。恐怖―そうか怖いんだな?そうだろう?>

「当然だろう。お前からすれば、お前が一切を代表してるんだからなぁ。この娘もこんな冷酷なお前を心配しているんだからな。彼女が可哀想だなぁ。<注釈:OR『当然か。お前にとっては、お前自身が全てだものなぁ。ルベド。そんな酷薄なお前に縋るしかなかったこの娘も哀れだよなぁ?』>

「あと一層・・・・・・この深層領域を越えれば、一切が、俺の体に流れ込む。これがどう言う意味かお前には分かる筈だ。ルベド、お前がいつまで持つのかを見たいなぁ。<注釈:OR『あと一層。この深層領域を越えればこの娘の全てが俺の内【なか】に流れ込んでくる。それが何を意味するのか、判ってるだろう、ルベド。さあ、どこまで耐えられるかな』?>

Jr.
「やめろ!!

 Jr.が念力を発動した時、アルベドがモモ最後の一線をこし、モモの中のY資料を発見した。

ヨアキム
「私はもう駄目だ。そして、出来事が起き、誰もが止める事は出来ない。私に出来るのは、出来るだけ時間を引き伸ばす事だけだ。だから、一切を全て彼女に託した・・・・・・いずれ、お前は彼女と会う。この一切が全てあの時の為に・・・・・・。<注釈:OR『私はここまでだ―。これから起こることは誰にも止められない。私には、その時を延ばすことしか出来ない。だからせめてお前に託そう―。時は交差する。いずれお前は彼女達と出逢う。その時の為に―。)
』>

アルベド
「あれがヨアキム・ミズラヒか。お前が託したペシェの一切を見せて貰うぞ・・・・・・。<注釈:OR『あれが―。ヨアキム・ミズラヒか―。見せてもらうぞ。貴様がペシェに託した全てを―。』>

Jr.
「モモ!大丈夫か・・・・・・。

 Y資料を見たアルベドは直ちにKOS-MOSとシオン、並びにY資料の関係を理解する。

アルベド
「ヘヘ・・・・・・ヘヘヘ・・・・・・成程、そういう事か、そういう事だったか!

「だが、今は・・・・・・ルベド、俺等で楽しくやっていこうぜ!来いよ、今から、俺達に属する時間を始めようぜ。<注釈:OR『だが今は―ルベド、お前との一時を楽しむとしよう。さあ、こいよ―。俺達の時間はこれからだぜ。』>

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10.激突
アルベド
「良いぞ、ルベド。以前のお前に近付いて来たぞ。だが、まだ足りないな!あの時のお前は、今程こんなんじゃあなかったぞ!<注釈:OR『いいぞ、ルベド。だいぶ以前のお前に近づいてきたじゃないか。だが、まだ足りないな。あの時のお前はこんなもんじゃなかったろう?えぇ? 』>

Jr.
「ア、アルベド・・・・・・・増長すんじゃ・・・・・・

 挑発に乗ったJr.は理性を失い、全力を出す。これは、アルベドの意思と合っていた。Jr.が理性を失い、全力を出した時、2人はじきにまた一つとなる。<注釈:これは、翻訳した人の解釈に過ぎない>

ガイナン
「Jr.!
メリィ
「ちび様!いけない!

アルベド
「どうした、ルベド?お前の力はこれだけか?お前の力を見させてくれよな!<注釈:OR『どうしたルベド?お前という存在はその程度だったのか?見せてくれよ、お前の全てを!』>

ケイオス
「Jr.、駄目だ!彼の挑発に乗っちゃ駄目だ!でないと、君は・・・・・・・
モモ
「Jr.さん・・・・・・?
キルシュヴァッサー
「パパは・・・・・・貴女しか目に入らなかった・・・・・・・だから、私達・・・・・・・いっつも・・・・・・貴女になりたかった・・・・・・。
モモ
「そんな事は無いよ・・・・・・私達は同じでしょ・・・・・・

アルベド
「来いよ、ルベド。もう少しだぞ!お前の願望がじきに実現する!来いよ!来い!来い!来いよなぁ!

ケイオス
「Jr.!!

 モモが突然、力を放出し、2人(Jr.とアルベド)を引き離す。

Jr.
「モモ・・・・・・?
モモ
「貴方は私から、多くのものを奪い取った。けど・・・・・・貴方の一部も私に流れた。だから・・・・・・

アルベド
「だから、どうした?ハハハ・・・・・・こんな事が出来るとはなぁ。

モモ
「どうして、彼女達をいじめるの?私の姉妹達は、貴方の心の何かを好きだった。たとえ、どんな悲惨ななれの果てになっても、彼女達はやはり、貴方を信じていた。彼女達の意思を踏みにじらないで!

アルベド
「ハハハ・・・・・・踏みにじる?お前の足元を見ろ!彼女達の死を利用し、誕生したのは誰だ?すなわちお前だ、ペシェ。全てはヨアキム、あのお前が敬愛するパパが希望した結果だ。

モモ
「パパが・・・・・・

アルベド
「その通りさ。だろう?ルベド?

Jr.
「く、糞ったれ・・・・・・もう一度言って見ろ!俺は絶対・・・・・・

シオン
「許せない!彼女達は貴方の玩具じゃないのよ!彼女達には皆、意思と命が有るのよ!

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11.そうだろう、大将?
バージル
「嘘八百は、聞いたら吐きたくなるぜ?

シオン
「え?
アルベド
「ほう、新入りか。

 突然、全身をマントに包み込んだ人間が直接現れた。

バージル
「遊ぶ暇があるなら、お前がすべき事をしに行け!今のお前の目標はあいつ等ではない筈だろ?
アルベド
「ふん!あいつに言っておけ、あれは俺のものだと。

 アルベドを追おうとするJr.を遮るバージル。

バージル
「待ちな!

「どこへ行こうってんだ?おい、暫くはあいつを放っといてくれないか?今の間、俺がお前等の相手をしてやるぜ。

 戦場を離れるアルベドが、Y資料を解析していた時の事、そしてプロテクト措置に遭遇した時の事を思い返す。

アルベド
「これがY資料か・・・・・・。

KOS-MOS
「私は貴方の為に存在するのではありません。

アルベド
「つまらないプロテクトだな。こんなもの・・・・・・

 思いもしなかった事は、Y資料のプロテクトの中にシオンが現れた事である。

アルベド
「何・・・・・・お前か・・・・・・!

「フン!こんな多くの仕掛けを作るとはな。だが・・・・・・フフフ・・・・・・これは面白い・・・・・・面白過ぎるぞ!

シオン
「貴方は一体誰なの・・・・・・?
バージル
「俺が誰かって?俺が誰かなんざ、重様な事ではないだろう。それとも、俺とお喋りでもしようってのか?言葉の定義は、自分を騙し、人をも騙す道具に過ぎないんだぜ。真理の前では言葉は何の定義も全く持ちはしないんだぜ。知覚こそが最重要であるんだぜ。俺等の立場が余り同じでない事なだけだ。生と死の問題は皆存在しない・・・・・・。
シオン
「え?
バージル
「それでも分からないのか?良いだろう、俺とお前は・・・・・・。
Jr.
「どけよ・・・・・・どけって言ってんだろう!
バージル
「小僧、気勢はいっちょ前だなぁ。腕前があるってんなら、試して皆。とにもかくもお前もU.R.T.V.なんだからよ。
Jr.
「無駄話だな。

 バージルとの戦いになる。そして―。

バージル
「力の無駄遣いだな。俺からすれば、俺等の存在法則は全く違うんだからな。<注釈:OR『無駄だなぁ。お前らと俺とでは、この世界に存在する法則が違うからな。』>

「そうだろう、大将?

ケイオス
(・・・・・・

バージル
「さて・・・・・・あいつも逃げ終わったであろうな。俺もそろそろ引き揚げるとするか。これでも忙しいんでな・・・・・・。
シオン
「待って!貴方の目的は一体何なの?何故、私達の前に現れたの?
バージル
「知りたいか?なら、来いよ・・・・・・あの時間、あの地点・・・・・・分かったか?
シオン
「え?
バージル
「期待して待っているぜ、シオン。

KOS-MOS
「歌声が全機能を既に停止しています。ラインの乙女が外部のグノーシスを掃討中です。
シオン
「そう・・・・・・
「大丈夫?Jr.君・・・・・・
Jr.
「ああ。お前も大丈夫だったか?しかし・・・・・・あいつは一体誰なんだ?計り知れない力を持っている様だが・・・・・・。
シオン
「分からないわ・・・・・・私もちんぷんかんぷんなのよ。
ケイオス
「シオン、戻ろうか。
シオン
「うん・・・・・・。

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1640
只看该作者 6楼 发表于: 2004-05-09
1.天の車
 デュランダルへ戻ったシオン達。

Jr.
「大丈夫か?
モモ
「はい。あの人・・・・・・ずっと私の中にある鍵を探していました・・・・・・
「もしかしたら、既に・・・・・・
Jr.
「大丈夫、気にするな。
モモ
「そうだ、お守り。これのお陰で、ここへ戻れたんです。

シェリィ
「主砲発射準備完了。目標、ネピリムの歌声。
ケイオス
「良いのかい?
モモ
「はい。続けて下さい。
Jr.
「なぁ、ケイオス・・・・・・これであのキルシュヴァッサーは救われるのかな?
ケイオス
「きっとだよ。彼女達の思いはモモの中にある。彼女達の願いは・・・・・・既に達成されたんだよ。
Jr.
「ああ・・・・・・もしもそうなら、良いんだけどな・・・・・・。
「アルベドはもしかしたら、これを見たかったのかもな・・・・・・。
ケイオス
「Jr.・・・・・・。
Jr.
「俺は・・・・・・あいつを拒んだ・・・・・・。
シェリィ
「ちび様。
Jr.
「ああ、やってくれ。

 Jr.の指揮下の下、ファウンデーションの全火力がネピリムの歌声に向けられたが、全て反れてしまう。

Jr.
「何?
ケイオス
「待って!何かおかしいみたいだ・・・・・・
モモ
「グノーシスです!残存グノーシス郡が、ネピリムの歌声に集まっています・・・・・・!

 付近のグノーシスが、ネピリムの歌声内部に吸収され一つの奇異な映像に似た映像を形成した。

アルベド
「ははは・・・・・・やはり、遊び足りなくてなぁ。また戻ってきたぜ。

Jr.
「アルベド!てめぇ、ふざけるな!

アルベド
「おいおい、まだまだ早いぞ。そんな表情したければ、こいつを見てから、言えよ。

 突然、大爆発が起きる。

メリィ
「ど、どうしたんや!揺れがす、凄すぎまんがな!

 爆発のの知、巨大な円盤が登場した。

シオン
「あ、あれは何なの!?
ヘルマー
「そんなまさか!?
モモ
「天の車。
ユリ
「まさか・・・・・・!あれは紛れも無く消滅した筈。
モモ
「天・・・・・・の車・・・・・・
シオン
「天の車?
モモ
「モモが生まれた場所です。

バージル
「野郎!勝手にあれを出しやがって・・・・・・・自分の任務を忘れたってのかよ?
赤いマントの男
「大丈夫だ、戻れ、バージル。
バージル
「何だよ!指図すんじゃねぇ!俺の頭の中に話し掛けるな!まだ慣れていないんだ!
赤いマントの男
「慣れて貰わねば、困る。
バージル
「これは・・・・・・成程な。ただものじゃねぇって事か。良いだろう、だが、次は俺が自分の意思でやるからな!
赤いマントの男
「そのつもりだ。

Jr.
「あれがモモの生まれた場所?
モモ
「パパが・・・・・・ミルチアで私を作るのに必要なデータを集めた、天の車に送っていたんです。
Jr.
「あんな大きい所が、お前を誕生させる為の場所だったのか?

ユリ
「当初の目的は違っていた。あれはこの宇宙の真の姿、目的は三千大千世界を造り出す為に作られた。<注釈:OR『アレは、この宇宙の真の姿を、我々のあるべき姿を見いだす為に造られた筈だった。』意味が変わっているので、翻訳者の誤訳>だが、あの男は・・・・・・。
委員5
「その通り!結果として、あの狂人が何をしたかを思い出して見ろ。あれと歌声、そしてゾハルが連動したらどうなるのか、何が起きるのか!!
委員2
「当初は百式回収後、アレはアビス(注釈:阿比斯)に捨てたはずだった。何故、又出現したのだ!?
ユリ
「分かりません・・・・・・しかし、オリジナルはまたミルチアにある筈です。あれだけでは、役割は果たせません。

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2.止めたければ止めて見る事だな
 新しい玩具を手にしたアルベドは、天の車を操り、一撃で連邦艦隊を綺麗さっぱりと片付ける。

モモ
「連邦艦隊が・・・・・・。
シオン
「一瞬で・・・・・・。

アルベド
「どうした、ルベド?新しく手にした玩具、俺の為に喜んでくれないのか?現在、こいつが残しているエネルギーだけでは足りないからなぁ。これは本来の目的ではない。俺はわざわざ見せてやっただけさ。<注釈:OR『どうだいルベド。俺のオモチャ、喜んでもらえたか?今のはこいつに残っていた、僅かなエネルギーを放出させたに過ぎないんだぜ?本来の使い方とは違う。いわばオマケみたいなもんさ。』>

 エネルギーを充填する為、天の車は付近のグノーシスを吸収する。

シオン
「あの光線は・・・・・・KOS-MOSと同じ・・・・・・。

アルベド
「こいつは、本来ネピリムの歌声とゾハルでセットになっていた。ゾハルが必要なグノーシスは、ミルチアに閉じ込められているゾハルの少数のエネルギーに呼応する。これは、動かすのに必要なエネルギー貯蓄の為の必要なエネルギーなのさ。

Jr.
「何故、そんな事が分かる!?

アルベド
「これはペシェが教えてくれたのさ。俺とリンクした時に教えて貰ったのさ。感謝しているぜ。ハハハ・・・・・・・。

「さて、お前等に残された時間はどれ位だ?5分か?10分か?

「お、お前のどうして青くなっているんだ?怖いのか?いっその事、お前等を塩柱にしてしまおうか。この考えも悪くないな。紅頭が白頭になる、ハハハ・・・・・・これは傑作だ!紅が白に変わる!ハハハ・・・・・・

Jr.
「馬鹿にしやがって・・・・・・

アルベド
「ハハハ・・・・・・続いて何をするかな・・・・・・お、決めたぞ。次は・・・・・・

百式オペレーター1
「対象が角度を変えました!射撃軸線は第2ミルチアの首都!
シオン
「何ですって?

アルベドその通り。流石は観測用の百式。本当に優秀だなぁ。

Jr.
「てめぇ、悪事が思い通りになると思うなよ!聞こえてんのか、アルベド!逃げんなよ!今回、お前とのけりを着けてやる!

アルベド
「そんな事しなくてもいいだろう。少しもお前らしくないぜ。お前のどこが他人の生き死に関心を持つんだ!

Jr.
「何を抜かす!

アルベド
「まぁいい。止めたければ止めて見る事だな。ハハハ・・・・・・待ってるぞ・・・・・・ハハハ・・・・・・。

Jr.
「畜生。

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3.天の車へ
ユリ
「目標物は建造の半分で、放棄された巨大実験場です。封鎖される前、中には作業坑道がありました。動力炉の場所は、その作業坑道の中心部分にあります。
Jr.
「俺等は動力炉を破壊さえすれば良いんだな?
ユリ
「はい。それで、天の車の全機能は停止します。先程、最短ルートのデータを転送しておきました。現在直接行動が出来るのは貴方達だけしかいません。公私問わずに、あの憎たらしい機器を徹底的に破壊して下さる様、お願いします。

 エルザで天の車へ向かうシオン達。

Jr.
「すまない・・・・・・俺の問題にお前等を巻き込んじまって・・・・・・。
シオン
「気にしないで。これは私の故郷の危機とも関係しているのよ。それに、会社の同意も得ているしね・・・・・・良いでしょ?アレン君?
アレン
「当然、問題無いですよ。たとえ何を言っても、どうせ・・・・・・
シオン
「何?何か言いたければ、直接言ってよ。
アレン
「い、いえ、何でもありません。たとえ、地獄でもお供しますよ・・・・・・。
マシューズ
「でまかせ言ってんじゃねぇ!こんな不吉な事を言うな!そうだ、侵入に問題は無いんだな?
モモ
「はい。外殻に防空網はありません。本来、プラントとして建造された物ですから。しかし、プラント内の保全システムはまだ動作している筈です。仮に中に多くのガードロボット(注釈:警戒機器人)がいると仮定する方が、比較的賢いかと思います。
Jr.
「メリィ、第2ミルチアの援軍は?
メリィ
「宙域のは既に全滅。地上部隊が丁度出発しましたが、間に合いまへん。
Jr.
「どうやら、俺等だけの様だな。ガイナン、俺達が紛れ込む時の支援工作は頼んだぜ。
ガイナン
「ああ・・・・・・こちらこそ頼みたい事がある。あいつの挑発に乗るんじゃない。分かったな?
Jr.
「以後気をつける。俺の為に気を使わないでくれ。
ガイナン
「約束だぞ。
メリィ
「ちび様、無茶しないで下さいな。
シェリィ
「ECM最大出力、エルザ発射して下さい。
マシューズ
「おい、トニー!
トニー
「はい!

「そうだ・・・・・・俺等手当て手に入んのかなぁ?

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4.ここがモモの誕生した場所・・・・・・
 シオン達は、ある部屋へと辿り着く・・・・・・

モモ
「ここがモモの誕生した場所・・・・・・
シオン
「モモちゃん・・・・・・
モモ
「ミルチア紛争の時、ママは今迄、この機械の使い道を教えてくれなかった・・・・・・けど、大体分かるの。私が生まれた時、パパが死んだって事が・・・・・・もしも、あの光景が本当なら、その後に何が起きたのか・・・・・・。

「ママは間違っていなかった、これが憎たらしい機器だって事。私が降誕した事によって、多くの命がそこに失われたの。私はパパと同じ様に憎たらしいのかも・・・・・・。
Jr.
「お前・・・・・・
シオン
「そんなんじゃない!世の中に、そんな父母なんていない!
モモ
「シオンさん・・・・・・
シオン
「たとえ、レアリエンでも彼等の子供なのよ。父母が自分の子供を憎たらしいなんて・・・・・・有り得ないのよ・・・・・・。

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5.これは意思の力だ
 動力炉を見つけ出すと、そこにはアルベドが待ち構えていた。

アルベド
「遅過ぎる!ルベド、待ちくたびれたぞ!見ろ、既に腹一杯だぜ。

「いいだろう、さぁどうする?さっきの続きと行くか?

 アルベドが奇異なる光を出すと、それはまるでグノーシスであった<注釈:翻訳者の解釈に過ぎない>

Jr.
「どう言う事だ・・・・・・こいつは・・・・・・何をした?
アルベド
「珍しい事ではないさ。これは意思の力だ・・・・・・誰もが生まれ持った力。お前等の頼る知覚とは全く違う奴さ。だが、知覚と痛みは同義語なんだぜ。だから、お前もこの感覚を理解してくれよ!

 アルベドと対峙するJr.。そして―。

Jr.
「答えろ!何故、こんな事をする!お前にとって、何の意味もないだろう!

アルベド
「当然、意味ある事さ。ルベド、これは一切がお前の為にあるんだぜ。

Jr.
「俺の為?

アルベド
「ルベド、忘れたのか?14年前のあの時の事を・・・・・・お前は俺達に何をした?

「元凶はお前にあるんだ・・・・・・お前が心を閉ざし、俺達の精神連鎖【リンク】は崩壊させられた。俺達は一人一人が“歌声”に呑み込まれた。あの恐怖の世界に捨てられたんだ。歌声に従う以外に、まだ選択は有ったのか?思い出せ!そして、反省しろ!<注釈:OR『全ての原因は、お前―お前が心を閉ざしたせいで、俺達の精神連鎖【リンク】は崩れ、仲間は次々“歌声”に侵食されていった。あの恐怖の中へ残された俺達に、歌声に身を委ねる以外の選択があったと思うか?思い出せ!そして省みろ!』>

Jr.
「あの時、俺は確かに・・・・・・。

アルベド
「ハハハ・・・・・・認めたな、臆病者(注釈:膽小鬼)。

Jr.
「そうさ、俺は確かに怖かったんだ!だが、あれは俺の本能だ!
シオン
「Jr.君・・・・・・

アルベド
「そうさ、お前は俺達に贖罪しなければならない。お前はいなくなったあいつ等の責任をとらなきゃならない!だが・・・・・・実を言うとな、俺はお前に感謝しなければならないんだ。お前のお陰で俺は新しい道を見つけ出した・・・・・・新しい世界への道をな。

Jr.
「新しい世界・・・・・・?

アルベド
「それこそが俺の目的・・・・・・単純さ。

Jr.
「何を言ってんのか、訳分かんねぇぞ!てめぇ!

アルベド
「ハハハ・・・・・・先程はまだ半信半疑だった。だが、すでにさっき、俺は確信した。お前にこれを体験させよう!これは俺の余興の出し物だ!楽しませておくれよ!

 そして、アルベドは動力炉を動かし、グノーシスと一つにした。

Jr.
「糞ったれ!グノーシスと動力炉を融合させやがった!

アルベド
「こいつを破壊しなきゃ、天の車は止まらない、分かるだろ?あ、そうだった、時間はもう余り無いなぁ。大体残り5分って所か?来いよ、お前の使命を完成させろよ!一体、どこまでもつかな?ハハハ・・・・・・・

モモ
「ひどい・・・・・・Jr.さんへの責めたてをもって、楽しんでいる・・・・・・。

アルベド
「じゃぁな!もしも、その命とりとめたら、又会おうぜ。ルベド、俺の一部。

Jr.
「アルベド!

モモ
「Jr.さん!危ない!

 Jr.は追いかけたかったが、グノーシスによって、遮られてしまう。

Jr.
「ちっくしょう!先に奴をやらなきゃいけねぇってのか!
ジギー
「その通りだ。先に片付けるぞ!
ケイオス
「皆気をつけて!あれはもう普通の機械じゃなくなっている!
シオン
「分かったわ。KOS-MOS、行くわよ!
KOS-MOS
「了解しました。全戦闘システムモード全開。

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6.崩壊を始める天の車
 ソフィ・ピステス戦後、崩壊を始める天の車。

シオン
「このままだと爆発に巻き込まれるわ。皆早く、ここから離れましょう!

 シオンが話し終える前に、突然揺れが伝わる。

ジギー
「この揺れはどう言う事だ?
モモ
「誘爆でしょうか?
ケイオス
「違う。この感覚はどこかの方向からだ。
KOS-MOS
「シオン、天の車の推進システムに点火した事を既に確認。ミルチアへの墜落を開始しています。

アルベド
「来な。お前たちがどうなのかを見させておくれ。

シオン
「本当なの?KOS-MOS?
KOS-MOS
「はい。現在の加工速度から計算すると、およそ八分で大気圏に入ります。
ジギー
「どうやら、始めから既に出来上がっていた計略だった様だな。
Jr.
「あの野郎、こんな手段で何度も遊びやがって!
シオン
「何か方法がある筈だわ・・・・・・この質量の物体が、この速度で墜落したら、第2ミルチアは・・・・・・
KOS-MOS
「現在の進入角度から計算すると、このプラントを28000ブロックに分ける事で、99.6%が落下する前に燃え尽きます。
シオン
「ばらばらにする方法は?
モモ
「待って下さい、今、モモの中のデータを探しています。
「・・・・・・制御室!プラントのデタッチ(注釈:分解程序)は第33層のコントロール室で出来ます!
ケイオス
「行こう、時間がない!

 制御室に到着するが・・・・・・

モモ
「そんな・・・・・・。
ジギー
「何か問題か?
モモ
「システムの起動から、プラント全体を解放する時間が一分だけです!これだと、私達はエルザに戻れません!
ジギー
「ここ以外で制御する場所は無いのか?例えば、遠隔操作は?
モモ
「出来ません。このシステムの特性は、ここ以外の走査を受けないようになっているんです。
Jr.
「糞!墜落を阻止するには、ここにいるしかないのかよ。
シオン
「他の方法は?きっとある筈だわ!
モモ
「駄目です!既に何度も検索しましたが、他の方法がありません!
KOS-MOS
「先に行って下さい。
シオン
「どうしたの?KOS-MOS?
KOS-MOS
「シオン達は先にエルザへ戻って下さい。私がここに残って、デタッチを実行します。
シオン
「ちょっと待って!ここに残るって・・・・・・
KOS-MOS
「もうすぐで、大気圏に突入します。焼尽限界高度(注釈:焼燼高度)まで4分28秒しかありません。
シオン
「でも・・・・・・
KOS-MOS
「自我保存機能は正常です。私はこのプラント共に亡くなるつもりはありません。心配しないで下さい。私のスピードなら、1分さえあればエルザに着きます。
ジギー
「良いのか?
KOS-MOS
「はい、これが成功率が一番高い選択です。
ジギー
「分かった。行くぞ、シオン。
シオン
「でも・・・・・・。
Jr.
「大丈夫、KOS-MOSを信じろ!
「必ず追い付くって、早く行こうぜ!
モモ
「シオンさん・・・・・・。
ケイオス
「シオン。
シオン
「KOS-MOS!必ず戻るのよ!聞いた!?きっとよ!

 シオン達一行が、次第に崩れる天の車から逃げ、やっとの事で、エルザに到着するが、KOS-MOSは一向に現れて来ない。

Jr.
「船長!
マシューズ
「ちび旦那。これは一体どう言う事で?揺れが凄過ぎるが?外で何かあったんですかい・・・・・・?
Jr.
「天の車が、大気権を墜落している!このままだと地上に落下する!
マシューズ
「何だと!
Jr.
「だから、今、プラントをデタッチしている!揺れはそれが原因だ!そういう事なんだ!詳しい事は後で説明する、出発の準備をしろ!
マシューズ
「どうして、“準備”なんですか?今行くんじゃ?
Jr.
「KOS-MOSが中にいるんだ!彼女が戻るのを待つ!
マシューズ
「ちょっと、待って下さいよ。このプラントがデタッチしたって言うんなら、やばいですぜ!
Jr.
「分かってんよ!だが、必ずあいつを待つ!
シオン
「お願い・・・・・・早く戻って・・・・・・KOS-MOS・・・・・・。
アレン
「船長!上を見て下さい!
マシューズ
「何だ?
トニー
「船長!このままじゃまずい!
マシューズ
「分かってる!ちび旦那!
Jr.
「ちっくしょう・・・・・・一体何をやっているんだ・・・・・・早くしろ・・・・・・早く・・・・・・。
トニー
「何だ!
マシューズ
「ちび旦那!
Jr.
「くっそぉぉ!分かった!行くぞ!
シオン
「どうして!待って、船長!
マシューズ
「あ、あぶねぇ・・・・・・
シオン
「KOS-MOS!お願い、早く戻って!船長!KOS-MOSはまだ中にいるのよ!
マシューズ
「馬鹿言ってんな!巻き込まれたらどうするんだ!直接離れる!
シオン
「けど・・・・・・

ネピリム
(落ち着いて、シオン・・・・・・大丈夫・・・・・・心の目を開けて・・・・・・。

シオン
「心の目・・・・・・
「船長!左舷前方400メートルの壁!近付いて!
マシューズ
「はぁ?
シオン
「良いから、構わないで!近付いて、早く!
トニー
「シオン、左舷400メートルだな?
シオン
「トニーさん・・・・・・
マシューズ
「おい、トニー!

 程無く、KOS-MOSが壁を撃ち破り、直接エルザまで飛ぶ。

 そして、シオンがKOS-MOSを引っ張りきれなくなった時、ジギーが丁度良い時に引き揚げた。

シオン
「もう、ダイエットすべきよ。
「良かった・・・・・・。

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7.あなたの痛みを私にください
 天の車が次第に分解をするが、思いがけない幸いで逃げ出したエルザはまた問題へとぶつかる。

ジギー
「どうやら、まずい様だな。ブリッジへ行こう。

マシューズ
「何!?聞こえねぇ!
アレン
「だから!進入角度が大き過ぎたんです!
マシューズ
「早く直せ!
トニー
「駄目だ!船体のコントロールが効かねぇ!
ハマー
「そんな馬鹿な!航行機能は完全に正常なんすよ!
トニー
「さっきの衝撃で進入角度が偏り過ぎた。もう修正出来ねぇ。
マシューズ
「馬っ鹿!!恨んでばかりいんな!早く何とかしろ!俺達ぁ、焼けちまうぞ!
ハマー
「船外温度が既にシールド(注釈:護盾)の限界値突破!

 ケイオスが、自らの力でこの危機を救い出すかどうかを考えていた時、ネピリムの声が聞こえた。

ネピリム
(貴方はどうするべき・・・・・・?

ケイオス
「君が!?待って!
KOS-MOS
「あなたの痛みを私にください・・・・・・。

ハマー
「後部ハッチが開きます!
マシューズ
「何!?どこの馬鹿だ、こら。こんな時に何をやっている!船内から俺等を燃やす気か?
シオン
「まさかあの娘が?KOS-MOS!貴女・・・・・・!
KOS-MOS
「シオン、今から、私がエネルギーシールド(注釈:能源護盾)でエルザを保護します。今の内に船体を回復して下さい。
シオン
「無茶しないで!貴女の身体で何が出来るの!?
KOS-MOS
「心配しないで下さい。計算の結果、私は1分20秒維持し、並びにエルザを助けます。
シオン
「それじゃぁ、貴女が灰になる!馬鹿な事はしないで!
KOS-MOS
「お役に立てれば幸いです。
ハマー
「外部カメラ損壊!
シオン
「KOS-MOS!

 エルザの前方向を遮るKOS-MOSは、シールドでエルザを保護する。

シオン
「お願い、KOS-MOS!嫌!!

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8.おかえりKOS-MOS
マシューズ
「助かった・・・・・・筈だ・・・・・・おい、姉ちゃん!船の船首カメラ開け!
ハマー
「了解!

 無茶な事を経過したKOS-MOSは依然として、全くの無傷で、エルザの船首にいた。

シオン
「KOS-MOS・・・・・・KOS-MOS!

ガイナン
「目下の状況から判断して、U-TIC機関の目標は絶対にミルチアにある。
ヘルマー
「ミルチア・・・・・・。
ガイナン
「妄念と執着、現在のそこはその流れで形成されている。彼他はその流れの中心にいる・・・・・・アルベド・・・・・・もそれに引き寄せられている・・・・・・。
ヘルマー
「アルベド?まさか、U.R.T.V.のアルベドか?奴は生きてたのか?
ガイナン
「その時が来る迄、奴は死ぬ事が出来ない・・・・・・。

アルベド
「素晴らしかったぞ。あとは、ペシェとU.M.N.がリンクすれば・・・・・・俺の目的は達成される。
「ルベド、俺のメッセージ聞いておくれよな。ハハハ・・・・・・。

赤いマントの男
「アルベド機転移確認。これで良いのですね?
ヴィルヘルム
「うん。大丈夫さ。アベルの方舟(注釈:亞伯方舟)の扉は・・・・・・彼にしか開けられないからね・・・・・・。
赤いマントの男
「ウ・ドゥと再び連結する可能性がありますが。
ヴィルヘルム
「それは有り得ないね。彼にその力は無いよ。彼の役目は鍵でしかない。
「まぁ、局所事象変移の心の準備は必要だけどね。
「これは、君等の生存意義だろう・・・・・・しかし、彼の意思は本当に眩しい限りだ。脇役だけ任せるのは、実際の所、少し無駄だね・・・・・・そうだろう?

KOS-MOS
「任務完了、シオン。
シオン
「おかえり、KOS-MOS。

TO BE CONTINUED・・・・・・

级别: 元老
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只看该作者 7楼 发表于: 2004-05-09
谢谢分享.睇住剧本重温一下爆机场面 :)

│☆  ※ 
自分のことは、自分が一番よく知ってるんだから。
级别: 骑士
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只看该作者 8楼 发表于: 2004-05-10
何のアニメだ?見たことないね。まさかドラマ?ゲーム?

------------------------------------------------
父さんが残した 热い思い
母さんがくれた あのまなざし
----《天空の城ラピュタ》主题曲《君をのせて》
级别: 新手上路
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只看该作者 9楼 发表于: 2004-05-10
這是遊戲,記得是譯作"異域傳說"的樣子?
不過我沒玩過...
级别: 版主
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只看该作者 10楼 发表于: 2004-05-11
最近正好迷上这个,感谢楼主,全收下了

级别: 圣骑士
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只看该作者 11楼 发表于: 2004-05-11
引用
最初由 guwei39 发布
何のアニメだ?見たことないね。まさかドラマ?ゲーム?


这是一个游戏,并且于本人愚见此游戏所表现的世界观深度,对人类心理的探索,各科学领域的牵涉,事象的分析在ACG界中属于首屈一指的作品,绝对推荐,偏题了……SORRY~~

级别: 新手上路
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只看该作者 12楼 发表于: 2004-05-18
樓主在哪找來的?


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只看该作者 13楼 发表于: 2004-05-19
長すぎ読み切れないほど

级别: 骑士
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只看该作者 14楼 发表于: 2004-05-22
要是樓主的把全部打完了那真是令人佩服
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